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星光PMCは戻り試す
- 2020/6/9 06:28
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星光PMC<4963>(東1)は製紙用薬品事業、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業、化成品事業を展開している。20年12月期は微減益予想である。当面は新型コロナウイルスの影響が意識されるが、次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)の拡販などで中期的に収益拡大を期待したい。株価は水準を切り上げて反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。
■製紙用薬品、印刷インキ用・記録材料用樹脂、化成品を展開
DIC<4631>の連結子会社で、製紙用薬品事業、樹脂事業(印刷インキ用樹脂、記録材料用樹脂、CNF、19年1月株式追加取得して連結子会社化した台湾・新綜工業(台湾)の粘着剤)、および化成品事業(子会社KJケミカルズの機能性モノマー)を展開している。
19年12月期売上高構成比は製紙用薬品事業61%、樹脂事業25%、化成品事業14%、利益構成比(調整前)は製紙用薬品事業57%、樹脂事業26%、化成品事業17%だった。
■21年12月期営業利益30億円目標
中期経営計画「New Stage 2021」では主要戦略として、環境経営の実践、収益性向上のための製品ポートフォリオ変革、海外事業の拡大、次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)や銀ナノワイヤー(AgNW)の事業化推進に向けた技術革新・用途開発の加速、新綜工業の業容拡大とグループ内でのシナジー創出などを掲げている。
目標数値には21年12月期の売上高320億円、営業利益30億円、営業利益率9.4%、海外売上高比率30%以上、Green Index(独自に定義した環境戦略製品売上高の18年12月実績を100とした指数)126を掲げている。セグメント別には、製紙用薬品事業の売上高185億円で営業利益(連結調整前)19億87百万円、樹脂事業(CNF、AgNW、新綜工業を含む)の売上高92億円で営業利益9億41百万円、化成品事業の売上高43億円で営業利益4億64百万円としている。
19年12月には東南アジアにおける製紙用薬品の生産拠点として、ベトナムにSEIKO PMC VIETNAMを設立した。21年末に生産開始予定である。
■CNF複合材料の採用拡大
次世代素材CNFは、すべての植物の植物細胞壁の骨格成分であるセルロースをナノサイズまで細かくほぐすことによって得られる繊維である。鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上強く、熱による変形が少ないなどの特徴がある。樹脂の補強材として機能させることで、自動車用樹脂の強度向上や金属部材からの置き換え、家電・モバイル機器の軽量化などでの需要が期待されている。
18年1月CNF複合材料「STARCEL」ブランドでの商業生産・製品出荷を開始した。18年6月には世界初のCNF強化樹脂応用製品の商品化として、アシックス<7936>の高機能ランニングシューズ製品のミッドソール部材の原材料に「STARCEL」が採用され、全世界で累計500万足以上販売されている。19年10月には環境省NCV(Nano Cellulose Vehicle)プロジェクト製作のコンセプトカーに採用された。拡販を期待したい。
■20年12月期微減益予想
20年12月期連結業績予想は、売上高が19年12月期比2.4%増の286億50百万円、営業利益が3.2%減の27億円、経常利益が2.8%減の27億60百万円、純利益が5.2%減の18億60百万円としている。配当予想は19年12月期と同額の16円(第2四半期末8円、期末8円)である。
セグメント別計画は、製紙用薬品が拡販によって2.2%増収で6.1%増益、樹脂が拡販で2.2%増収だが人件費や償却費の増加で6.0%減益、化成品が拡販で3.7%増収だが人件費や償却費の増加で16.2%減益としている。
第1四半期は売上高が前年同期比1.6%減の66億13百万円となり、営業利益が4.8%減の5億93百万円、経常利益が10.6%減の5億93百万円、純利益が21.9%減の3億90百万円だった。主力の製紙用薬品事業の需要減少で、全体として減収減益だった。
製紙用薬品事業は9.2%減収で31.8%減益、樹脂事業は3.0%減収だが原価低減効果で31.9%増益、化成品事業は輸出拡大で33.3%増収、48.9%増益だった。
当面は新型コロナウイルスの影響が意識されるが、次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)の拡販などで中期的に収益拡大を期待したい。
■株価は戻り試す
株価は水準を切り上げて反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。6月8日の終値は750円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS61円34銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想16円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS850円11銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約231億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)