【編集長の視点】クスリのアオキは前回の大化け再現思惑を高め株式分割の権利取りが再燃して反発

編集長の視点

クスリのアオキ<3398>(東1)は、寄り付きの230円安から切り返し110円高の8420円と7営業日ぶりに反発して始まっている。同社株は、今年5月20日を基準日に株式分割を予定し、この権利付き最終売買日が5月15日に迫っているが、昨年5月21日を基準日に実施した前回の株式分割では、株価が、権利落ち後安値から今年5月の上場来高値まで3.3倍の大化けを演じており、これを連想する思惑が高まり権利取りの買い物が再燃している。今5月期純利益が、連続して過去最高を更新し、配当も、実質で連続増配を予想、今年3月14日に開業した北陸新幹線の関連人気も底流し、さらに相場全般が、海外市場の影響を受けて不安定化していることから内需株指向を強めていることも、フォローの材料視されている。

■昨年5月の前回の株式分割では落ち後安値から3.3倍の大化け

株式分割は、投資単位当たりの投資金額を引き下げ、同社株式の流動性の向上と投資家層の一段の拡大を図ることを目的にしており、1株を2株に分割する。前回の昨年5月の株式分割(1対2)では、分割発表から権利付き高値まで1100円高して6950円で分割権利をスンナリ落とし、分割権利落ち安値3230円からは、今年5月の上場来高値1万730円まで3.3倍化しており、連想思惑が強まっており権利取りにつながっている。

一方、同社の今5月期業績は、昨年12月に上方修正され売り上げ1330億円(前期比16.2%増)、経常利益70億円(同15.0%増)、純利益45億5000万円(同19.0%増)と連続の過去最高更新が予想され、年間配当も22円(前期実績38円)と株式分割を勘案して実質の連続増配を予定している。ドラッグストア部門では、消費税増税の影響はあったが、日配品・生鮮食品が牽引して既存店売り上げは回復し、調剤薬局部門では、後発医薬品の調剤体制加算を中心に技術料を確保し売上総利益率が改善したことなどが要因となった。

今年3月に発表した今期第3四半期(3Q)業績は、2ケタ増収増益として着地して、5月通期業績に対して高利益進捗率を示しており、通期業績の上ぶれ着地も期待されている。なお同社は、富山・石川・福井県の北陸3県を主要営業エリアとして、北陸新幹線沿線の群馬・長野・新潟県での展開店舗を加えると、北陸新幹線関連の店舗は、全店舗の90%超に達しており、大型連休中も観光客で賑わった同エリアでの展開が、先行きの業績押し上げ材料となるとして注目度もアップしている。

■25日線から約9%と大幅にマイナスかい離し下げ過ぎも示唆

足元の株価は、3Q好決算に反応して上場来高値1万730円まで1500円高して、1万円大々台示現の目標達成感から8460円と調整、株式分割発表にも反応が薄く8000円台下位での下値固めを続けている。PERは28倍台と市場平均を大きく上回り割高だが、25日移動平均線からは8.9%のマイナスかい離とテクニカル的に下げ過ぎを示唆しており、前回の株式分割後に3.3倍化した株価推移から分割権利取りは再考余地が大きそうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)

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