KeyHolderは上値試す

 KeyHolder<4712>(JQ)は総合エンターテインメント事業を中心に新たな収益柱構築を目指している。当面は新型コロナウイルスで公演・イベント自粛などの影響を受けるが、中期的に収益改善を期待したい。なお株主優待制度の基準日および優待内容を変更(詳細は会社HP参照)する。また20年8月15日付(効力発生日)で10株を1株に併合する。株価は急伸して2013年以来の高値圏だ。目先的には過熱感だが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■総合エンターテインメント事業で新たな収益柱構築目指す

 Jトラスト<8508>グループで、17年10月旧アドアーズが持株会社へ移行して商号をKeyHolderに変更した。18年3月には子会社アドアーズを譲渡してアミューズメント施設運営領域から撤退し、ライブ・エンターテインメントやテレビ番組制作等の総合エンターテインメント事業を中心に、新たな収益柱構築を目指している。

 19年3月子会社SKEが芸能プロダクションAKSから譲り受けたSKE48事業を開始、19年3月SAMURAI&J PARTNERS<4764>と業務提携して新株予約権引き受け、19年4月広告・プロモーション企画制作のオルファスを子会社化、テレビ番組制作のフーリンラージを子会社化した。

 19年5月フーリンラージが民事再生手続申し立てのイメージフィールドとスポンサー支援基本合意書を締結、19年6月カラコン事業を開始、19年7月SKEが商号をゼストに変更、オルファスがKeyStudioを吸収合併、フーリンラージがイメージフィールドから映像制作事業を譲り受け、19年8月フーリンラージがKeyProductionを吸収合併、フーリンラージが商号をUNITED PRODUCTIONSに変更、19年10月映像制作クリエイター・スタッフ派遣のワイゼンラージを子会社化した。20年1月角川春樹事務所と各種イベント企画・運営およびモデル・タレントマネジメントの合弁会社ホールワールドメディアを設立した。

 なお20年5月には、女性アイドルグループ「乃木坂46」運営の芸能プロダクション会社ノース・リバーの全株式取得(20年7月1日予定)に関する基本合意書締結、および子会社キーノートにおける新事業開始(不動産特定共同事業法に基づくクラウドファンディング事業、20年7月上旬予定)を発表している。

■20年12月期黒字予想

 20年12月期連結業績(IFRS)予想は、19年12月期が決算期変更で9ヶ月決算のため比較はできないが、売上収益が160億円、営業利益が2億50百万円の黒字、親会社所有者帰属当期利益が50百万円の黒字としている。配当予想は19年12月期と同額の1円(期末一括)としている。

 総合エンターテインメント事業では所属アーティスト・タレントやコンテンツの拡充、エージェント機能の付与、新作ゲームアプリの展開、媒体・モデルを活用した情報発信・イベントの強化など、映像制作事業では海外映像配信プラットフォームへの着手、制作会社からコンテンツホルダーへの転換など、広告代理店事業では新規案件受託など、不動産事業では収益不動産の活用、戸建分譲の再構築などを推進する。

 第1四半期(1~3月)は売上高が32億75百万円、営業利益が1億44百万円の赤字だった。19年12月期が決算期変更で9ヶ月決算のため前年第1四半期(4~6月)との比較はできないが、売上拡大に注力した。当面は新型コロナウイルスで公演・イベント自粛などの影響を受けるが、中期的に収益改善を期待したい。

■株主優待制度の基準日および優待内容を変更

 株主優待制度は19年3月期末から対象株主を1000株(10単元)以上保有株主に変更した。さらに6月19日には、基準日および優待内容の変更(詳細は会社HP参照)を発表した。決算期変更に伴って20年12月期から基準日を毎年6月30日に変更したが、新型コロナウイルスの影響や株式併合(20年8月15日付で10株を1株に併合)を考慮して基準日を毎年12月31日に変更する。20年12月期の基準日(2020年12月31日)から実施する。

■株価は上値試す

 株価は急伸して2013年以来の高値圏だ。目先的には過熱感だが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。6月24日の終値は212円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS32銭で算出)は663倍、今期予想配当利回り(会社予想の1円で算出)は約0.5%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS72円43銭で算出)は約2.9倍、時価総額は約351億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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