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スターティアホールディングスは上値試す
- 2020/5/27 07:43
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
スターティアホールディングス<3393>(東1)はデジタルマーケティング関連事業とITインフラ関連事業を主力としている。21年3月期はサブスクリプションモデルへの転換を推進する積極投資期間と位置付け、新型コロナウイルスの影響も考慮して赤字予想だが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は急伸して戻り高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■デジタルマーケティング関連やITインフラ関連を展開
AR(拡張現実)作成ソフトやMA(マーケティングオートメーション)ツールなどのデジタルマーケティング関連事業、情報通信機器の販売・施工・保守やシステムインテグレーションなどのITインフラ関連事業などを展開している。
20年3月期セグメント別売上構成比はデジタルマーケティング関連事業18%、ITインフラ関連事業81%、CVC関連事業0%、海外関連事業1%、その他0%だった。営業利益構成比(調整前)はデジタルマーケティング関連事業20%、ITインフラ関連事業89%、CVC関連事業▲8%、海外関連事業0%、その▲2%だった。ストック売上(サブスクリプション)比率はデジタルマーケティング関連事業62%、ITインフラ関連事業39%だった。
デジタルマーケティング関連事業は、AR作成ソフトCOCOAR、MAツールBowNow、電子ブック作成ソフトActiBook、アプリ制作ソフトApp Goose、商品データベース作成ソフトPlusdbなどアプリケーション開発・販売を展開し、統合型デジタルマーケティングサービスCloud Circus拡販やラインナップ充実を推進している。19年9月にはMAツール導入数が3000社を突破した。
ITインフラ関連事業は、MFP・ビジネスホン・UTM・ネットワーク機器など情報通信機器の販売・施工・保守、およびサーバ構築から運用保守までのシステムインテグレーションを展開している。18年11月には空調、新電力サービスを中心とする環境関連サービスを開始した。また19年2月サガスのOA機器関連事業、19年3月東和オフィスマシンの一部事業を譲り受けた。
CVC関連事業はキャピタルゲインを目的とした投資事業を展開している。海外関連事業は中国とシンガポールの現地法人が、日中間ブロードバンドインターネット提供、クラウド構築運用支援などを展開している。
■サブスクリプションモデルへの転換を推進
20年5月策定の中期経営計画では、目標値に25年3月期売上高310億円、営業利益33億円(デジタルマーケティング関連事業17億円、ITインフラ関連事業16億円)を掲げている。21年3月期から23年3月期は積極投資期間と位置付けて、24年3月期から収益化を見込む。そして25年3月期に向けて売上年平均成長率20%以上、ROE10%以上、時価総額500億円以上を目指すとしている。
重点戦略として、デジタルマーケティング関連事業はサブスクリプション収益モデルに完全転換し、マーケティング分野におけるDXを推進する。ITインフラ関連事業は新規出店、M&A、新商材提供によって顧客層の拡大を推進するとともに、デジタルマーケティング関連事業とのクロスセルで成長を加速させる。なおデジタルマーケティング関連事業はサブスクリプションモデルへの転換推進で、今後2年程度は収益が大幅に減少する見込みとしている。
配当の基本方針としては、積極投資期間の23年3月期まで毎年1円ずつ増配し、24年3月期以降は配当性向30%を目指すとしている。
■21年3月期は戦略転換の積極投資期間で赤字予想
20年3月期連結業績は、売上高が19年3月期比7.3%増の127億78百万円、営業利益が41.6%増の7億32百万円、経常利益が34.5%増の7億71百万円、純利益が32.0%減の2億19百万円だった。配当は19年3月期と同額の9円(第2四半期末3円、期末6円)とした。なお20年3月期末に創業25周年記念特別株主優待(20年3月末時点で100株以上保有株主に1000円分のQUOカードを贈呈、今回のみ)を実施した。
デジタルマーケティング関連事業が9.9%増収、ITインフラ関連事業が7.1%増収と伸長した。販管費抑制も寄与して営業利益と経常利益は計画を上回り、大幅増益で着地した。純利益は減損損失計上や繰延税金資産取り崩しで減益だった。
21年3月期連結業績予想は、売上高が20年3月期比1.7%増の130億円、営業利益が2億円の赤字(20年3月期は7億32百万円の黒字)、経常利益が2億円の赤字(同7億71百万円の黒字)、純利益が3億72百万円の赤字(同2億19百万円の黒字)としている。配当予想は1円増配の10円(第2四半期末3円、期末7円)である。
サブスクリプションモデルへの転換を推進する積極投資期間と位置付け、新型コロナウイルスの影響も考慮して赤字予想だが、中期的に収益拡大を期待したい。
■株価は上値試す
株価は急伸して戻り高値圏だ。1月の年初来高値に接近する場面もあった。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。5月26日の終値は680円、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約1.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS478円24銭で算出)は約1.4倍、時価総額は約70億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)