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松田産業は戻り試す
- 2020/5/21 07:16
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松田産業<7456>(東1)は貴金属関連事業および食品関連事業を展開している。21年3月期連結業績予想は未定(配当は増配予想)とした。当面は新型コロナウイルスによる経済収縮の影響に注意が必要となるが、収益拡大を期待したい。なお自己株式取得(上限16万株・2億円、20年6月1日~8月31日)を発表している。自己株式取得も好感して株価は反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。
■貴金属リサイクルや農林水産品販売を展開
貴金属リサイクル(貴金属事業)や産業廃棄物処理(環境事業)などの貴金属関連事業、および農林水産品を扱う食品関連事業を展開している。20年3月期の売上高構成比は貴金属関連事業62%、食品関連事業38%、営業利益構成比は貴金属関連事業79%、食品関連事業21%だった。
貴金属リサイクルは、半導体・電子材料部材・化成品などの貴金属製品をエレクトロニクス業界へ販売するとともに、半導体や電子部品を製造する過程で規格外となった部品(スペックアウト品)などの貴金属含有スクラップを国内外のメーカーから回収・処理・製錬することで、貴金属(金・プラチナ・パラジウムなど)をリサイクルする。
産業廃棄物処理は、写真の感光材料からの銀の回収、廃酸や廃アルカリの無害化中間処理など、産業廃棄物の回収・処理を行っている。無害化処理技術に強みを持ち、全国47都道府県での収集運搬業許可を得ている。
食品関連事業では、新たな販売市場の開拓および現地における仕入強化を推進している。19年10月には中華民国(台湾)市場において新規展開を開始した。
収益面では、半導体・電子部品などエレクトロニクス業界の生産動向、貴金属および食品市況の影響を受けやすい特性がある。
■22年3月期営業利益55億円目標
新中期経営計画(19年度~21年度)の目標値は22年3月期売上高2200億円、営業利益55億円、営業利益率2.5%、ROE6.0%としている。
貴金属関連事業では、基幹事業の基盤強化、資源循環ビジネスをはじめとする顧客価値提案強化と営業体制整備、自動車関連市場・化学関連市場・海外市場の拡大、E-スクラップ・高機能材料・LiBリサイクル等の事業領域拡大を推進する。食品関連事業では、基幹事業の基盤強化、強い商品づくりのための開発・品質保証・生産管理支援機能強化、顧客ニーズに応じた商品ラインナップ拡大、グローバル展開加速を推進する。
■21年3月期連結業績予想は新型コロナウイルス影響で未定
20年3月期連結業績は、売上高が19年3月期比1.3%増の2109億76百万円、営業利益が26.1%増の62億41百万円、経常利益が25.3%増の63億84百万円、純利益が19.3%増の40億46百万円だった。配当は4円増配の34円(第2四半期末17円、期末17円)とした。
計画超の大幅増益だった。貴金属関連は貴金属製品販売数量減少などで1.5%減収だが、貴金属相場の高騰に伴う販売価格上昇や原価低減効果で43.2%増益だった。食品関連は販売量増加や販売価格上昇で6.2%増収だが、運送費や保管料の増加で13.0%減益だった。
21年3月期の連結業績予想は未定とした。配当予想は2円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。当面は新型コロナウイルスによる経済収縮の影響に注意が必要となるが、収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は毎年3月末の継続1年以上保有株主が対象
株主優待制度は毎年3月31日現在、1単元(100株)以上を継続1年以上保有する国内在住株主を対象として株主優待品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は戻り試す
5月14日に自己株式取得を発表した。上限16万株・2億円、取得期間20年6月1日~20年8月31日としている。
株価は自己株式取得も好感して反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。5月20日の終値は1391円、今期予想配当利回り(会社予想の36円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2294円82銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約402億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)