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インフォコムは高値更新
- 2020/7/10 07:41
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インフォコム<4348>(東1)はITサービスや電子コミック配信サービスを主力としている。21年3月期増収増益予想である。新型コロナウイルスに伴う新たな生活スタイルの浸透も追い風となり、電子コミック配信サービスが好調に推移している。上振れ余地がありそうだ。そして中期的にも収益拡大を期待したい。株価は上場来高値更新の展開となった。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。なお7月31日に第1四半期決算発表を予定している。
■ITサービス事業とネットビジネス事業を展開
帝人<3401>グループで、ITサービス(医療機関・製薬企業・介護事業者向けヘルスケア事業、一般企業向けSIのエンタープライズ事業、RPAとAIを活用したWeb-ERPソフトGRANDITや緊急連絡・安否確認サービスなどのサービスビジネス事業)と、一般消費者向けのネットビジネス(子会社アムタスの電子コミック配信サービス「めちゃコミック」、女性向け・音楽系デジタルコンテンツ提供)を展開している。
20年3月期のセグメント別売上構成比はITサービスが43%、ネットビジネスが57%、営業利益構成比(連結調整前)はITサービスが40%、ネットビジネスが60%だった。
電子コミック配信サービスの拡大でネットビジネスが利益柱に成長している。なお20年3月末現在の「めちゃコミック」総会員数(有料会員数と無料会員数の合計)は約1170万人となった。またITサービス事業は年度末にあたる第4四半期の構成比が高い特性がある。
19年5月アムタスが韓国で電子コミック配信サービスを展開するピーナトゥーンを子会社化、アムタスとパピレス<3641>が海外への取次事業を行う共同出資会社アルド・エージェンシー・グローバル(AAG)を設立、介護人材紹介事業のスタッフプラスを子会社化、19年10月ヘルスケア分野に特化したベンチャーキャピタルHealthXCapitalが運営するファンドに出資、19年12月製薬企業向けMR営業支援プラットフォーム「DigiPro」の音声入力機能強化に向けてアドバンスト・メディアと業務提携、20年4月GRANDIT事業を子会社GRANDITに承継した。
■電子コミックとヘルスケアを重点事業として持続成長
中期経営計画(2020年度~2022年度)では、高い成長性と収益性の両立を目指して、経営目標数値には23年3月期売上高850億円~1150億円「SI・サービス150億円、ヘルスケア150億円、電子コミック600億円、M&A」、EBITDA(営業利益+償却費)130億円~160億円、ROE15.0%以上を掲げている。M&Aでは戦略投資枠300億円を設定している。
基本方針は、電子コミックとヘルスケアを重点事業とする持続成長、サービス化の推進、共創の積極的推進(M&A、海外展開)としている。サービス化の推進では売上全体に占めるサービス比率を、現状の約6割から8割%超に引き上げる方針だ。
電子コミックは、市場の年成長率11.9%を想定し、市場を上回る20%以上の成長を目指す。オリジナルコミックの拡充、マーケティングの強化、独占先行配信の強化、アプリ版のフルリニューアル、配信システムの完全クラウド化、5G対応、海外展開、M&Aなどを推進する。さらに、新型コロナウイルスによる新たな生活スタイルの浸透も追い風となり、若年層を中心に電子で漫画を読む習慣の定着が期待されるため、想定を上振れる可能性が高まっている。
ヘルスケアは、要介護者の増加に伴って介護IT市場の急速な拡大が見込まれることに加えて、新型コロナウイルスを契機にオンライン診療やオンライン服薬指導の普及も期待されている。介護を注力領域として、新規領域の健康分野における企業向け健康経営サービス「WELSA」や、製薬MR向けオンライン営業支援サービス、海外への展開も強化する。オンライン医療サービスの事業化も検討中としている。
■21年3月期増収増益予想
21年3月期の連結業績予想は、売上高が20年3月期比14.8%増の670億円、営業利益が6.0%増の87億円、経常利益が5.2%増の87億円、純利益が2.8%増の57億円としている。配当予想は20年3月期と同額の31円(第2四半期末10円、期末21円)としている。
ITサービスは売上高が5.5%減の240億円(うちヘルスケアが2.1%減の105.6億円)で、営業利益が32.3%減の22億円の計画としている。新型コロナウイルスの影響で上期の営業活動が停滞する。また上期からの期ズレも含めて納品が下期偏重となる。ネットビジネスは売上高が30.4%増の430億円(うち電子コミックが30.8%増の427億円)で、営業利益が31.3%増の65億円としている。電子コミック配信サービスが好調に推移し、下期に予定しているコンテンツ拡充、アプリ版本格展開、広告強化などによるコスト増加を吸収する見込みだ。
なお電子コミック配信「めちゃコミック」の第1四半期の売上高は、四半期ベースで初めて100億円を突破した。新型コロナウイルスに伴う新たな生活スタイルの浸透も追い風となり、電子コミック配信サービスが好調に推移している。上振れ余地がありそうだ。そして中期的にも収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は毎年9月末の株主対象
株主優待制度は毎年9月30日現在で1単元(100株)以上保有株主を対象として、保有株数および保有年数に応じて、優待商品と交換できる株主優待ポイントを贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は高値更新
株価は上場来高値更新の展開となった。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。7月9日の終値は3220円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS104円18銭で算出)は約31倍、今期予想配当利回り(会社予想の31円で算出)は約1.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS653円82銭で算出)は約4.9倍、時価総額は約1855億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)