【アナリスト水田雅展の銘柄分析】トシン・グループは調整一巡、低PBRで16年5月期増収増益期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 トシン・グループ<2761>(JQS)は電設資材などの卸売事業を展開している。株価はやや軟調展開だったが2600円近辺で調整一巡感を強めてきた。前期実績PBRは0.7倍近辺と割安な水準であり、来期(16年5月20日期)の増収増益期待で反発展開だろう。

 首都圏を中心として、電設資材や住宅設備機器などの卸売事業を展開する持株会社である。小口多数販売や、専門部署による得意先営業活動支援サービスなどを特徴としている。取扱商品や営業拠点網の拡充などで事業基盤強化を推進している。

 今期(15年5月20日期)の連結業績予想(7月4日公表)は売上高が前期比1.1%増の470億円、営業利益が同0.7%増の26億90百万円、経常利益が同1.2%増の35億90百万円、純利益が同1.1%増の21億円、配当予想が前期と同額の年間52円(第2四半期末26円、期末26円)としている。

 第3四半期累計(14年5月21日~15年2月20日)は、消費増税に伴う新築住宅着工戸数の低迷などで前年同期比2.8%減収、同12.9%営業減益、同11.8%経常減益、同11.7%最終減益だった。売上総利益率はやや改善したが、新本社ビル建築、システム関連投資、新規営業所開設などで販管費の増加も影響した。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(5月21日~8月20日)110億05百万円、第2四半期(8月21日~11月20日)115億38百万円、第3四半期(11月21日~2月20日)106億94百万円、営業利益は第1四半期4億81百万円、第2四半期6億円、第3四半期5億55百万円である。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高70.7%、営業利益60.8%、経常利益62.8%、純利益63.9%だった。やや低水準の形だが、今年は3月に開催となった当社最大の展示即売会「ジャンボ市」も寄与して挽回が期待される。

 来期(16年5月20日期)については消費増税の影響が一巡し、営業拠点網の拡充、新規得意先の開拓、小口多数販売の強化、得意先営業活動支援サービスの体制・機能強化など、グループ総合力を活かした付加価値サービス拡充の効果での増収増益が期待される。

 14年8月11日発表の自己株式取得(取得株式総数の上限60万株、取得価額総額の上限18億円、取得期間14年8月18日~15年7月31日)については、5月1日に自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)によって6300株(1株当たり2580円)を取得し、5月1日時点の累計取得株式総数は7万4100株、取得価額総額は2億765万8300円となった。

 株価の動きを見ると、2800円~2900円近辺でのモミ合いから下放れて軟調展開となり、4月30日には2580円まで下押す場面があった。ただしその後は2600円近辺で下げ渋り、調整一巡感を強めている。

 5月14日の終値2605円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS233円61銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間52円で算出)は2.0%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS3496円88銭で算出)は0.7倍近辺である。

 週足チャートで見ると52週移動平均線を割り込んで調整局面だが、日足チャートで見ると25日移動平均線突破の動きを強めている。前期実績PBRは0.7倍近辺と割安な水準であり、来期(16年5月20日期)の増収増益期待で反発展開だろう。

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