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マーチャント・バンカーズはANGOO FinTech関連を強化
- 2020/7/17 07:45
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
マーチャント・バンカーズ<3121>(東2)は成長戦略として、投資事業やブロックチェーン技術を活用した事業(ANGOO FinTech関連)を強化している。21年3月期はマーチャント・バンキング事業が牽引して大幅増益予想としている。ANGOO FinTech関連も寄与して中期的に収益拡大を期待したい。株価は戻り高値圏だ。やや乱高下する場面もあるが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■マーチャント・バンキング事業とオペレーション事業を展開
マーチャント・バンキング事業(国内外の企業および不動産向けの投資事業)と、オペレーション事業(宿泊施設・ボウリング場・インターネットカフェ店舗・服飾雑貨店の運営、病院食業務受託)を展開している。20年3月期の営業利益構成比(調整前)はマーチャント・バンキング事業が102%、オペレーション事業が▲2%だった。
賃貸用収益不動産およびオペレーション事業によって安定的なキャッシュ・フローを獲得し、投資事業やブロックチェーン技術を活用した事業(ANGOO FinTech関連)を成長戦略として強化している。なお20年6月には、医療分野への融資を重点分野として貸金業への取り組みを開始した。
■マーチャント・バンキング事業は企業・不動産向け投資
マーチャント・バンキング事業は、国内外の企業および不動産向け投資を展開している。企業投資はブロックチェーン・AI・再生医療の3分野を重点的投資分野として、投資先とともに企業価値を創造するハンズオン型の投資を行う。
企業投資実績としては、ブロックチェーンプラットフォーム開発のアーリーワークス、デジタルマーケティング支援のポイントスリー、ブライダル・ホテル運営のホロニック、見守り型介護ロボット開発のIVホールディングス、金属コーティング加工のCN Innovationsがある。
20年1月にはアーリーワークスがNEC通信システムと、超高速次世代型ハイブリッドデータベースに関する共同研究を開始した。20年2月にはアーリーワークスがバレットグループと業務提携し、デジタル広告におけるブロックチェーンの有効性に関する共同検証を開始した。
不動産投資は、ネット利回り5%以上を期待できる大都市圏の賃貸用マンションやホテルを中心に物件を保有し、年間7億円の賃料収入を安定的に確保している。今後は新たな賃貸用不動産取得による収益基盤強化を進めるとともに、不動産特定共同事業法にかかる許可を取得して多様な資金調達手段の確保に取り組む方針だ。なお20年4月には新生インベストメント&ファイナンスと業務提携、20年6月には保険代理店の九の里と業務提携した。
■オペレーション事業は活性化・拡大を推進
オペレーション事業は、岐阜県土岐市の土岐ボウリング運営、兵庫県加古川市の加古川プラザホテル運営、愛媛大学医学部付属病院の病院食業務受託、東京都内2店舗のインターネットカフェ運営、子会社ケンテンの服飾雑貨店運営を展開している。
今後の戦略としては、大株主アートポートインベストの関連会社アートポートアジア(香港)が著作権を持つ映像コンテンツや、子会社MBKブロックチェーン中心に取り組んでいるブロックチェーン技術を活用して、オペレーション事業の活性化・拡大を推進する。
20年1月LED照明・節水装置などの製造・販売・設置工事を展開するアビスジャパンを持分法適用関連会社化、20年2月アビスジャパンが生活協同組合アイネットコープ埼玉と業務提携、20年4月アビスジャパンが日本医療企画と業務提携、ケンテンが食品のネット販売を開始、ケンテンがマスクなどネット販売取扱商品を拡充、20年5月アビスジャパンが空き家対策事業および電力小売事業への取り組みを開始、20年6月アビスジャパンが節水事業への取り組みを開始、20年7月人工知能分野の先進的企業であるiFLYTEKの日本法人AISと日本市場でのマーケティングで業務提携した。
■成長戦略としてブロックチェーン技術を活用した事業を強化
成長戦略として、不動産などの資産に裏付けされたトークンを発行するSTO(Security Token Offering)など、ブロックチェーン技術を活用した事業(決済・送金等の金融サービス、不動産の流動化、資金調達など)を強化する。18年11月資本業務提携したアーリーワークスのブロックチェーンプラットフォームを採用し、子会社MBKブロックチェーンがプロモーション活動全般の企画を行い、業務受託料を得る。
19年1月仮想通貨Z502のイノベーション合同会社と資本業務提携、19年5月大株主のアートポートインベストと共同で設立した新会社がユーロ圏で営業ライセンス保有する仮想通貨交換所CRYPTOFEXの運営会社CR社(エストニア)を買収、19年7月仮想通貨交換所のブランド名をANGOO FinTech(アンゴーフィンテック)に変更、19年8月子会社MBKブロックチェーンがCR社と独占的業務委託契約を締結した。
20年2月にはANGOO FinTechのサービスを開始、20年3月には子会社MBKブロックチェーンが業務を開始した。そして20年5月にはMBKブロックチェーンが、ANGOO FinTechを所有するエストニア法人から、ANGOO FinTech運営業務を受託し、業務委託料としてANGOO FinTechの粗利益の80%を受領することで合意した。
なお19年9月香港のBS証券とアジアの企業を対象としたSTOビジネスに関して業務提携、19年10月エストニアで不動産投資プラットフォームを構築・運営するBOP社と業務提携、20年2月エストニア駐在員事務所を開設した。
20年6月には、世界有数のグローバル・インベストメント・ファンドであるAlpha Square Groupによって出資・運営されている大手暗号資産交換所運営会社IDCMの台湾法人IDCM TAIWANと、暗号資産関連業務での業務提携に基本合意した。20年7月には、日本でセキュリティートークン関連のソリューション事業に取り組んでいるレヴィアスと、セキュリティートークン発行取引プラットフォームシステム関連業務での業務提携に基本合意した。
■21年3月期大幅増益予想
21年3月期の連結業績予想は、売上高が20年3月期比2.1%増の25億円、営業利益が2.8倍の6億円、経常利益が4.6倍の5億円、純利益が3.6倍の3億円としている。配当予想は1円増配の2円(期末一括)である。
オペレーション事業が新型コロナウイルスの影響を受けるが、マーチャント・バンキング事業が牽引して大幅増益予想としている。ANGOO FinTech関連も寄与して中期的に収益拡大を期待したい。
■株価は上値試す
株価は戻り高値圏だ。やや乱高下する場面もあるが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。7月16日の終値は331円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS10円77銭で算出)は約31倍、今期予想配当利回り(会社予想2円で算出)は約0.6%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS126円17銭で算出)は約2.6倍、時価総額は約92億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)