- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- 【アナリスト水田雅展の銘柄分析】JFEシステムズは16年3月期会社予想に増額余地、高値圏モミ合いから上放れ期待
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】JFEシステムズは16年3月期会社予想に増額余地、高値圏モミ合いから上放れ期待
- 2015/5/18 07:11
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
JFEシステムズ<4832>(東2)は鉄鋼向けシステム構築を主力とする情報サービス企業である。16年3月期は営業微減益の会社予想だが増額余地がありそうだ。株価は高値圏1300円近辺でモミ合う展開だが煮詰まり感を強めている。日柄調整が一巡してモミ合い上放れの展開が期待される。
川崎製鉄(現JFEスチール)のシステム部門を分離した情報サービス企業である。鉄鋼向け情報システム構築事業を主力として、ERPと自社開発ソリューションを組み合わせた一般顧客向け複合ソリューション事業や、自社開発のプロダクト・ソリューション事業も展開している。
鉄鋼事業ではJFEグループの海外展開を支援すべく、タイCGL(溶融亜鉛めっきライン)工場向けで開発した海外製造拠点向け標準システムを、インドネシアCGL工場へ導入中だ。
またアライアンス戦略では、13年5月に大阪ガス<9532>子会社オージス総研と協業、ビジネスブレイン太田昭和<9658>と資本・業務提携した。
16年3月期スタートの新中期計画では、目標数値として最終年度18年3月期の売上高400億円以上、経常利益20億円以上、純利益12億円以上、EPS150円以上を掲げた。
重点課題をJFEスチール製鉄所業務プロセス改革への対応、ERPを核とした製造流通向けソリューション事業の拡大、基盤サービス事業の拡大に向けたクラウドサービスの立ち上げとして、自動車など製造業顧客基盤の拡大や、電子帳簿(e-文書保存ソリューション)など自社プロダクト拡販の推進も継続する。
さらにJFEスチール製鉄所業務プロセス改革への対応で多くの技術・ノウハウを蓄積し、基盤事業やソリューション事業に活用して一般顧客向け売上を拡大させ、高収益な事業構造への転換を推進するとしている。
4月27日に発表した前期(15年3月期)の連結業績は売上高が前々期比1.9%増の358億07百万円、営業利益が同54.2%増の17億01百万円、経常利益が同50.0%増の16億82百万円、純利益が同49.2%増の8億35百万円だった。
配当予想は同6円増配の年間28円(期末一括)で配当性向は26.3%となる。ROE(自己資本当期純利益率)は同2.5ポイント上昇して8.4%、自己資本比率は同1.8ポイント低下して49.5%となった。
事業別の売上高は、鉄鋼がJFEスチールのIT投資回復で同6.3億円増加の182億円、一般顧客が製造流通向け複合ソリューションの拡大などで同10.5億円増加の134億円、子会社は前々期の機器販売特需が一巡して同10.0億円減少の42億円だった。
全体として売上高は微増にとどまったが、鉄鋼向けの案件規模拡大、複合ソリューションの収益改善、子会社KITシステムズのサービス事業の収益改善などが寄与して大幅増益だった。売上総利益率は18.6%で同1.6ポイント上昇した。
四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4~6月)77億69百万円、第2四半期(7~9月)89億33百万円、第3四半期(10~12月)84億38百万円、第4四半期(1月~3月)106億67百万円、営業利益は第1四半期83百万円の赤字、第2四半期5億28百万円、第3四半期4億77百万円、第4四半期7億79百万円だった。第4四半期の構成比が高い収益構造であることを考慮しても営業損益は改善基調だ。
今期(16年3月期)の連結業績予想(4月27日公表)は売上高が前期比5.6%増の378億円、営業利益が同3.0%減の16億50百万円、経常利益が同1.3%減の16億60百万円、純利益が同16.2%増の9億70百万円、配当予想が同2円増配の年間30円(期末一括)としている。配当は上場後の最高となる。
売上面はJFEスチール向けや製造流通向けが好調に推移して増収、営業利益と経常利益は開発労務費の増加に加えて、製鉄所業務プロセス改革対応や基盤サービス事業強化といった戦略的先行投資コストを勘案して微減益、純利益は15年度税制改正の影響で増益見込みとしている。
事業別の売上高計画は、鉄鋼が同14.5億円増加の196億円、一般顧客が同5.5億円増加の140億円、子会社が同横ばいの42億円としている。企業のIT投資が高水準に推移することを考慮すれば、16年3月期会社予想には保守的な印象も強く増額余地がありそうだ。
株価の動きを見ると、15年3月期の大幅増益を好感する場面があったが、買いが続かず高値圏1300円近辺でのモミ合い展開が続いている。ただし下押す動きも見られずモミ合い煮詰まり感を強めている。
5月15日の終値1285円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS123円52銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は2.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1309円13銭で算出)は1.0倍近辺である。
週足チャートで見ると26週移動平均線が接近してきた。日柄調整が一巡して動意のタイミングだろう。指標面には割安感があり、16年3月期業績の増額余地を評価してモミ合い上放れの展開が期待される。