インフォマートは調整一巡、利用企業数は増加基調

 インフォマート<2492>(東1)は国内最大級の企業間電子商取引プラットフォームを運営している。20年12月期は先行投資で減益予想としている。新型コロナウイルスの影響については、当面は飲食業の活動収縮の影響が意識されるが、一方でテレワーク化の流れが請求書の導入拡大に追い風となりそうだ。利用企業数は増加基調であり、中期的に収益拡大を期待したい。株価は6月の戻り高値圏から反落して水準を切り下げたが、調整一巡して反発を期待したい。なお7月31日に第2四半期決算発表を予定している。

■国内最大級のBtoB(企業間電子商取引)プラットフォームを運営

 企業間の商行為を電子化するBtoBプラットフォームとして、受発注(従来の電話やFAXによる受発注業務を電子化したシステム)、規格書(食の安全・安心に関わる商品規格書を電子管理するツール)、請求書(請求書発行・受取業務を電子化したシステム)、商談(全国の食材売り手・買い手が商談できるマッチングサイト)、契約書(契約書締結をブロックチェーン基盤上で電子化したシステム)を運営している。

 19年12月期セグメント別売上構成比はBtoB-PF FOOD事業(受発注と規格書)80%、BtoB-PF ES事業(請求書と商談)20%、その他0%、営業利益構成比はBtoB-PF FOOD事業137%、BtoB-PF ES事業▲36%、その他▲0%だった。

 飲食店と食材卸・メーカー間のBtoB受発注を主力として、全業界を対象とするBtoB請求書も拡大している。新サービスとして、19年10月に食材自動発注、20年1月に電子請求書早払い、20年3月に他業界向け受発注をリリースした、また20年6月には景気変動に強い外食産業のビジネスモデル変革を支援するため、飲食店向け業務支援クラウドサービスを開発・提供するGoalsと業務提携した。

 売上高の約95%が月額システム利用料であり、利用企業数の増加に伴って収入が拡大するストック型収益モデルである。利用企業数は増加基調で継続利用率も高い。19年12月末の全体の利用企業数は38万7624社、事業所数は82万4920事業所、流通金額は11兆2690億円だった。国内最大級のBtoBプラットフォームである。20年3月には請求書の利用企業数が、サービス開始から5年で40万社を突破した。

■営業利益率30%以上目標

 中期業績目標には売上高100億円突破、営業利益30億円超、営業利益率30%以上を掲げている。BtoBプラットフォームの徹底的拡充・価値増大に取り組む。また将来を見据えた仕掛けとして、既存システム使用料以外の多様な収益源確保(多業界受発注、フード業界縦横展開、海外進出など)や、次世代BtoBプラットフォーム構築に向けた最先端テクノロジーの研究にも取り組む方針だ。

■20年12月期は成長投資で減益予想

 20年12月期の連結業績予想は、売上高が19年12月期比13.0%増の96億49百万円、営業利益が39.0%減の15億05百万円、経常利益が39.0%減の15億円、純利益が39.4%減の10億26百万円としている。なお配当予想は3.71円(第2四半期末1.85円、期末1.86円)としている。

 利用企業数の増加で増収(BtoB-PF FOOD事業が6.7%増収、BtoB-PF ES事業が37.9%増収の計画)だが、売上成長加速に向けた重点投資(サーバー体制の増強、営業人員の増加、販促費・マーケティング予算の増加)で、一時的に減益予想としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比9.0%増の21億79百万円で、営業利益が26.1%減の4億84百万円、経常利益が26.1%減の4億83百万円、純利益が44.6%減の3億33百万円だった。

 売上面は新型コロナウイルスで、受発注の売り手システム使用料が飲食店の食材仕入高減少の影響、請求書のセットアップ売上が一部新規契約の稼働延期の影響を受けたが、全体としては利用企業数の増加でBtoB-PF FOOD事業が5.6%増収、BtoB-PF ES事業が23.3%増収と伸長した。20年3月末時点の利用企業数は41万2391社、事業所数は86万6854事業所となった。

 利益面では、サーバー増強によるデータセンター費の増加、システム開発投資の増加、営業増強に伴う人件費や販促費の増加で減益だった。なおコストの計画比では、ソフトウェア償却費などが第2四半期以降に期ズレとなり、展示会の中止・延期などで販促費が計画を下回った。

 新型コロナウイルスの影響については、当面は飲食業の活動収縮の影響が意識されるが、一方でテレワーク化の流れが請求書の導入拡大に追い風となりそうだ。利用企業数は増加基調であり、中期的に収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価(20年1月1日付で株式2分割)は6月の戻り高値圏から反落して水準を切り下げたが、調整一巡して反発を期待したい。7月14日の終値は699円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS4円49銭で算出)は約156倍、今期予想配当利回り(会社予想の3円71銭で算出)は約0.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS48円64銭で算出)は約14倍、時価総額は約1813億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る