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【アナリスト水田雅展の銘柄診断】パシフィックネットは5月期末一括で2%台後半の配当利回りに注目
- 2015/5/14 06:58
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
パシフィックネット<3021>(東マ)は中古パソコン・モバイル機器などのリユース事業を展開している。株価は第3四半期累計(6月~2月)の営業減益で4月の年初来高値620円から反落したが、大きく下押す動きは見られず560円近辺から切り返しの動きを強めている。5月期末一括で2%台後半の配当利回りに注目して4月高値を試す展開だろう。
パソコン、タブレット端末、スマートフォンなど中古情報機器の引取回収・販売事業を主力として、レンタル事業も展開している。13年10月に旗艦店としてオープンした「PC-NETアキバ本店」など全国主要都市に9店舗を展開し、主要仕入先のリース・レンタル会社や一般企業からの引取回収強化、生産性向上や業務プロセス効率化などで収益力を高めている。
全国主要都市8箇所の引取回収拠点や、ISO27001(ISMS)およびプライバシーマークに準拠した情報漏洩防止のためのセキュリティ体制に強みを持ち、企業や官公庁のセキュリティ意識やコンプライアンス意識の向上に伴って中古情報機器の入荷台数が大幅に増加している。データ消去サービスなども奏功して顧客カバー率が一段と広がり、大手金融機関からの中古情報機器引取回収も本格化している。
新サービスとして14年8月、レカム<3323>およびリステック(東京都)との3社協業で中小企業向けサーバー機器レンタルサービスを開始し、法人向け格安スマートフォンのサービスも開始した。
14年10月には企業・官公庁・自治体での使用済みIT機器の回収からデータ消去までの一連の作業を大幅に効率化する日本初のWebサービス「P-Bridge」の無償提供を開始した。IT資産管理ソフト大手エムオーテックス社とデータ連携し、当社の引取回収サービスの提供価値を高める戦略だ。15年2月には「P-Bridge」に関して特許出願した。今後は「P-Bridge」をソリューション・プラットフォームと位置付けて新たなサービスも投入する方針だ。
14年11月には、Windowsクラスルーム協議会の「Windowsクラスルーム包括プログラム」のサービスメニューとして「教育機関のお客様向けECOサービス」を展開すると発表した。教育現場におけるICT機器導入時・処分時のコスト削減サービスや、ICT機器処分時の情報漏洩などセキュリティリスクを軽減するサービスを教育機関向けに提供する。
4月10日にはイオンリテールとApple製品等の下取りサービスにおいて協業すると発表した。イオンリテールが運営するApple製品専門店「NEWCOM(ニューコム)イオンレイクタウン店」(埼玉県越谷市、4月17日オープン)における下取りサービスを協業で展開して仕入強化に繋げる。
5月11日には、マイナンバー制度対応ソリューションとして「IT資産のデータ消去・処分サービス」を「第12回情報セキュリティEXPO【春】」で展示することを発表した。今後、マイナンバー関連銘柄の注目銘柄として浮上するものと思われる。
今期(15年5月期)の連結業績見通し(7月15日公表)は、売上高が前期比4.8%増の42億53百万円、営業利益が同5.4%増の3億円、経常利益が同1.2%増の3億11百万円、純利益が同6.3%減の1億71百万円、配当予想が前期と同額の年間16円(期末一括)としている。
第3四半期累計(6月~2月)の連結業績は売上高が前年同期比17.2%増の32億88百万円、営業利益が同12.6%減の1億87百万円、経常利益が同11.4%減の2億02百万円、純利益が同14.8%増の1億57百万円だった。利益面では売上総利益率の低下で営業減益だったが、中古モバイル機器の需要増加で増収だった。
セグメント別に見ると引取回収・販売事業は売上高が同16.1%増の28億52百万円、営業利益が同12.0%減の1億71百万円だった。中古パソコンは「ウインドウズXP」機入れ替え一巡で需要が鈍化しているが、中古スマートフォン・タブレットなど中古モバイル機器への需要が増加している。マーケティング強化や顧客基盤拡大への取り組みも奏功して中古情報機器等の入荷台数が増加し、業者向け卸販売が好調に推移した。エンドユーザー向け販売は中古モバイル機器が好調だった。
レンタル事業は、売上高が同25.2%増の4億35百万円、営業利益が同18.4%減の15百万円だった。大手企業向けノートPC4000台超の大型案件(契約金額4億円)や、14年12月の衆院選向けノートPC1200台超の短期レンタル案件なども寄与して大幅増収だった。利益面では大型案件の実行に伴ってレンタル資産償却および一時経費が先行したため減益だった。
四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(6月~8月)11億50百万円、第2四半期(9月~11月)10億86百万円、第3四半期(12月~2月)10億52百万円、営業利益は第1四半期1億19百万円、第2四半期32百万円、第3四半期36百万円である。
通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高77.3%、営業利益62.3%、経常利益65.0%、純利益91.8%だった。営業利益と経常利益の進捗率がやや低水準だが、顧客対応強化の効果で中古情報機器の引取回収・販売が順調に増加し、保守・サポートなど付帯サービス関連も拡大する。生産性向上や業務プロセス効率化も寄与して第4四半期(3月~5月)の挽回が期待される。
株価の動きを見ると、第3四半期累計の営業減益で4月10日の年初来高値620円から反落したが、大きく下押す動きは見られず560円近辺から切り返しの動きを強めている。5月11日には597円まで戻す場面があった。
5月13日の終値575円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS33円23銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は2.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS352円83銭で算出)は1.6倍近辺である。
日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線を回復する動きだ。また週足チャートで見ると13週移動平均線近辺から切り返す動きだ。サポートラインを確認した形だろう。5月期末一括で2%台後半の配当利回りに注目して4月高値を試す展開だろう。