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ジーニーは売り一巡
- 2020/4/28 10:17
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ジーニー<6562>(東マ)は、ネット媒体の広告枠を自動売買するアドテクノロジーをベースとして、マーケティングテクノロジー事業を展開している。4月23日に20年3月期業績予想を下方修正した。当面は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済収縮の影響が懸念材料となるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は安値圏だが売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。なお5月13日に20年3月期決算発表を予定している。
■マーケティングテクノロジー事業を展開
インターネットメディアの広告収益最大化を図る独自のアドテクノロジー(ウェブサイトやスマートフォンアプリ等に各々の閲覧者に合った広告を瞬時に選択して表示させる技術)をベースとして、事業領域拡大戦略およびサービス提供地域拡大戦略を推進し、マーケティングテクノロジー事業(アド・プラットフォーム、マーケティングソリューション、海外)を展開している。
収益面の季節特性として、広告主の予算配分の影響を受けるため、12月および年度末の3月に売上が集中する傾向がある。なお14年にソフトバンク(現ソフトバンクグループ)と資本業務提携し、現在はソフトバンク<9434>の持分法適用会社である。
■アド・プラットフォームはDOOH領域にも積極展開
アド・プラットフォームは、ネットメディア向けプラットフォーム「GenieeSSP」を主力として、広告主向けプラットフォーム「GenieeDSP」などを展開している。
ネット広告取引市場は、RTB(広告枠を自動で瞬時にオークション形式で取引するシステム)によって取引されるが、同社独自の広告配信最適化アルゴリズムで効果的な広告配信を実現している。さらにビッグデータやAIを活用し、広告配信の精度向上や自動化に取り組んでいる。
事業領域拡大戦略で、DOOH(交通広告や屋外広告など自宅以外の場所で接触する屋外デジタル広告)領域に積極展開しており、18年11月タクシー後部座席に設置されたデジタルサイネージ向け広告配信プラットフォームを開発し、19年2月にはDeNA<2432>のタクシー配車サービスでの本格運用を開始した。
20年1月には屋外広告(ビルボード)専門の広告会社ヒットと業務提携し、20年2月に首都高速道路沿い大型屋外ビジョン、20年3月には東京・渋谷ハチ公口および大阪・御堂筋沿いにプログラマティックOOH広告配信を開始した。
■マーケティングソリューションと海外も拡大
マーケティングソリューションは、CRM(顧客管理)/SFA(営業管理)システム「ちきゅう」、マーケティングオートメーション「MAJIN」、チャット接客ツール「chamo」を展開している。
「ちきゅう」は、顧客管理CRMシステムおよび商談管理SFAシステムを一体化させたクラウド型サービスである。「MAJIN」は企業のマーケティング活動を自動化し、効率的に購買・契約等を行うためのプラットフォームで、19年9月には両プロダクトを連携させ、ワンプラットフォーム化によってSaaSビジネス拡大を推進している。
海外は東南アジアを中心に「GenieeSSP」などを展開している。今後は不採算事業の縮小による事業構造改革を完了させ、早期の黒字化を図る方針だ。
■22年3月期EBITDA30億円超目標
中期経営計画では目標値に22年3月期売上高250億円、売上総利益60億円、EBITDA30億円超を掲げている。
事業ポーフォリオマネジメントとKPI管理を強化しつつ、プロダクト間クロスセルの取り組み拡大、事業領域(事業軸)とサービス提供地域(地域軸)の拡大を推進する。マーケティングソリューションなど、利益率の高いプロダクトやストック型収益の構成比を高めて、中期的に収益力向上を目指す。
■20年3月期赤字予想
20年3月期連結業績予想は4月23日に下方修正して、売上高が19年3月期比4.1%減の143億48百万円、営業利益が94百万円の赤字(19年3月期3億10百万円の赤字)、経常利益が1億44百万円の赤字(同3億30百万円の赤字)、純利益が1億83百万円の赤字(同5億44百万円の赤字)とした。
第3四半期までは収益回復基調だったが、第4四半期に新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、アド・プラットフォームのデマンドサイドビジネスにおいて顧客の広告予算縮小の動きが強まった。また新規事業のデジタルOOH領域においても一部商談の受注期ズレが発生した。なお特別損失に海外連結子会社ののれん減損損失24百万円を計上する。
当面は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済収縮の影響が懸念材料となるが、中期的に収益拡大を期待したい。
■株価は売り一巡
株価は安値圏だが売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。4月27日の終値は532円、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS151円54銭で算出)は約3.5倍、時価総額は約96億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)