【特集】好需給株の一角に食い込んでいる地方銀行株に注目

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 今週の特集では、好需給株の一角に食い込んでいる地方銀行株に注目することにした。47銘柄には紀陽銀行<8370>(東1)伊予銀行<8385>(東1)阿波銀行<8388>(東1)の地銀株3行がランクインしているからだ。地銀株は、コロナ禍による信用リスク増大・貸倒費用の負担増、保有有価証券の減損損失などによる業績悪化を嫌って大きく売られ今年3月には軒並み年初来安値と谷底に転落した。そのうち3行が年初来高値を更新してきたもので、しかもPBRはなお1倍割れと解散価値以下で高値で追随してもリスクは相対的に低く、PER評価でも割り負け顕著と実態面でのフォローもある。

 事業環境も良好で、今週にも可決成立する今年度第2次補正予算案を手掛かりに政策関連人気が高まる可能性がある。今年4月の「緊急事態宣言」発出と同時に、経済対策として政府、日本銀行は、一体となって企業破綻防止のために資金繰り支援、つなぎ融資などを発動し、日本政策投資銀行などの無利子・無担保融資を拡充してきた。同融資は、スピード感を速め選択肢を多様化するために民間金融機関にまで利用を広げ、融資リスクを低減するために信用保証を組み込み、自前融資にはインセンティブを付与するなど至れり尽くせりの制度設計とした。第2次補正予算では、日本政策投資銀行の財政投融資規模に大幅な上積みが計画されており、「御用金融資」に拍車が掛かるはずだ。前週5日には、米長期金利が2カ月半ぶりの水準にまで上昇しており、利ザヤ拡大、運用環境の好転としてメガバンク株とともに地銀株の「谷深ければ山高し」のバリュー株買いを強めることになりそうだ。

■地銀最大級の広域連携行には低PER・PBR、信用好需給株が目白押し

 地銀株でまず注目は、北は北海道の北洋銀行<8524>(東1)から南は沖縄県の琉球銀行<8399>(東1)まで地銀最大級の広域連携を構築しているTUBASAアライアンスの参加行である。すでに年初来高値更新の伊予銀行と同様にほとんどの銀行が株不足と好需給となっている。そのうえ千葉銀行<8331>(東1)武蔵野銀行<8336>(東1)東邦銀行<8346>(東1)、北洋銀行が、今2021年3月期純利益を増益予想として、千葉銀行、武蔵野銀行がPER1ケタ台、東邦銀行、北洋銀行が10倍~11倍台、PBRはいずれも揃って1倍割れの低位にある。

 とくに東邦銀行は、前期業績を与信コストの負担増や保有有価証券の減損損失で下方修正したが、今期純利益は前期比83%増益と高変化予想にある。また琉球銀行も、前期業績を新型コロナウイルス感染症対応の緊急融資拡大で貸付コストが上昇したとして下方修正し、今期純利益も前期比39%減と見込んでいるが、前向きの連続減益と評価される展開も想定される。

■政策銀と協力協定締結行は政策関連人気が高まり上値アタック

 続いて日本政策投資銀行と「災害対策業務協力協定」を締結した地銀株にも目配りをしたい。ほとんどの地銀株が該当するが、前週末に年初来高値を更新した伊予銀行、阿波銀行もこの一角を占め、愛媛銀行<8541>(東1)は、今年3月に線虫癌検診関連で、大東銀行は、4月にSBIホールディングス<8473>(東1)の株式取得で年初来高値を取った実績もある。協定締結行は、いずれもPBRは1倍を割れ、PERも割安でほとんどが株不足の好需給にあり、今年度第2次補正予算待ちであることも共通している。

 数多い関連行のなかでPERが1ケタ台で信用取組に厚みのあるめぶきフィナンシャルグループ<7167>(東1)、静岡銀行<8355>(東1)広島銀行<8379>(東1)山口フィナンシャルグループ<8418>(東1)、またPERは10倍を超えるが逆日歩のついている九州フィナンシャルグループ<7180>(東1)コンコルディア・フィナンシャルグループ<7186>(東1)西日本フィナンシャルホールディングス<7189>(東1)京葉銀行<8544>(東1)などからマークしたい。

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