ファンデリーは戻り試す

 ファンデリー<3137>(東マ)は健康食宅配事業を主力として、ヘルスケア総合企業を目指している。21年3月期は新工場の稼働で大幅増収だが、販管費の増加で減益予想としている。ただし健康食宅配市場は一人暮らし高齢者の増加に加えて、新型コロナウイルスによる巣ごもり消費も追い風となりそうだ。健康食メニュー開発力などを武器として、中期的に収益拡大を期待したい。株価は3月の安値圏から反発して水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。

■健康食宅配サービスのMFD事業が主力

 健康食宅配サービスのMFD(Medical Food Delivery)事業を主力として、マーケティング事業も展開している。20年3月期事業別売上高構成比はMFD事業89%、マーケティング事業11%だった。

 MFD事業は健康食(冷凍弁当)の通販カタログ「ミールタイム」などを医療機関や調剤薬局などを通じて配布し、顧客(個人)から注文を受けて宅配する。従来の食事宅配サービスと一線を画し、食事コントロールを通じた血液検査結果の数値改善を目指している。管理栄養士・栄養士が顧客の疾病・制限数値・嗜好などに合わせてメニューを選び、定期的に届ける「栄養士おまかせ定期便」も提供している。また初の生産拠点となる新工場が稼働し、事業構造をSPA(製造小売業)モデルへの転換を推進する。

 マーケティング事業は健康食宅配サービスから派生した事業として、食品メーカーなどへの健康食通販カタログ誌面の広告枠販売、食品メーカーからの商品サンプリングや健康食レシピ作成の業務受託、健康食レシピサイト運営などを展開し、収益源の多様化を推進している。

■MFD事業の会員数は増加基調

 MFD事業の会員数は、15年3月期末15万2771人、16年3月期末18万2905人、17年3月期末20万3441人、18年3月期末22万1727人、19年3月期末24万4651人、20年3月期末25万9985人と増加基調である。なお20年3月期末の定期コース会員数は8318人だった。1件あたり購入単価は概ね7000円前後で推移している。

 全国の医療機関や調剤薬局など2万ヶ所以上の紹介ネットワークを通じた効率的な顧客獲得、専門性の高い栄養士による「ヘルシー食」など多様な健康食の開発やカウンセリングが強みである。20年4月には、日々の食事において塩分摂取量を適正に保つことの重要性を啓蒙する「らくだ6.0プロジェクト」を開始した。

■21年3月期は販管費増加で減益予想

 21年3月期業績(非連結)予想は、売上高が20年3月期比50.2%増の50億28百万円、営業利益が7.4%減の5億円、経常利益が8.4%減の4億91百万円、純利益が8.9%減の3億14百万円としている。配当予想は20年3月期と同額の3円(期末一括)である。

 初の生産拠点となる新工場が稼働して大幅増収予想である。新工場稼働によって新商品「旬をすぐに」の製造・販売を開始する。利益は人件費や物流費など販管費の増加で減益予想としている。事業別にはMFD事業が51.5%増収だが20.9%減益、マーケティング事業が39.5%増収で37.6%増益の計画としている。

■23年3月期営業利益20億円目標

 中期経営計画「will2022」では目標値に23年3月期売上高100億円、営業利益20億円、営業利益率20%を掲げている。セグメント別目標は、MFD事業が売上高91億円、営業利益20億円、マーケティング事業が売上高6億円、営業利益4億円、新設予定のメディア事業が売上高3億円、営業利益2億円、営業利益調整の全社費用6億円としている。

 MFD事業では新工場稼働によってSPAモデルへの事業構造転換を推進し、圧倒的NO.1の健康食ブランドの確立を目指す。マーケティング事業では、医療機関リコメンドサンプリングを成長ドライバーとして大型契約獲得を推進し、商品力を高めてTVCMと競争できるサービス提供を目指す。新設予定のメディア事業では、ポイント家電を軸に自社の強みを活かした新事業を創出し、第3の収益柱を目指す。

 健康食宅配市場は一人暮らし高齢者の増加、生活習慣病患者や食事制限対象者の増加に加えて、新型コロナウイルスによる巣ごもり消費も追い風となりそうだ。健康食メニュー開発力などを武器として、中期的に収益拡大を期待したい。

■株価は戻り試す

 なお3月16日に自己株式取得(上限10万株・1億円、取得期間20年4月1日~20年6月30日)を発表している。

 株価は3月の安値圏から反発して水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。6月1日の終値は914円、今期予想PER(会社予想のEPS48円77銭で算出)は約19倍、今期予想配当利回り(会社予想の3円で算出)は約0.3%、前期実績PBR(前期実績のBPS477円13銭で算出)は約1.9倍、時価総額は約59億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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