クレスコは戻り試す

 クレスコ<4674>(東1)はビジネス系ソフトウェア開発を主力として、カーエレクトロニクス関連などの組込型ソフトウェア開発も展開している。21年3月期は営業微減益予想としている。新型コロナウイルスの影響でIT投資の一時的減速を想定し、特に上期を保守的な予想としている。中期的に収益拡大を期待したい。株価は下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。

■ビジネス系ソフトウェア開発が主力で組込型ソフトウェア開発も展開

 ビジネス系ソフトウェア開発(アプリケーション開発、基盤システム構築)事業を主力として、組込型ソフトウェア開発事業、その他事業(商品・製品販売)も展開している。

 20年3月期セグメント別売上高構成比はソフトウェア開発事業82%(金融・保険分野27%、公共・サービス分野25%、流通・その他分野30%)、組込型ソフトウェア開発事業18%(通信システム分野1%、カーエレクトロニクス分野8%、情報家電等・その他分野9%)、その他事業(商品・製品販売等)0%だった。営業利益構成比(連結調整前)はソフトウェア開発事業72%、組込型ソフトウェア開発事業28%、その他0%だった。

 収益面では案件別の採算性が影響し、企業のIT投資関連のため年度末にあたる第4四半期の構成比が高くなる特性がある。配当方針は、連結経常利益をもとに特別損益を零とした場合に算出される親会社株主帰属当期純利益の30%相当を目途に、継続的に実現することを目指すとしている。

■質的・量的成長目指す

 中期成長に向けた5ヶ年経営ビジョン(16年4月~)では、経営方針としてCRESCO Ambition 2020に沿った経営、サービス品質強化による質的成長、リソース・技術戦略強化による量的成長、M&Aによる成長スピード拡大を掲げている。

 オリジナル製品・サービスでは、IoTの「KEYAKI」、AIの「Minervae」、クラウドの「Creage」を3大ブランドと定義し、ソフトウェア開発・システム開発の需要喚起を推進している。

 19年5月にはソフトバンクが運営するAIエコシステムプログラムにおいて、パートナー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。19年10月にはクレスコベトナムがオフショア開発の中核として稼働した。19年11月にはアマゾンのAWSパートナー制度で、AWS Well―Architectedパートナープログラム認定を取得した。20年2月には北海道大学公認のAIベンチャーである調和技研と資本業務提携、20年4月にはシステムインテグレーターのエニシアスを子会社化した。

■21年3月期営業微減益予想

 20年3月期の連結業績は、売上高が19年3月期比11.7%増の393億37百万円、営業利益が10.9%増の35億56百万円、経常利益が1.5%増の37億12百万円、純利益が5.9%増の24億21百万円だった。配当は20年2月1日付株式2分割遡及換算後で19年3月期比3円増配の36円とした。

 計画超の2桁営業増益だった。ソフトウェア開発は11.3%増収、7.6%増益だった。公共サービス分野の既存大口顧客(人材、旅行、運輸)のIT投資拡大が牽引し、流通・その他分野の子会社における受注拡大も寄与した。組込型ソフトウェア開発は13.5%増収、16.9%増益だった。カーエレクトロニクス分野のインフォティメント系が拡大した、センサー系も順調だった。

 21年3月期の連結業績予想は、売上高が20年3月期比1.7%増の400億円で、営業利益が4.4%減の34億円、経常利益が3.0%減の36億円、純利益が1.2%増の24億50百万円としている。配当予想は20年3月期と同額の36円(第2四半期末18円、期末18円)である。

 新型コロナウイルスの影響でIT投資の一時的減速を想定し、新規案件の中止・延期などの影響を見込んでいる。またテレワーク体制に伴う稼働率・生産性の低下も見込み、特に上期を保守的な予想としている。中期的に収益拡大を期待したい。

■株価は戻り試す

 株価(20年2月1日付で株式2分割)は下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。5月14日の終値は1373円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS116円72銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想36円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS770円72銭で算出)は約1.8倍、時価総額は約330億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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