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テンポイノベーションは戻り試す
- 2020/5/28 06:44
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
テンポイノベーション<3484>(東1)は、飲食業を中心とする出店希望者向けに居抜き店舗を転貸借する店舗転貸借事業を展開している。21年3月期業績・配当予想は新型コロナウイルスの影響で未定としている。飲食業が打撃を受けているため当面は懸念材料として意識されるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は4月の上場来安値から反発して水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。
■飲食業の出店希望者向け居抜き店舗転貸借事業
首都圏の一都三県(特に東京都)において、飲食業の小規模事業者を中心とする出店希望者向けに、居抜き店舗を転貸借する店舗転貸借事業を展開している。
店舗転貸借事業は、仲介ではなく、サブリースでもなく、不動産業における第6のカテゴリーと位置付けている。不動産オーナーにとっては賃貸料収入の安定、不動産会社にとっては仲介収益機会の獲得、店舗出店者にとっては出店費用の削減、店舗撤退者にとっては閉店コストの削減というメリットがある。また飲食業は他の産業との比較で、開業・廃業による入れ替わりが激しいため、市場機会が豊富という特徴もある。
保有物件数(転貸借物件数)の増加に伴って賃料収益(ランニング収入)を積み上げるストック型ビジネスモデルである。20年3月末時点の転貸借物件数は19年3月期末比225件増加の1684件となった。また20年3月期第2四半期から報告セグメントに不動産売買事業を追加した。不動産業者との関係強化を目的として、一定の保有枠の中で資金効率を重視して売買を行う。
なおクロップス<9428>の連結子会社だが、営業上の取引はなく経営上の独立性を確保している。またCSR活動の一環として、飲食店舗を活用した子ども食堂を開催している。
■21年3月期予想は新型コロナウイルス影響で未定
20年3月期の業績(非連結)は、売上高が19年3月期比21.3%増の99億85百万円、営業利益が7.0%増の7億85百万円、経常利益が13.7%増の8億11百万円、純利益が10.7%増の5億64百万円だった。配当は19年12月11日付株式2分割遡及換算後で、19年3月期比2円増配の9円(期末一括)とした。
成約数が9.7%増の397件、期末転貸借物件数が225件増加の1684件と順調に増加し、不動産売買における高粗利案件成約も寄与して増収増益だった。
21年3月期業績・配当予想は新型コロナウイルスの影響で未定としている。飲食業が打撃を受けているため当面は懸念材料として意識されるが、中期的に収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は3月末対象でジェフグルメカード3000円分
株主優待制度は毎年3月末時点の1単元(100株)以上保有株主を対象として、全国共通お食事券ジェフグルメカード3000円分を贈呈(詳細は会社HP参照)している。
■株価は戻り試す
株価(19年12月11日付で株式2分割)は4月の上場来安値から反発して水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。5月27日の終値は762円、前期実績PBR(前期実績BPS142円84銭で算出)は約5.3倍、時価総額は約136億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)