マルマエは上値試す、20年6月末の受注残高は前年比14.4%増と好調

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 マルマエ<6264>(東1)は半導体・FPD製造装置向け真空部品などの精密切削加工事業を展開している。20年8月期大幅増益予想である。20年6月度の月次受注残高は前年比14.4%増と好調だった。受注が回復基調であり、好業績を期待したい。なお鹿児島・熊本地区における集中豪雨では被害が発生していないとしている。株価は18年9月以来の高値圏まで上伸した。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■半導体・FPD製造装置向けの精密切削加工事業

 半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工事業を展開している。

 パイオニアプラズマディスプレイ鹿児島工場の一部を取得し、18年4月出水事業所として稼働、電子ビーム溶接(EBW)関連の生産も開始した。19年2月には本社を出水事業所内に移転し、本社機能の充実や業務の効率化を推進している。

 作業補助・介護ロボットの開発(鹿児島大学と共同研究)では、18年7月第二種医療機器製造販売業の許可を取得し、医療機器製造業の登録を行った。

 中期事業計画(19年8月期~21年8月期)では目標として、売上高80億円、営業利益24億円(営業利益率30%)、資産ベースROIC20%(18年8月期実績16.4%)、負債ベースROIC15%(18年8月期実績11.8%)、配当性向30%以上(年間最低配当額10円、ただし最終損益が赤字となる場合は見直しを行う)を掲げている。また21年8月期までに医療機器部門の事業化、自社FA技術構築による生産性革新も推進する。

■20年8月期大幅増益予想

 20年8月期の業績(非連結)予想(6月10日に売上高を下方修正、各利益を大幅に上方修正)は、売上高が19年8月期比8.6%増の43億64百万円、営業利益が73.1%増の8億58百万円、経常利益が72.9%増の8億25百万円、純利益が48.4%増の6億48百万円としている。配当予想は19年8月期と同額の15円(第2四半期末10円、期末5円)である。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比7.9%増の31億82百万円、営業利益が75.8%増の6億29百万円、経常利益が73.8%増の6億円、そして純利益が2.2倍の4億93百万円だった。半導体分野は2.2%減収だが、FPD分野がEBW(電子ビーム溶接)関連が好調で72.7%増収と大幅伸長した。コスト面では減価償却費が増加したが、限界利益率の良い案件が増加して大幅増益だった。なお受注は半導体分野が13.1%増、FPD分野が81.0%増だった。

 第3四半期累計の進捗率は売上高72.9%、営業利益73.3%と順調だった。受注が回復基調であり、通期ベースでも好業績を期待したい。

■20年6月末の受注残高は前年比14.4%増と好調

 なお月次受注残高(速報値)を見ると、20年6月は半導体分野が5億99百万円(前月比1.3%減、前年同月比11.7%増)、FPD分野が2億51百万円(前月比13.8%減、前年同月比21.5%増)、その他分野が5百万円、合計が8億56百万円(前月比5.2%減、前年同月比14.4%増)となった。19年2月の合計6億20百万円をボトムとして回復基調である。検収が好調だったため前月比では減少だが、前年比では2桁増と好調だった。

 今後の動向として、半導体分野はロジック関連投資の一時的停滞で8~9月に谷となるが、メモリ向けの回復や新規顧客の増加などで受注拡大見込みとしている。FPD分野は市場がやや停滞気味だが、シェア拡大で堅調見込みとしている。

■株主優待制度は毎年8月末時点で6ヶ月以上保有株主対象

 株主優待制度は、毎年8月末日現在6ヶ月以上継続1単元(100株)以上保有株主を対象として、クオカードを贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は上値試す

 株価は18年9月以来の高値圏まで上伸した。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。7月17日の終値は1088円、今期予想PER(会社予想EPS50円06銭で算出)は約22倍、今期予想配当利回り(会社予想の15円で算出)は約1.4%、前期実績PBR(前期実績BPS406円65銭で算出)は約2.7倍、時価総額は約142億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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