【どう見るこの相場】「材料より需給」優先で市場変更予備軍株に「小玉は成功」を目指しスタンバイ余地

どう見るこの相場

ミクシィ<2121>(東マ)の株価が、前週17日に窓を開けて約300円高と急騰し、売買高も、516万株と前日の12倍に急増する大賑わいとなった。前日16日に6月23日付けで東証第1部への市場変更が承認されたと発表し、マーケットの市場変更候補株リストの下馬評にものぼっていなかったのはサプライズだとして、買い物が殺到した結果である。しかし週末にかけて上値が重くなり、買い付いた「大玉」が回転が効くのかどうか、相場格言の「高値覚えは損」が心配されているようにみえる。翌17日に同じく東証第2部から東証第1部への昇格を発表した都築電気<8157>(東2)が、ストップ高したあとの週末も、買い増勢となったのとは対照的である。

 ミクシィは、2006年のIPO(新規株式公開)時も2013年の「モンスト」ブーム時も高株価実績があり、これを連想したなまじの「高値覚え」から、高人気再現期待の高値への飛び付き買い終わるのかと、これまた相場格言の「大玉は失敗、小玉は成功」を懸念しているのに違いないのである。ただ、諦めるのはまだ早い。チャンスはもう一度、来月7月末に残っている。7月末に同社株は、東証株価指数(TOPIX)に組み入れられるから、TOPIX連動型フアンドの買い需要をどのくらい呼び込むかで捲土重来を演じる可能性も捨て切れない。

 この「大玉は失敗、小玉は成功」の相場格言は、現在の一般投資家のセンチメントを如実に示唆しているのではないだろうか?前週末19日の米国のニューヨーク・ダウ30種平均が、新型コロナウイルス感染症の感染再燃で208ドル安と3日続落したように、マーケットでは「第2波」への懸念が依然として強く残り、にもかかわらず経済活動再開によるコロナ・ショックからの持ち直しへの期待を前かがりで高め、大きな悲観は後退したものの、大きな楽観にも程遠く、この間で振幅を繰り返し、1日の売買でも強気と弱気が交錯し日中値幅だけが拡大する日々が続いている。ということは、売り買いもおっかなびっくりの及び腰で、逆に相場は案外堅調に長持ちするかもしれないのである。

 ということは、投資スタンスとしては、リスクを最小化する「小玉は成功」向きの相場環境ということだろう。では「小玉投資」のターゲットは何か?これはもちろん相場鉄則の「材料より需給」の応用編である。サンプルは、ミクシィであり、都築電気である。市場を見渡せば、両社株と同様に東証第1部への市場変更を目指す小型株、新興市場株は目白押しで、候補株リストも出回っており、この予備軍銘柄の市場変更承認を待ち伏せすれば「小玉は成功」となるはずだ。

 この市場変更で最も確度の高いのは、東証第1部への上場を準備するため、形式要件を充足する株式の立会外分売を実施した予備軍銘柄である。例えばプロレド・パートナーズ<7034>(東1)は、今年4月28日に東証マザーズから東証第1部へ市場変更されたが、これに先立って昨年9月と今年3月に立会外分売を実施しており、とくに今年3月は2回(分売価格3343円、2935円)に及んだ。この株価効果は、今年3月の株式分割権利落ち後の安値2390円から6月の同高値5460円まで2.2倍化し、前週末19日も5000円大台をキープしたほどに大きい。

【関連記事情報】
【特集】立会外分売銘柄を中心に市場変更候補株に目配りして、「小玉成功株」にアプローチ

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■内蔵インヒールで自然な足長効果、フォーマルからビジネスまで対応  青山商事<8219>(東証プラ…
  2. ■デュアル周波数対応で通信の安定性を確保  世界的なDX進展を背景に京セラ<6971>(東証プライ…
  3. ■リアルタイム文字起こしと自動要約で議事録作成を効率化  シャープ<6753>(東証プライム)は2…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■低PER・高配当利回り、不動産・銀行株が市場を牽引  3月の東京都区部消費者物価指数が前年比2.…
  2. ■新年度相場のサブテーマは「物価」?!  米国のトランプ大統領は、「壊し屋」と奉る以外にない。その…
  3. ■新年度相場の初動として注目される値上げ関連銘柄  4月予定の値上げは、原材料価格上昇や物流費増加…
  4. どう見るこの相場
    ■トランプ関税懸念も『総論弱気、各論強気』の市場展開  「トランプ・ディール(取引)」と「トランプ…
  5. ■名変更会社の局地戦相場の待ち伏せ買いも一考余地  今年4月1日以降、来年4月1日まで社名変更を予…
  6. ■あの銘柄が生まれ変わる!市場を揺るがす社名変更、次なる主役は?  「トランプ・トレード」が、「ト…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る