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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】サンコーテクノは16年3月期営業増益・増配と東証2部への市場変更を好感して出直り
- 2015/5/19 06:38
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
サンコーテクノ<3435>(JQS)は、あと施工アンカーなどのファスニング事業を主力としている。5月21日付でJASDAQ(スタンダード)から東証2部へ市場変更する。株価は調整局面だったが、16年3月期の営業増益・増配予想と東証2部への市場変更を好感して切り返しの展開だ。下値固めが完了して出直りの動きが本格化しそうだ。
今期より事業部制から本部制に変わっている。ファスニング事業をファスニング営業本部、リニューアル事業をエンジニアリング本部、センサー事業を機能材本部としている。ファスニング営業本部では、あと施工アンカー、アンカー打ち込み機の販売を行う。エンジニアリング本部は、耐震をはじめ太陽光関連などの工事管理を通して工法開発を行う。機能材本部は、センサー事業部とリニューアル事業部マテリアル営業が合併しFRPシート・電子基板関連試験機、アルコール測定機などの機能材の販売を行う。あと施工アンカーはコンクリート用の特殊ネジ・釘類のことで、あと施工アンカーおよびオールアンカーの最大手である。
あと施工アンカー、アンカー打込み機、FRPシートなどは震災復興関連、都市再開発関連、耐震補強関連、老朽化インフラ補修・更新関連、20年東京夏季五輪関連、リニア新幹線関連など建設工事の増加が追い風となるため、中期的に事業環境は良好だ。
センサー事業も強化している。14年11月にドコモ・システムズと業務提携して、15年3月には自動車運送事業法の対象企業に向けたクラウド型点呼サービス「docoですcar Guardian」の提供を開始した。ドコモ・システムズが当社の呼気アルコール測定システムを利用したクラウド型サービスを提供する。
15年2月には「燃料電池式業務用呼気アルコール測定器ST-3000」の発売を発表した。燃料電池センサーの技術を持つタニタ(東京都)と共同開発した新製品で、これまでの接触燃焼式から燃料電池式にすることによりガス選択性の向上と測定時間の短縮を実現する。
5月14日に発表した前期(15年3月期)の連結業績は売上高が前々期比3.6%増の178億35百万円、営業利益が同0.1%減の15億11百万円、経常利益が同2.5%増の15億09百万円、純利益が同22.4%増の11億14百万円だった。ROEは同0.7ポイント上昇して12.6%、自己資本比率は同6.5ポイント上昇して61.4%となった。
配当予想については5月14日に期末2円50銭増額修正して年間15円(期末一括)とした。15年1月1日付株式2分割を考慮すると実質的に前々期と同額で、配当性向は11.0%となる。利益配分については、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続していくことを基本方針としている。
ゼネコンにおける建設資材不足や人員不足による工事着工遅れの影響で、売上高と営業利益は計画を下回ったが、主力のファスニング事業を中心に概ね順調に推移した。純利益は法人税等の減少で大幅増益だった。
セグメント別(内部取引・全社費用等調整前)に見ると、主力のファスニング事業は都市圏を中心に再開発需要や維持保全需要が概ね堅調に推移して、売上高が同2.6%増の134億23百万円、営業利益が同4.3%増の11億70百万円だった。
リニューアル事業は受注が好調で売上高が同6.9%増の38億54百万円だったが、営業利益は販管費の増加で同7.7%減の3億32百万円だった。センサー事業は売上高が同2.7%増の6億65百万円だったが、営業利益は棚卸資産簿価切り下げの影響で同85.2%減の2百万円だった。
なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)37億61百万円、第2四半期(7月~9月)46億72百万円、第3四半期(10月~12月)46億13百万円、第4四半期(1月~3月)47億89百万円で、営業利益は第1四半期2億45百万円、第2四半期4億65百万円、第3四半期3億88百万円、第4四半期4億13百万円だった。
今期(16年3月期)の連結業績予想(5月14日公表)は売上高が前期比5.4%増の188億円、営業利益が同7.2%増の16億20百万円、経常利益が同6.0%増の16億円、純利益が同3.5%減の10億75百万円、配当予想が同3円増配の年間18円(期末一括)としている。
ファスニング事業は都市圏を中心とする再開発・耐震化工事、社会インフラ維持・補修工事の増加などが追い風だ。ゼネコンにおける人員・資材不足による工事着工遅れなど厳しい事業環境が続くとしているが、会社予想はやや保守的な印象が強く、利益率の高い新商品比率の上昇も寄与して増額含みだろう。
建設現場では現場作業の省力化・機械化ニーズの高まりや非熟練作業者の増加が予想され、現場での使いやすさを高めた施工ツール、あと基礎アンカー、アンカー打込み機、紫外線硬化FRPシートといった製品の採用が一段と増加する。中期的に事業環境は良好であり、新製品や高付加価値製品の拡販も寄与して収益拡大基調だろう。
株主優待制度については14年11月に導入を発表した。毎年3月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対してQUOカード500円分を贈呈する。
なお5月14日に東京証券取引所による市場変更承認を発表した。5月21日付でJASDAQ(スタンダード)から東証2部へ市場変更する。
株価の動き(15年1月1日付で株式2分割)を見ると、1月高値1830円から反落して調整局面だったが、1200円台前半の水準で下値固めが完了し、16年3月期の営業増益・増配予想と東証2部への市場変更を好感して切り返しの動きを強めている。5月18日は1316円まで上伸した。
5月18日の終値1316円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS132円09銭で算出)は10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は1.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1146円57銭で算出)は1.1倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線を突破した。下値固めが完了して出直りの動きが本格化しそうだ。