マルマエは上値試す、受注回復傾向

 マルマエ<6264>(東1)は半導体・FPD製造装置向け真空部品などの精密切削加工事業を展開している。20年8月期増益予想である。4月の受注残高は前月比5.7%増、前年同月比27.6%増と回復傾向を強めている。新型コロナウイルスに関しては、可能な限りの感染防止策を取りながら工場稼働を維持する方針としている。収益拡大を期待したい。株価は戻り一服の形だが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■半導体・FPD製造装置向けの精密切削加工事業

 半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工事業を展開している。

 パイオニアプラズマディスプレイ鹿児島工場の一部を取得し、18年4月出水事業所として稼働、電子ビーム溶接(EBW)関連の生産も開始した。19年2月には本社を出水事業所内に移転し、本社機能の充実や業務の効率化を推進している。

 作業補助・介護ロボットの開発(鹿児島大学と共同研究)では、18年7月第二種医療機器製造販売業の許可を取得し、医療機器製造業の登録を行った。

 中期事業計画(19年8月期~21年8月期)では目標として、売上高80億円、営業利益24億円(営業利益率30%)、資産ベースROIC20%(18年8月期実績16.4%)、負債ベースROIC15%(18年8月期実績11.8%)、配当性向30%以上(年間最低配当額10円、ただし最終損益が赤字となる場合は見直しを行う)を掲げている。

 また21年8月期までに医療機器部門の事業化、自社FA技術構築による生産性革新も推進する。設備投資額は市場動向を見ながら判断するため、出水事業所が稼働した18年8月期の24.5億円をピークとして減少する見込みだ。

■20年8月期増益予想

 20年8月期の業績(非連結)予想(19年12月20日に売上高を下方修正、利益を据え置き)は、売上高が19年8月期比9.0%増の43億80百万円、営業利益が31.2%増の6億50百万円、経常利益が32.7%増の6億33百万円、純利益が0.8%増の4億40百万円としている。配当は19年8月期と同額の15円(第2四半期末10円、期末5円)としている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比4.2%減の20億18百万円、営業利益が21.2%増の3億64百万円、経常利益が16.2%増の3億41百万円、純利益が24.0%増の2億37百万円だった。

 全体として減収(半導体分野13.9%減収、FPD分野51.8%増収、その他分野82.1%減収)となり、コスト面では減価償却費が増加したが、限界利益率の良い案件の増加などで大幅増益だった。全体の受注高は17.7%増の20億32百万円(半導体分野7.6%増、FPD分野76.7%増、その他分野47.9%減)だった。

 第2四半期累計の進捗率は売上高46.1%、営業利益56.0%だった。通期予想は据え置いたが、期初時点で下期偏重の計画である。そして下期も受注回復傾向の見込みとしている。新型コロナウイルスに関しては、可能な限りの感染防止策を取りながら工場稼働を維持する方針としている。収益拡大を期待したい。

 なお月次受注残高(速報値)を見ると、20年4月は半導体分野が6億24百万円(前月比4.2%増、前年同月比12.5%増)、FPD分野が3億22百万円(前月比9.7%増、前年同月比73.5%増)、その他分野が4百万円で、合計が9億51百万円(前月比5.7%増、前年同月比27.6%増)となった。19年2月の合計6億20百万円をボトムとして回復傾向を強めている。

 今後の動向として、半導体分野は新型コロナウイルスの影響で6~7月の受注が弱含みとなる見込みとしている。FPD分野はシェア拡大で堅調見込みとしている。

■株主優待制度は毎年8月末時点で6ヶ月以上保有株主対象

 株主優待制度は、毎年8月末日現在6ヶ月以上継続1単元(100株)以上保有株主を対象として、クオカードを贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は上値試す

 株価は戻り一服の形だが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。5月22日の終値は884円、今期予想PER(会社予想EPS33円71銭で算出)は約26倍、今期予想配当利回り(会社予想15円で算出)は約1.7%、前期実績PBR(前期実績BPS406円65銭で算出)は約2.2倍、時価総額は約115億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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