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インフォコムは上値試す
- 2020/6/2 02:04
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インフォコム<4348>(東1)はITサービスや電子コミック配信サービスを主力としている。21年3月期増収増益予想である。新型コロナウイルスの影響は、電子コミック配信サービスでは巣ごもり消費が追い風となり、ITサービスでは直接的な影響が限定的だろう。収益拡大を期待したい。株価は戻り高値圏から一旦反落したが、素早く切り返している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■ITサービス事業とネットビジネス事業を展開
帝人<3401>グループで、ITサービス(医療機関・製薬企業・介護事業者向けヘルスケア事業、一般企業向けSIのエンタープライズ事業、RPAとAIを活用したWeb-ERPソフトGRANDITや緊急連絡・安否確認サービスなどのサービスビジネス事業)と、一般消費者向けのネットビジネス(子会社アムタスの電子コミック配信サービス「めちゃコミック」、女性向け・音楽系デジタルコンテンツ提供)を展開している。
20年3月期のセグメント別売上構成比はITサービスが43%、ネットビジネスが57%、営業利益構成比(連結調整前)はITサービスが40%、ネットビジネスが60%だった。
電子コミック配信サービスの拡大でネットビジネスが利益柱に成長している。なお20年3月末現在の「めちゃコミック」総会員数(有料会員数と無料会員数の合計)は約1170万人となった。またITサービス事業は年度末にあたる第4四半期の構成比が高い特性がある。
19年5月アムタスが韓国で電子コミック配信サービスを展開するピーナトゥーンを子会社化、アムタスとパピレス<3641>が海外への取次事業を行う共同出資会社アルド・エージェンシー・グローバル(AAG)を設立、介護人材紹介事業のスタッフプラスを子会社化、19年10月ヘルスケア分野に特化したベンチャーキャピタルHealthXCapitalが運営するファンドに出資、19年12月製薬企業向けMR営業支援プラットフォーム「DigiPro」の音声入力機能強化に向けてアドバンスト・メディアと業務提携、20年4月GRANDIT事業を子会社GRANDITに承継した。
■電子コミックとヘルスケアで持続成長
新中期経営計画(21年3月期~23年3月期)では、基本方針を電子コミックとヘルスケアを重点事業とする持続成長、サービス化による事業構造改革の推進、共創の積極的推進(M&A、海外展開)として、経営目標数値には、23年3月期売上高850億円~1150億円、EBITDA(営業利益+償却費)130億円~160億円、ROE15.0%以上を掲げている。
■21年3月期増収増益予想
21年3月期の連結業績予想は、売上高が20年3月期比14.8%増の670億円、営業利益が6.0%増の87億円、経常利益が5.2%増の87億円、純利益が2.8%増の57億円としている。配当予想は20年3月期と同額の31円(第2四半期末10円、期末21円)としている。
ITサービスは売上高が5.5%減の240億円(うちヘルスケアが2.1%減の105.6億円)で、営業利益が32.3%減の22億円の計画としている。新型コロナウイルスの影響で上期の営業活動が停滞する。また上期からの期ズレも含めて納品が下期偏重となる。ネットビジネスは売上高が30.4%増の430億円(うち電子コミックが30.8%増の427億円)で、営業利益が31.3%増の65億円としている。電子コミック配信サービスが好調に推移し、下期に予定しているコンテンツ拡充、アプリ版本格展開、広告強化などによるコスト増加を吸収する見込みだ。
新型コロナウイルスの影響は、電子コミック配信サービスでは巣ごもり消費が追い風となり、ITサービスでは直接的な影響が限定的だろう。収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は毎年9月末の株主対象
株主優待制度は毎年9月30日現在で1単元(100株)以上保有株主を対象として、保有株数および保有年数に応じて、優待商品と交換できる株主優待ポイントを贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は上値試す
株価は戻り高値圏から一旦反落したが、素早く切り返している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。6月1日の終値は2862円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS104円18銭で算出)は約27倍、今期予想配当利回り(会社予想の31円で算出)は約1.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS653円82銭で算出)は約4.4倍、時価総額は約1649億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)