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フェローテックホールディングスはサスティナブル経営への取り組み強化
- 2020/7/27 07:41
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
フェローテックホールディングス<6890>(JQ)は半導体等装置関連事業を主力としている。21年3月期は第2四半期累計を営業減益予想、通期予想を未定としている。当面は新型コロナウイルスによる世界経済収縮の影響が意識されるが、半導体需要は拡大基調であり、7月15日には中国における半導体シリコンウェーハ再生事業の設備投資を増額し、生産能力を増強すると発表している。またサスティナブル経営への取り組みも強化する方針だ。中期的に収益拡大を期待したい。株価は安値圏から反発の動きを強めている。調整一巡して出直りを期待したい。なお8月14日に第1四半期決算発表を予定している。
■半導体等装置関連事業が主力
半導体等装置関連事業(真空シールおよび各種製造装置向け金属加工製品、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、シリコンウェーハ加工、装置部品洗浄など)を主力として、電子デバイス事業(サーモモジュール、パワー半導体用基板、磁性流体など)も展開している。主力の真空シールは世界シェア6割強である。
太陽電池関連事業(シリコン結晶製造装置、シリコン製品など)は撤退方針である。当面は自社販売から撤退してOEMに特化し、OEM用途以外の設備は半導体Siパーツ構造材用途への転換を進める。またOEM継続も短期的対応としている。撤退時期については、既存設備の売却交渉や撤退に伴う様々な影響度合いによって変更の可能性がある。
20年3月期のセグメント別売上構成比は半導体等装置関連事業65%、電子デバイス事業17%、その他19%、営業利益構成比(調整前)は半導体等装置関連事業58%、電子デバイス事業38%、その他4%だった。
19年3月には東洋刃物<5964>と資本業務提携して持分法適用関連会社化した。20年1月にはアドバンテッジアドバイザーズと事業提携し、第三者割当(アドバンテッジアドバイザーズがサービスを提供するファンド)による第2回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行した。
7月15日には中国における半導体シリコンウェーハ再生事業の設備投資を増額し、生産能力を増強すると発表した。19年9月に中国の子会社FTSが銅陵市政府と共同出資で半導体シリコンウェーハ再生事業のための新会社FTASMを設立した。その後の中国における12インチプライムウェーハの市場動向を踏まえ、投資計画を変更(投資額を約76.5億円から136.6億円に増額、生産能力を月産65千枚から月産120千枚に増強)した。21年4月量産開始予定としている。
なお中国子会社FTHWが進めている半導体大口径ウェーハ工場建設工事に絡み、施工工事事業者から工事代金に関連した訴訟を提起されているが、20年5月には反訴を提起したと発表している。
■21年3月期2Q累計営業減益予想
21年3月期の連結業績については第2四半期累計予想のみを開示し、売上高が前年同期比4.4%減の400億円、営業利益が15.9%減の30億円、経常利益が1.1%増の25億円、純利益が2.6%減の15億円としている。また配当予想は第2四半期末を前年同期と同額の12円としている。期末配当予想は未定である。
第2四半期累計では真空シール、石英製品、セラミックス、装置部品洗浄は増収を見込むが、ウェーハ加工や電子デバイスの減収を見込み、全体として減収・営業減益予想である。
また半導体市況は調整底を脱したと判断し、5G需要で浮上する半導体製造装置向け部材の増産体制を確保するとしている。当面は新型コロナウイルスによる世界経済収縮の影響が意識されるが、半導体需要は拡大基調であり、中期的に収益拡大を期待したい。
なお中期経営計画で掲げた目標値(22年3月期売上高1250億円~1300億円、営業利益120億円~130億円など)については、事業環境の変化を受けて見直すこととした。またサスティナブル経営への取り組みも強化する方針だ。
■株価は反発の動き
株価は安値圏から反発の動きを強めている。調整一巡して出直りを期待したい。7月22日の終値は697円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1303円89銭で算出)は約0.5倍、時価総額は約259億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)