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ジーニーは反発の動き
- 2020/5/19 10:38
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ジーニー<6562>(東マ)は、ネット媒体の広告枠を自動売買するアドテクノロジーをベースとして、マーケティングテクノロジー事業を展開している。21年3月期連結業績・配当予想は未定とした。当面は新型コロナウイルスに伴う経済収縮の影響が懸念材料となるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は4月の安値圏から反発の動きを強めている。出直りを期待したい。
■マーケティングテクノロジー事業を展開
インターネットメディアの広告収益最大化を図る独自のアドテクノロジー(ウェブサイトやスマートフォンアプリ等に各々の閲覧者に合った広告を瞬時に選択して表示させる技術)をベースとして、事業領域拡大戦略およびサービス提供地域拡大戦略を推進し、マーケティングテクノロジー事業(アド・プラットフォーム、マーケティングソリューション、海外)を展開している。
■アド・プラットフォームはDOOH領域にも積極展開
アド・プラットフォームは、ネットメディア向けプラットフォーム「GenieeSSP」を主力として、広告主向けプラットフォーム「GenieeDSP」などを展開している。
ネット広告取引は、RTB(広告枠を自動で瞬時にオークション形式で取引するシステム)によって取引されるが、同社独自の広告配信最適化アルゴリズムで効果的な広告配信を実現している。さらにビッグデータやAIを活用し、広告配信の精度向上や自動化に取り組んでいる。
事業領域拡大戦略の一環で、DOOH(交通広告や屋外広告など自宅以外の場所で接触する屋外デジタル広告)領域に積極展開しており、18年11月タクシー後部座席に設置されたデジタルサイネージ向け広告配信プラットフォームを開発し、19年2月にはDeNA<2432>のタクシー配車サービスでの本格運用を開始した。
20年1月には屋外広告(ビルボード)専門の広告会社ヒットと業務提携し、20年2月に首都高速道路沿い大型屋外ビジョン、20年3月には東京・渋谷ハチ公口および大阪・御堂筋沿いでプログラマティックOOH広告配信を開始した。
■マーケティングソリューションと海外も拡大
マーケティングソリューションは、CRM(顧客管理)/SFA(営業管理)システム「ちきゅう」、マーケティングオートメーション「MAJIN」、チャット接客ツール「chamo」などを展開している。
「ちきゅう」は、顧客管理CRMシステムおよび商談管理SFAシステムを一体化させたクラウド型サービスである。「MAJIN」は企業のマーケティング活動を自動化し、効率的に購買・契約等を行うためのプラットフォームで、19年9月には両プロダクトを連携させ、ワンプラットフォーム化を前進させている。
21年3月期は、「ちきゅう」を中心にSaaSビジネスをスケールさせていく方針だ。
海外は東南アジアを中心に「GenieeSSP」などを展開している。20年3月期下半期より、不採算案件の縮小など事業構造改革を推進しており、21年3月期は筋肉質な経営体質で早期の黒字化を目指す方針だ。
■22年3月期EBITDA30億円超目標
中期経営計画では目標値に22年3月期に売上高250億円、売上総利益60億円、EBITDA30億円超を掲げている。
事業ポーフォリオマネジメントとKPI管理を強化し、事業領域(事業軸)とサービス提供地域(地域軸)の拡大を推進する。マーケティングソリューションなど、利益率の高いプロダクトやストック型収益の構成比を高めて、中期的に収益力向上を目指す。
■21年3月期連結業績・配当予想は未定
20年3月期の連結業績は、売上高が19年3月期比4.1%減の143億48百万円、営業利益が91百万円の赤字(19年3月期は3億10百万円の赤字)、経常利益が1億41百万円の赤字(同3億30百万円の赤字)、EBITDAが2億14百万円(同19百万円)、純利益が1億78百万円の赤字(同5億44百万円の赤字)だった。
新型コロナウイルスの影響で、アド・プラットフォーム事業のデマンドサイドビジネスにおいて顧客の広告予算縮小の動きが強まり、売上高は計画を下回ったが、営業赤字は縮小し、EBITDAが大幅伸長した。また、20年3月期下半期は売上総利益率が大きく改善した。この点、アド・プラットフォーム事業におけるDOOH領域、およびマーケティングソリューション事業の拡大が寄与した。
その一方で、21年3月期連結業績・配当予想は未定とした。当面は新型コロナウイルスに伴う経済収縮の影響(広告出稿の減少、IT投資の抑制など)が懸念材料となるが、事業ポーフォリオマネジメントの強化継続により、中期的に収益拡大を期待したい。
■株価は反発の動き
株価は4月の安値圏から反発の動きを強めている。出直りを期待したい。5月18日の終値は714円、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS141円47銭で算出)は約5.0倍、時価総額は約128億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)