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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】チムニーは9月戻り高値から一旦反落したが調整一巡感、4月高値目指す
- 2014/10/27 07:25
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
大手居酒屋チェーンのチムニー<3178>(東1)の株価は、8月直近安値1920円から9月戻り高値2390円まで上伸した。その後は地合い悪化が影響して10月17日の2072円まで調整したが、足元では2200円台まで戻す場面があり調整一巡感を強めている。今期(14年12月期)増収増益見通しを評価して4月高値2675円を目指す展開だろう。なお11月7日に第3四半期累計(1月~9月)の業績発表を予定している。
売上高が業界5位規模の居酒屋チェーンで、直営とFCの飲食事業の他に、受託食堂のコントラクト事業も展開している。漁業などの一次産業、食材加工などの二次産業、店舗で商品を提供する三次産業まで一括管理する「飲食業の六次産業化」に向けた取り組みを強化している。仕入面では子会社の魚鮮水産が愛媛県で漁業権を保有し、13年には新たに2つの買参権を取得している。
飲食事業は居酒屋業態を直営とFCで展開し、主力の「はなの舞」「さかなや道場」に加えて、軍鶏(しゃも)をメインとする「龍馬軍鶏農場」や、新鮮な肉と魚の両方を浜焼きスタイルで楽しむ「豊丸水産」の新規出店や業態転換も積極推進している。13年7月には新業態を推進する子会社「めっちゃ魚が好き」を設立した。また今後の新規出店は、競合店が少なく高ROI(投資収益率)が見込める山陰・山陽道エリア、四国エリア、東北エリアへの出店を強化する方針だ。
コントラクト事業は、居酒屋事業で培った店舗運営ノウハウを活用して、官公庁の施設内を中心に受託食堂を展開している。メニュー見直しや人員配置再構築で収益力強化を目指し、14年4月には船橋中央病院(千葉県船橋市)の食堂事業を受託した。さらに16年度の新規受託に向けて入札準備を進めている。
今期(14年12月期)の連結業績見通しは前回予想(2月7日公表)を据え置いて、売上高が464億24百万円、営業利益が32億60百万円、経常利益が33億07百万円、純利益が15億87百万円としている。連結初年度のため前期非連結ベースとの比較で見ると5.4%増収、5.2%営業増益、3.1%経常増益、10.9%最終増益となる。配当予想は前期と同額の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。
既存店売上高は前期比98.0%、グループ全体の売上高は同3.4%増の700億円、新規出店は直営30店舗、FC5店舗、閉店は直営12店舗、FC12店舗の計画としている。新規出店、業態転換による既存店活性化、仕入価格見直しやメニュー改定による原価安定化、業務効率化や経費コントロール徹底などの効果で増収増益見込みだ。
第2四半期累計(1月~6月)は人件費増加などで営業減益だったが、新規連結や新規出店効果などで増収となり、商品ロス低減、調理技術力向上、買参権活用による仕入効率化、メニューミックスによる原価低減などの効果で売上総利益率が0.6ポイント上昇し、売上高・利益とも期初計画を上回った。消費増税の影響は軽微のようだ。
10月10日に発表した月次売上動向(直営店全業態、前年比)を見ると、14年9月は既存店が100.3%、全店が98.7%、1月~9月累計は既存店が99.0%、全店が100.1%となった。9月の既存店売上高は4月以来の前年比プラスに転じた。客単価の上昇も続いている。
なお9月の出店状況は、新規出店が直営1店舗(新規出店累計27店舗)、退店が直営1店舗、FCから直営への転換が2店舗で、14年9月末店舗数は直営399店舗(うちコントラクト100店舗)、FC305店舗の合計704店舗となった。この他に、子会社の紅フーズコーポレーション「新橋やきとん」は9月の新規出店1店舗で合計15店舗、めっちゃ魚が好き「豊丸」「鶴金」は10店舗である。
既存店売上高が堅調であり、今期の増収増益が期待される。さらに、親会社となったやまや<9994>、および第2位株主となったアサヒビールとの連携強化の効果も期待され、中期的に収益拡大基調だろう。
株価の動き(14年3月4日付で東証2部から東証1部へ指定替え)を見ると、8月8日の直近安値1920円から9月30日の戻り高値2390円まで上伸した。その後は全般地合い悪化が影響して10月17日の2072円まで調整したが、足元では2200円台まで戻す場面があり、調整一巡感を強めている。
10月24日の終値2171円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS84円38銭で算出)は25~26倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は0.9%近辺、実績PBR(前期実績の非連結ベースのBPS601円58銭で算出)は3.6倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で下げ渋る動きだ。サポートラインを確認した形だろう。今期増収増益見通しを評価して4月高値2675円を目指す展開だろう。