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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】山田コンサルティンググループは16年3月期営業増益・増配予想で増額含み、自己株式取得も評価材料
- 2015/5/15 06:52
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
山田コンサルティンググループ<4792>(JQS)は経営・財務・M&A関連のコンサルティング事業などを展開している。株価は適度な自律調整を交えながら高値を更新する展開だ。5月1日には年初来高値3735円まで上伸して07年1月以来の4000円台に接近している。16年3月期は営業増益・増配予想で増額含みであり、3%台の配当利回り、自己株式取得も評価材料だ。中期成長力を評価して上値追いの展開だろう。
各種コンサルティング事業を展開するグループの純粋持株会社である。傘下の事業会社では、山田ビジネスコンサルティングが経営・財務・事業承継・M&A支援などの経営コンサルティング事業、山田FASがM&A・企業再編の財務アドバイザイリー業務や中堅・中小企業対応M&A関連業務などの資本・株式・株主に関するコンサルティング事業、山田不動産コンサルティングが不動産有効活用などの不動産コンサルティング事業、東京ファイナンシャルプランナーズがFP資格取得講座などのFP関連事業、キャピタルソリューションおよび投資事業有限責任組合が投資・ファンド事業(事業承継・再生関連のファンド)を展開している。
中期経営目標としてROE20%以上を掲げ、重点戦略としては大手金融機関・証券会社・地方金融機関・提携会計事務所との連携強化、中堅・中小企業対応M&A関連分野の拡大、中国現地法人およびシンガポール支店を拠点とした中国・アジア展開の強化などを推進している。投資・ファンド事業では、事業承継問題を抱えている優良な中堅・中小企業をターゲットとして、投資リスクを最小限に抑えながら投資案件を発掘している。
またコンサルティングニーズが「事業再生」だけでなく「事業成長」も顕在化しているため、こうしたニーズに対応すべく、主力の経営コンサルティング事業では「事業再生コンサル」「事業成長コンサル」「事業承継・M&Aコンサル」を3本柱とするビジネスモデルへの変換を進めている。そして事業再生や事業承継を切り口としてM&Aコンサルを拡大している。
4月28日に発表した前期(15年3月期)の連結業績は売上高が前々期比9.4%増の84億81百万円、営業利益が同17.2%増の20億09百万円、経常利益が同22.8%増の22億07百万円、純利益が同14.7%減の13億83百万円だった。純利益は特別利益や繰延税金資産計上が一巡して減益だったが、全事業が順調に推移して売上高、各利益とも10月23日の増額修正値を上回った。
配当予想は4月28日に期末10円増額修正して年間100円(第2四半期末45円、期末55円)とした。13年10月1日付の株式100分割を考慮すると実質的に前々期比20円増配で、配当性向は34.8%となる。なおROE(自己資本当期純利益率)は同6.4ポイント低下して17.8%、自己資本比率は同5.2ポイント低下して81.9%となった。
セグメント別の営業利益(セグメント間取引消去前)を見ると、経営コンサルタント事業は同4.6%増の12億49百万円、資本・株式・株主に関するコンサルティング事業は同57.9%増の3億35百万円、不動産コンサルティング事業は同65.1%増の2億14百万円、FP関連事業は同12.2%増の73百万円、投資・ファンド事業は同23.1%増の1億35百万円だった。
経営コンサルタント事業では事業再生コンサルの売上が伸び悩んだが、事業承継・M&A関連が順調に増加した。M&A関連は件数28件・売上高10億22百万円で、前期の件数17件・売上高5億円から大幅に増加した。資本・株式・株主に関するコンサルティング事業は証券会社などとの連携によるM&A関連業務の案件受注が順調で、大型案件も寄与した。M&A関連は件数15件・売上高5億53百万円で、前期の件数8件・売上高1億67百万円から大幅に増加した。
不動産コンサルティング事業は提携会計事務所からの顧客紹介件数が増加して案件受注が順調だった。15年3月末の提携会計事務所は275で14年3月末比30増加した。FP関連事業は法人マーケットでのFP関連講座販売・研修が順調だった。投資・ファンド事業は投資先1社(事業再生ファンド)の株式売却によるキャピタルゲインが実現した。
なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)20億86百万円、第2四半期(7月~9月)20億59百万円、第3四半期(10月~12月)18億25百万円、第4四半期(1月~3月)25億11百万円、営業利益は第1四半期5億33百万円、第2四半期4億28百万円、第3四半期2億48百万円、第4四半期8億円だった。
今期(16年3月期)の連結業績予想(4月28日公表)は売上高が前期比6.1%増の90億円、営業利益が同4.9%増の21億10百万円、経常利益が同2.1%減の21億60百万円、純利益が同1.2%増の14億円、配当予想が同10円増配の年間110円(第2四半期末55円、期末55円)としている。
引き続き事業承継・M&A関連が順調に増加する見込みだ。なお投資・ファンド事業では投資株式の売却損益を見込んでいない。大型案件の有無によって収益が変動しやすい収益構造だが、会社予想はやや保守的な印象が強く増額含みだろう。中期的にも収益拡大基調が期待される。
なお4月28日に自己株式取得を発表した。取得株式総数の上限6万株(自己株式を除く発行済株式総数に対する割合1.25%)、取得価額総額の上限2億円、取得期間15年5月1日~16年3月18日としている。14年6月1日~15年3月20日(累計取得株式総数6万2700株、累計取得価額総額1億9973万6900円)に続く自己株式取得である。
株価の動きを見ると、適度な自律調整を交えながら高値を更新する展開だ。5月1日には年初来高値3735円まで上伸して07年1月以来の4000円台に接近している。中期成長力を評価する流れに変化はないだろう。
5月14日の終値3595円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS292円59銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間110円で算出)は3.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1695円57銭で算出)は2.1倍近辺である。
週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。16年3月期営業増益増額含み、増配予想、3%台の配当利回り、自己株式取得、そして中期成長力を評価して上値追いの展開だろう。