フェローテックホールディングスは戻り試す

 フェローテックホールディングス<6890>(JQ)は半導体等装置関連事業を主力としている。21年3月期は第2四半期累計を営業減益予想としている。当面は新型コロナウイルスによる世界経済収縮の影響が意識されるが、半導体需要は拡大基調であり、中期的に収益拡大を期待したい。株価は3月の安値圏から下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。

■半導体等装置関連事業が主力

 半導体等装置関連事業(真空シールおよび各種製造装置向け金属加工製品、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、シリコンウェーハ加工、装置部品洗浄など)を主力として、電子デバイス事業(サーモモジュール、パワー半導体用基板、磁性流体など)も展開している。主力の真空シールは世界シェア6割強である。

 太陽電池関連事業(シリコン結晶製造装置、シリコン製品など)は撤退方針である。当面は自社販売から撤退してOEMに特化し、OEM用途以外の設備は半導体Siパーツ構造材用途への転換を進める。またOEM継続も短期的対応としている。撤退時期については、既存設備の売却交渉や撤退に伴う様々な影響度合いによって変更の可能性がある。

 20年3月期のセグメント別売上構成比は半導体等装置関連事業65%、電子デバイス事業17%、その他19%、営業利益構成比(調整前)は半導体等装置関連事業58%、電子デバイス事業38%、その他4%だった。

 19年3月には東洋刃物<5964>と資本業務提携して持分法適用関連会社化した。19年8月には中国の子会社が中国の投資ファンドと共同で、半導体シリコンウェーハ再生サービス事業参入のための新会社を設立すると発表した。20年1月にはアドバンテッジアドバイザーズと事業提携し、第三者割当(アドバンテッジアドバイザーズがサービスを提供するファンド)による第2回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行した。

 なお中国子会社FTHWが進めている半導体大口径ウェーハ工場建設工事に絡み、施工工事事業者から工事代金に関連した訴訟を提起されているが、20年5月には反訴を提起したと発表している。

■22年3月期営業利益125億円目標

 中期経営計画では目標値に22年3月期売上高1250億円~1300億円、営業利益120億円~130億円などを掲げている。半導体市場が不透明のためレンジ目標としている。

 戦略製品の4事業への注力を推進する。22年3月期の売上高目標は半導体マテリアルが391億円(19年3月期実績286億円)、ウェーハが282億円(同72億円)、パワー半導体が70億円(同20億円)、部品洗浄が85億円(同35億円)としている。太陽光電池事業は消耗品販売のみにシフトして事業ポートフォリオ改善を推進する。

 設備投資は中長期ニーズを見据えて、中国におけるウェーハ量産(22年3月期目標は大・中・小口径合計で月産約88万枚体制)を推進する。設備投資額は3期間合計で約710億円を予定し、中国における中・大口径ウェーハ投資が集中する20年3月期(480億円)がピークとなる見込みだ。株主還元は業績向上に伴って増配を検討する。

■21年3月期2Q累計営業減益予想

 20年3月期の連結業績(6月16日発表)は、売上高が19年3月期比8.8%減の816億13百万円、営業利益が31.5%減の60億12百万円、経常利益が47.1%減の42億63百万円、そして純利益が37.3%減の17億84百万円だった。

 電子デバイス事業(4.6%増収で17.0%増益)はパワー半導体用基板の伸長などで好調だったが、半導体等装置関連事業(7.2%減収で54.2%減益)が主力の真空シールやマテリアル製品の需要減速などで低調だった。

 21年3月期の連結業績については第2四半期累計予想のみを開示し、売上高が前年同期比4.4%減の400億円、営業利益が15.9%減の30億円、経常利益が1.1%増の25億円、純利益が2.6%減の15億円としている。配当予想は第2四半期末を前年同期と同額の12円としている。期末配当予想は未定である。

 当面は新型コロナウイルスによる世界経済収縮の影響が意識されるが、半導体需要は拡大基調であり、中期的に収益拡大を期待したい。

■株価は戻り試す

 株価は3月の安値圏から下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。6月17日の終値は725円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1303円89銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約270億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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