【編集長の視点】アサンテは急反落も月次マイナス、今期業績予想未定を織り込み済みで下値抵抗力

アサンテ<6073>(東1)は、前日12日に36円安の1526円と3営業日ぶりに急反落した。今年5月11日に発表した4月度の月次売上高が大きくマイナスとなり、5月8日の3月期決算開示時にも今2021年3月期予想業績を未定としたことも重なり目先の利益を確定する売り物が出た。ただ25日移動平均線を前にさらに積極的に売り込む動きは限定的で下値抵抗力を示した。今年4月17日に新型コロナウイルス感染症の拡大を予防するため訪問販売を自粛すると発表しており、織り込み済みとして下値に割安株買いが交錯した。また前2020年3月期業績は、期初予想をやや下ぶれて着地したが、配当は年間60円(前々期実績54円)と2013年3月の新規株式公開(IPO)以来、7期連続の増配としたことをポジティブに評価されている。

■訪問営業自粛が響くが5月に防除事業のピークを迎え更新需要は高水準

 同社の今年4月度の月次売上高は、7億6000万円と前年同月に比べ4億9400万円減少、39.4%減となった。4月18日から実施した訪問販売の自粛が影響した。ただ白蟻防除事業は、例年5月をピークに白蟻の活動が活発化する4月から7月頃までを需要期としており、今後の「非常事態宣言」の解除動向次第で、十分に挽回可能となる。入社時期を3月から4月に延ばした47人の新入社員も戦力化する。また白蟻防除事業は、更新防除事業が48%を占め、前期も通期で前々期比4.1%増と伸びており、既存顧客からの更新の引き合い増も見込める。

 一方、前2021年3月期業績は期初予想をやや下ぶれたが、売り上げ144億3200万円(前期比0.5%減)、営業利益22億3900万円(同2.0%減)、経常利益23億8000万円(同2.9%増)、純利益15億8000万円(同4.3%増)と増減マチマチで着地し、純利益は連続して過去最高を更新した。労務費などの増加があったが、昨年9月開設の阪神営業所による新規エリア開拓や一人当たりの売上高が、前々期2.4%増加し、受取保険金や配当金が上乗せとなったことが要因となった。配当は、年間60円とIPO以来7期連続の増配として、IPO時の2013年3月期の20円からは3倍となった。今2021年3月期の業績と配当への期待をつなぐ。

■前期実績ベースでPERは11倍、配当利回りは3.9%と売ら過ぎを示唆

 株価は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)、世界同時株安に直撃されて突っ込んだ昨年来安値1283円から売られ過ぎ修正に期末の配当権利取りが上乗せとなって1663円の戻り高値まで3割高した。同高値からは、配当権利落ちと「非常事態宣言」の発出が重なって1379円まで再調整し、足元では1400円台を固める動きを続けてきた。前期実績ベースでPERは11倍台、配当利回りは3.93%と売られ過ぎを示唆しており、まず戻り高値を奪回し年初来高値2058円を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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