【編集長の視点】アルテリアは上場来高値に肉薄、決算発表を先取りして業績上ぶれ着地観測

 アルテリア・ネットワークス<4423>(東1)は、前日13日に25円高の2220円と4営業日続伸して引け、取引時間中には2239円まで買われ今年4月27日につけた上場来高値2259円に肉薄した。同社株は、明15日に3月期決算の発表を予定しており、前2020年3月期業績の上ぶれ着地が観測され、続く今2021年3月期業績の連続過去最高更新が期待されていることから、先取りして買い増勢となった。また「緊急事態宣言」が今年5月31日まで延長され、また解除後もなおテレワークの導入企業が増加して通信データ量の拡大が予想され、同社のインターネッサービス「ARTERIA光」やマンション一括契約型のネットサービス「UCOM光」などに関連需要が加わることも、サポート材料視されている。

■「UCOM光」のテレワーク利用が拡大し「緊急事態宣言」延長もオン

 同社が目下集計中の2020年3月期業績は、売り上げ507億7800万円(前期比3.2%増)、営業利益83億7200万円(同13.8%増)、税引前利益79億1200万円(同15.0%増)、純利益51億1900万円(同12.0%増)と見込まれ、純利益は、2018年3月期の過去最高(46億1000万円)を2期ぶりに更新する。「ARTERIA光」の提供エリアを大阪エリアなどに拡大して受注が拡大し1契約当たりの売り上げ(ARPU)が伸び、「UCOM光」も、分譲市場・賃貸市場で引き合いが増加し売り上げ、受注が拡大することが寄与する。

 この通期予想業績に対して今年2月14日に開示した今期第3四半期(2019年3月~12月期)業績の利益進捗率は、約80%と目安の75%を上回っており、通期業績の上ぶれ期待を高めている。市場コンセンサスでは純利益を52億円超、また続く2021年3月期純利益も、東洋経済会社四季報最新号では55億円と観測されている。実際に同社が「UCOM光」を導入しているマンションの居住者向けに今年3月末時点で実施した調査では、テレワークの利用者が昨年11月の20.7%から36.1%に増加しており、「緊急事態宣言」の期限延長はもとより、仮に首都圏で宣言が解除された後もこのトレンドは変わらないとして、業績押し上げ効果が期待される。明15日予定の決算発表、業績ガイダンスが要注目となる。

■わずか1カ月半で5割高しGCを示現して直近調整幅の倍返しも想定内

 株価は、今年1月の2036円高値から新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)、世界同時株安に巻き込まれて年初来安値1488円まで大きく調整した。同安値からは売られ過ぎ修正と「緊急事態宣言」の発出を背景とするテレワーク関連株人気の高まりが加わって上場来高値2259円までわずか1カ月半の短期間で5割高した。この間、25日移動平均線が75日移動平均線を上抜くゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆しており、年初来高値更新後の次の上値目標は、年初来調整幅の倍返し2584円も想定内となってくる。(本紙編集長・浅妻昭治)

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