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Jトラストは持続的成長企業の実現を目指す
- 2020/7/21 07:16
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
Jトラスト<8508>(東2)は日本、韓国・モンゴル、およびインドネシアを中心とする東南アジアで金融事業を展開し、持続的成長企業の実現を目指している。20年12月期営業黒字予想である。当面は新型コロナウイルスによる世界経済収縮の影響が意識されるが、収益回復を期待したい。株価は戻り一服の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。
■日本、韓国・モンゴル、インドネシア中心に金融事業を展開
日本、韓国・モンゴル、およびインドネシアを中心とする東南アジアで、金融事業(銀行、信用保証、債権回収、クレジット・信販、その他の金融)を展開している。グループビジョンには「既成概念にとらわれないファイナンシャルサービスを提供する企業体を目指す」を掲げ、アジアの銀行業を中心とする持続的成長企業の実現を目指し、M&Aや債権承継などを積極活用して事業基盤を強化している。
19年12月期(決算期変更で9ヶ月決算)のセグメント別営業利益は、日本金融事業30億85百万円、韓国・モンゴル金融事業75億円、東南アジア金融事業46億47百万円の赤字、総合エンターテインメント事業1億59百万円の赤字、不動産事業8億29百万円、投資事業17億68百万円の赤字、その他事業4億72百万円の赤字だった。
日本金融事業は日本保証、Jトラストカード、パルティール債権回収など、韓国およびモンゴル金融事業はJT親愛貯蓄銀行、JT貯蓄銀行、JTキャピタル、TA資産管理、モンゴルのファイナンス事業会社CCIなど、東南アジアは金融事業をJトラスト銀行インドネシア、投資事業をJトラストアジアが展開している。
19年4月にはSAMURAI&JPARTNERS<4764>が発行する新株予約権を引き受けて業務提携、19年8月にはカンボジアの商業銀行ANZRoyalBankを子会社化(商号変更してJトラストロイヤル銀行)した。
なおJトラストアジアは、東南アジアにおけるリテール分野への進出を企図して販売金融事業のタイGL社に出資するとともに、タイGL社と共同でインドネシアに割賦販売金融事業のGLFI社(出資比率20%)を設立したが、17年10月タイGL社CEOである此下益司氏がタイSECから偽計および不正行為で刑事告発されたため、現在はタイGL社、此下益司氏およびGLの関連取締役に対して、刑事告発手続き、会社更生法申し立て・補償請求・賠償請求などの訴訟を提起している。
総合エンターテインメント事業と不動産事業は子会社のKeyHolder<4712>が展開している。KeyHolderは18年3月、子会社アドアーズの全株式を譲渡してアミューズメント施設運営から撤退し、ライブ・エンターテインメント事業で新たな収益柱の構築を目指している。
収益はM&A・事業再編・不良債権処理などで大幅に変動する可能性がある。利益配分については、将来の経営環境や業界動向を総合的に勘案しながら、積極的な利益還元を図ることを基本方針としている。
■20年12月期営業黒字予想、1Qは黒字化と順調
20年12月期連結業績(IFRS)予想(子会社KeyHolderの業績予想修正に伴って20年6月30日に営業収益を下方修正、営業利益と親会社所有者帰属当期利益を上方修正)は、営業収益が845億11百万円、営業利益が19億31百万円、親会社所有者帰属当期利益が15億31百万円の赤字としている。配当予想は19年12月期と同額の1円(期末一括)としている。
営業黒字・最終赤字予想である。日本金融事業や韓国およびモンゴル金融事業は安定的な収益が見込まれるが、東南アジア金融事業の業績回復に時間を要することや、訴訟費用など一時的費用の増加も見込まれるとしている。
なお第1四半期は営業収益が195億円、営業利益が15億55百万円、親会社所有者帰属当期利益が15億41百万円だった。日本金融事業が堅調に推移した。東南アジア金融事業ではJトラストロイヤル銀行の連結子会社化で営業収益が増加し、予想信用損失見直しで貸倒引当金繰入額が減少した。
セグメント別営業利益は、日本金融事業が11億51百万円、韓国・モンゴル金融事業が21億88百万円、東南アジア金融事業が12億04百万円の赤字、総合エンターテインメント事業が1億62百万円の赤字、不動産事業が40百万円、投資事業が4億73百万円の赤字だった。
当面は新型コロナウイルスによる世界経済収縮の影響が意識されるが、第1四半期時点では大きな影響がなく、計画に対して上振れた。また第1四半期の進捗率は営業収益22.5%、営業利益92.5%と順調だった。通期ベースでも収益回復を期待したい。
■株価は調整一巡
株価は戻り一服の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。7月20日の終値は273円、今期予想配当利回り(会社予想の1円で算出)は約0.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS944円61銭で算出)は約0.3倍、時価総額は約315億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)