【アナリスト水田雅展の銘柄分析】巴工業は15年10月期営業損益改善と低PBRに見直し余地

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 巴工業<6309>(東1)は遠心分離機械や化学工業製品を主力としている。株価は戻り高値圏から反落したが下値切り上げトレンドは継続している。15年10月期は営業損益改善基調であり、0.7倍近辺の低PBRにも見直し余地があるだろう。

 遠心分離機械を中心とする機械製造販売事業、合成樹脂や化学工業薬品などを中心とする化学工業製品販売事業を2本柱として、中国・深圳ではコンパウンド加工事業も展開している。

 13年11月には、中国の連結子会社・星科工程塑料に対するテクノポリマーおよび日本カラリングの出資持分をすべて譲り受け、両社との資本・業務提携を解消して当社主導で収益立て直しを進めている。

 今期(15年10月期)の連結業績見通し(12月11日公表)は売上高が前期比4.9%増の427億円、営業利益が同43.7%増の18億30百万円、経常利益が同13.5%増の18億50百万円、純利益が同4.3%増の11億50百万円、配当予想が前期と同額の年間45円(第2四半期末22円50銭、期末22円50銭)としている。

 注文キャンセルによる棚卸資産評価損計上などで前期低調だった機械製造販売事業の営業損益が大幅に改善する。セグメント別の計画を見ると、機械製造販売事業は北南米地域での拡販などで売上高が同8.5%増の110億70百万円、営業利益が同4.1倍の6億50百万円、化学工業製品販売事業は新規市場や新規商材の開拓などで売上高が同3.7%増の316億30百万円、営業利益が同5.8%増の11億80百万円としている。

 第1四半期(11月~1月)は前年同期比5.1%増収、同2.4倍営業増益、同69.2%経常増益、同45.5%最終増益だった。化学工業製品販売事業は中国・深圳のコンパウンド事業の販売数量減少などで同0.8%増収と伸び悩んだが、機械製造販売事業は北米向けの好調が牽引して同26.2%増収となり営業損益が大幅に改善した。営業外での為替差益計上も寄与した。

 通期見通しに対する第1四半期の進捗率は売上高が22.4%、営業利益が15.7%、経常利益が26.0%、純利益が33.3%だった。設備投資関連は第2四半期(2月~4月)と第4四半期(8月~10月)の構成比が高い収益構造を考慮すれば順調な水準だろう。円安メリットも期待される。

 13年12月に策定した中期経営計画「Target2016」では、経営目標値として16年10月期売上高475億円、営業利益25億80百万円、経常利益26億円、純利益16億円、ROE6.3%、ROA4.4%を掲げている。

 重点戦略としては、北米市場、南米市場、東南アジア市場を中心とする海外売上高の拡大に加えて、機械事業ではエネルギー分野への参入、化学品事業では二次電池やパワー半導体向け商材の開拓に取り組む方針だ。

 なお株主優待制度については、毎年10月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対してワイン(当社関連会社取扱商品)1本を贈呈する。

 株価の動きを見ると、戻り高値圏1800円近辺でのモミ合いから下放れの形で反落したが、3月急騰前の水準1700円近辺で下げ渋る動きだ。目先的な利益確定売りが一巡したようだ。

 5月18日の終値1730円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS115円25銭で算出)は15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間45円で算出)は2.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2399円53銭で算出)は0.7倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線を割り込んだが、26週移動平均線近辺で下げ渋る動きだ。そして下値切り上げトレンドは継続している。15年10月期は営業損益改善基調であり、0.7倍近辺の低PBRにも見直し余地があるだろう。

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