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朝日ラバーは下値切り上げ
- 2020/5/19 05:11
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
朝日ラバー<5162>(JQ)はシリコーンゴムや分子接着技術をコア技術として、自動車内装LED照明光源カラーキャップやRFIDタグ用ゴム製品などを展開している。21年3月期連結業績・配当予想は未定とした。当面は自動車関連が新型コロナウイルスによる経済収縮の影響を受けるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。
■自動車内装LED照明の光源カラーキャップが主力
シリコーンゴムや分子接着技術をコア技術として、自動車内装照明関連、卓球ラケット用ラバー、RFIDタグ用ゴム製品などの工業用ゴム事業、およびディスポーザブル用ゴム製品などの医療・衛生用ゴム事業を展開している。
自動車内装照明関連は、車載用小型電球の光源カラーキャップ「ASA COLOR LAMPCAP」や、車載用LED照明の光源カラーキャップ「ASA COLOR LED」が主力製品である。
20年3月期セグメント別売上構成比は工業用ゴム事業84%、医療・衛生用ゴム事業16%、営業利益構成比(調整前)は工業用ゴム事業70%、医療・衛生用ゴム事業30%だった。
第12次三カ年中期経営計画「V-2計画」では、事業分野を車載・照明、医療・ライフサイエンス、その他(卓球ラケット用ラバー、RFIDタグ用ゴム製品など)に再編し、新たな付加価値の創造や、ゴム技術を生かした機構部品の創造を推進している。車載・照明分野では、従来の自動車インテリア照明に加えて、新たにエクステリア市場に参入する。医療・ライフサイエンス分野では、独自開発の医療用回路部品などの市場投入を計画している。
技術開発では、RFIDタグ用ゴム製品で培った技術を活用した簡易睡眠ポリグラフ検査用着衣型ウェアラブルシステム、風車用プラズマ気流制御用電極、視認性に優れ疲労低減特性のある自動車内装照明用LEDなどの開発を推進している。
20年1月には、切り紙構造とゴムの複合により低応力で伸長し、耐久性に優れた新しい伸縮配線の開発を発表した。ゴムの復元力と立体的な構造によって生体センシング分野での活用が見込まれ、早稲田大学と北里大学の共同研究で発表されたウェアラブル筋電計測デバイスの一部に採用された。
■21年3月期連結業績・配当予想は未定
20年3月期連結業績は売上高が19年3月期比2.8%減の74億89百万円、営業利益が32.7%減の3億25百万円、経常利益が31.9%減の3億46百万円、純利益が58.8%減の1億45百万円だった。配当は10円増配の30円(第2四半期末10円、期末20円=普通配当10円+創立50周年記念配当10円)とした。
全体として需要回復遅れなどで減収減益だった。工業用ゴム事業は自動車用精密ゴム製品やRFIDタグ用ゴム製品が低調で3.4%減収、医療・衛生用ゴム事業は医療分野が堅調に推移して0.5%増収だった。なお特別損失に退職給付費用1億62百万円を計上した。
21年3月期連結業績・配当予想は未定とした。当面は自動車関連が新型コロナウイルスによる経済収縮の影響を受けるが、中期的に収益拡大を期待したい。
■株価は下値切り上げ
株価は徐々に下値を切り上げている。調整一巡して出直りを期待したい。5月18日の終値は541円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS983円98銭で算出)は約0.5倍、時価総額は約25億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)