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ナルミヤ・インターナショナルは21年2月期減益予想だが6月の売上回復
- 2020/7/28 08:42
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ナルミヤ・インターナショナル<9275>(東1)はベビー・子供服の企画販売をSPA形態で展開し、SC向けやECを強化している。21年2月期は大幅減益予想としている。ただし6月の売上は全店、既存店ともプラス転換した。第1四半期は店舗休業など新型コロナウイルスの影響が直撃したが、第2四半期以降の売上は回復に向かうだろう。株価は軟調展開で安値圏に回帰した形だが、調整一巡して出直りを期待したい。
■ベビー・子供服の企画販売
0歳~13歳のベビー・子供服の企画販売をSPA(製造小売)形態で展開し、SC(ショッピングセンター)向けやEC(ネット通販)を強化している。19年3月に資本業務提携したワールドが第1位株主となっている。また19年3月には男児向けカジュアルウェアのハートフィールを子会社化した。
20年2月期のチャネル別売上構成比は百貨店が27.5%、SCが41.4%、ECが18.5%、その他(アウトレット、卸売、フォトスタジオ、ライセンス販売など)が12.6%だった。SCとECの構成比が上昇基調である。20年2月期末の直営店舗数は百貨店575店舗、SC184店舗だった。また20年2月期のチャネル別売上総利益率は百貨店が51.4%、SCが60.5%、ECが53.4%だった。
収益面では、個人消費や天候の影響を受けるとともに、商品単価の高い冬物衣料や福袋の販売、クリアランスセールなどで下期(9月~2月)の構成比が高い特性がある。
■SC向けやECを強化
変化の激しい子供服市場におけるオンリーワン・ナンバーワンを目指し、中期成長に向けた基本方針として、収益力の向上(ブランドポートフォリオの構築、販売ポートフォリオの構築、生産・物流の効率化)、人材の育成、企業体質の強化(新市場の開拓、新カテゴリーの開発、アジアを中心とする海外市場への進出)を掲げている。
マルチチャネル・マルチブランド戦略を基本として、市場変化に対応して販売チャネルおよびブランドのポートフォリオの最適化に留意しながら経営資源を配分する。具体的には、少子高齢化の事業環境に対して、百貨店向けの高価格帯からSC向けの中価格帯への軸足シフト、EC強化によるオムニチャネル化を推進している。また子供とその家族をターゲットとして、提供すべき価値をモノ(洋服)からコト・サービスへと拡大することで、キッズライフ企業への成長を目指すとしている。
■21年2月期減益予想だが2Qの売上回復
21年2月期連結業績予想(期初時点で未定としていたが7月16日に公表)は、売上高が20年2月期比6.6%減の307億76百万円、営業利益が72.8%減の4億52百万円、経常利益が73.3%減の4億33百万円、純利益が89.3%減の1億06百万円としている。新型コロナウイルスの影響で減収・大幅減益予想としている。配当予想は未定としている。
第1四半期は、売上高が前年同期比40.1%減の46億24百万円、営業利益が4億35百万円の赤字(前年同期は5億54百万円の黒字)、経常利益が4億19百万円の赤字(同5億40百万円の黒字)、純利益が4億52百万円の赤字(同3億32百万円の黒字)だった。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言で、店舗臨時休業・営業時間短縮を実施した影響で大幅減収・赤字となった。なお特別損失に臨時休業による損失4億64百万円を計上した。
月次売上(前年比、速報値)は3~5月累計(第1四半期)が全店58.3%、既存店57.0%だったが、6月は全店112.1%、既存店108.5%とプラス転換した。全店舗で営業再開して夏物衣料が好調に推移した。チャンネル別ではSC、EC、アウトレットが2桁増収だった。
第1四半期は店舗休業など新型コロナウイルスの影響が直撃したが、第2四半期以降の売上は回復に向かうだろう。なお重点戦略として、ECを中心とした収益力の高い事業への経営資源集中、SCへの新規出店を推進する方針だ。第2四半期以降の収益改善を期待したい。
■株主優待は毎年2月末の株主対象
株主優待制度は、毎年2月末現在の1単元(100株)以上保有株主を対象に、保有株式数に応じて10%ディスカウント券を贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は調整一巡
株価は軟調展開で安値圏に回帰した形だが、調整一巡して出直りを期待したい。7月27日の終値は565円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS10円53銭で算出)は約54倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS428円24銭で算出)は約1.3倍、時価総額は約57億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)