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パイプドHDは21年2月期予想に上振れ余地
- 2020/7/16 07:45
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
パイプドHD<3919>(東1)は情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として、情報資産プラットフォーム事業や販促CRMソリューション事業などを展開している。21年2月期は新型コロナウイルスの影響を考慮して保守的に減収減益予想としているが、上振れ余地がありそうだ。株価は戻り一服の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。
■情報資産プラットフォーム事業などを展開
国内最大規模の情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として事業展開している。
セグメント区分は、機能別事業群の情報資産プラットフォーム事業(スパイラルやBizBaseなどのクラウドサービス提供)、販促CRMソリューション事業(Webシステムの開発、ECサイトの構築・運営支援)、広告事業(インターネット広告代理販売)、および分野別事業群のxTech事業(ArchiTech:BIM事業、BeauTech:美歴、HRTech:オーダーメイド人材育成代行、FinTech:エルコイン)、社会イノベーション事業(政治山、I LOVE 下北沢、シモキタコインの運営)としている。
20年2月期の売上構成比は情報資産プラットフォーム事業68.4%、販促CRMソリューション事業15.5%、広告事業11.7%、xTech事業3.0%、社会イノベーション事業1.3%だった。
情報資産プラットフォーム事業は、契約数増加に伴って月額サービス収入が拡大するストック型の収益構造である。広告事業の売上高は、広告枠の仕入高を売上高から控除する純額表示(ネット表示)としている。
■情報資産の有効活用を推進
重点戦略としてリアルビジネスとの接点の強化、イノベーティブな事業への挑戦、グループ全体の採用・育成の強化、グループ各社の情報資産の有効活用を推進している。
電子地域通貨プラットフォームを提供するエルコインの子会社シモキタコインは、エルコインの電子地域通貨プラットフォーム発行事業者第1号として、下北沢で行われるイベントや商業施設等で利用される電子地域通貨を発行している。
政治・選挙情報サイト「政治山」を運営するVOTE FORは、自治体向けオープンデータ化・活用サービス「マイ広報紙」を展開するパブリカと合併し、収益性向上を推進している。20年7月には「つくばスマートシティ協議会」に参画した。
20年3月にはコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)として投資事業を行う新会社ダブルシャープ・パートナーズ設立を発表した。20年夏頃からCVCファンドを組成・運営する。赤字が続いていた人材育成代行事業の子会社ブルームノーツについては解散(20年夏頃清算結了予定)する。20年5月には子会社パイプドビッツフレンディットの「スパイラルプレース」を譲り受けた。
■21年2月期減収減益予想だが上振れ余地
21年2月期連結業績予想(6月30日に売上高、利益ともレンジ予想の下限値を上方修正)は、売上高が58億円~62億円(20年2月期比6.6%減~0.1%減)、営業利益が10億円~12億円(同28.1%減~13.7%減)、経常利益が10億円~12億円(同28.7%減~14.4%減)、純利益が5億円~6億円(同27.4%減~12.8%減)としている。配当予想は未定としている。
新型コロナウイルスによって商談停滞など営業活動に影響が生じているため、保守的に減収減益予想としている。また非常事態の状況が比較的早期に回復してくる場合と、20年8月末まで継続する可能性を想定してレンジ予想としているが、5月25日に全国で緊急事態宣言が解除されたため、悪い方のシナリオの懸念が小さくなったとして下限値を上方修正した。
第1四半期は、売上高が新型コロナウイルスの影響で前年同期比0.9%減の14億54百万円と微減収だったが、広告管理業務の内製化やスパイラルの生産性向上効果で営業利益が33.6%増の2億83百万円、経常利益が31.3%増の2億83百万円、純利益が34.6%増の1億77百万円と大幅増益だった。
通期予想上限値に対する第1四半期の進捗率は、売上高が23.5%、営業利益が23.6%と概ね順調である。期後半の回復を考慮すれば、通期予想に上振れ余地がありそうだ。
■株価は戻り試す
4月21日発表の自己株式取得(上限50万株・5億円、取得期間20年4月22日~20年10月21日)は、6月30日時点で累計取得株式数が8万6100株となった。
株価は戻り一服の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。7月15日の終値は1434円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS上限73円84銭で算出)は約19倍、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS477円39銭で算出)は約3.0倍、時価総額は約117億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)