ケイアイスター不動産の前3月期は売上高が17%増加し各利益とも連続最高を更新

■足元は「緊急事態宣言」後に物件サイトのPV1.7倍に増え受注も増加

ケイアイスター不動産<3465>(東1)が5月18日に発表した2020年3月期の連結業績は、引き続き、高品質かつ低価格なデザイン住宅、家賃以下で買える価格設定の戸建て住宅というコンセプトなどが好感され、売上高は1207億1000万円(前期比17.1%増加)となった。2015年の上場以来、5期連続で最高を更新した。

■引き続き「高品質かつ低価格なデザイン住宅」などが好調

 利益面でも最高を更新した。営業利益については、積極的なM&Aや人材投資などにより販売費・一般管理費が前期比約30%増加したものの、土地の仕入れから売り上げまでの期間短縮を重視した経営や工程改善などの効果により、営業利益は64億2500万円(同8.0%増加)となった。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、資本業務提携を行ったカマルク社(KAMARQ HOLDINGS PTE.LTD.)の投資有価証券に評価損を計上したものの最高を更新し35億8400万円(同3.5%増加)となった。

■株式取得と業務提携による「垂直型・水平型のM&A」を積極展開

 この期は、19年4月に、千葉県を中心に不動産仲介業、リフォーム工事などを行うBRエステート株式会社の株式を取得し連結子会社化した。8月には、埼玉県を中心に不動産仲介業を行う株式会社ハウスラインの株式を取得し連結子会社化した。

■すららネットとは子供が家で勉強に取り組みやすい住宅開発に着手

 業務提携では、6月にカマルク社と「住宅向けセンサー及びセンシング技術開発」の推進を開始。7月には、デジタル学習メソッド「すらら」などを開発したすららネット<3998>(東マ)との提携を発表し、子供が家庭内で勉強や読書に取り組みやすい仕様・環境の住宅と設備の開発に着手した。さらに、20年2月には、ホームセンター大手・株式会社カインズとの提携を発表した。

 営業エリアでは、10月に愛知県で営業を開始し、東海地区での事業を本格化。20年3月には、宮城県で営業を開始し、東北地区へ初進出した。

 こうした垂直型・水平型のM&Aについては、今後も案件に応じて検討する方針だ。今期・21年3月期に入っては、4月に東京ビッグハウス株式会社の株式取得(連結子会社化)を発表した。

■「緊急事態宣言」後は物件サイトのPVが1.7倍に増え受注も7%増加中

 今期・21年3月期の業績予想は、新型コロナウイルス感染による経済・社会への影響を養親に、現段階では未定とした。ただ、同社ホームページの物件ページのPV:ページビュー数は、「緊急事態宣言」の発出(20年4月7日)以後、1.7倍に増えており、直近(2020年4月1日~5月10日)の受注状況は、受注金額ベースで対前年比7%増加し、棟数では同5%増加しているという。

 「ステイホーム」による戸建住宅に対する需要の高まりや、テレワークなどを契機とする持ち家志向の高まりがあるとみられる。また、同社では5月から、新型コロナの影響で住宅ローン返済が困難になった顧客向けに、ローン返済月額の一部を9ヵ月間分支援する取組を開始した。(HC)

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