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エイトレッドは目先的な売り一巡、21年3月期1Q大幅増収増益と順調
- 2020/7/31 08:45
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
エイトレッド<3969>(東1)はワークフローシステムを展開している。21年3月期増収増益・連続増配予想である。第1四半期は大幅増収増益と順調だった。新型コロナウイルスで企業がテレワークを導入する流れもワークフロー市場拡大の追い風となる。収益拡大基調だろう。株価は決算発表直前に高値を更新していたこともあり、好材料出尽くし感や進捗率の低さを嫌気する形で急反落した。決算発表時に見られる短期反応だが、目先的な売り一巡して上値を試す展開を期待したい。
■ワークフローシステムの開発・販売
ソフトクリエイトホールディングス<3371>の連結子会社で、ワークフローシステム(ソフトウェア)の開発・販売を展開している。
ワークフローシステムとは、企業における稟議書、経費精算申請書、各種届け出書など、稟議・申請から承認・決裁に至る事務工程(ワークフロー)を電子化(システム化)するソフトウェア製品の総称である。
多くの企業が紙(申請書類・帳票)を使用して稟議・申請から承認・決裁に至る事務を行っているが、ワークフローシステムを導入することによって、業務プロセスの効率化(作業工数削減や時間短縮)、ペーパーレス化によるコスト削減(用紙・印刷・郵送・保管に係るコストの削減)、内部統制の強化(意思決定プロセスや承認日時のデータ化・可視化)などのメリットが得られる。
主力製品は、パッケージ型の小・中規模企業向けX-point、大手・中堅企業向けAgileWorks、クラウド型の小規模企業向けX-point Cloudである。導入企業数は累計3000社以上に達し、国内市場シェアは総合2位である。クラウド利用の多い従業員数100名未満セグメントでは圧倒的1位を誇っている。
20年3月期の製品別売上高は、パッケージソフトが19年3月期比5.1%増の11億64百万円(X-pointが4.1%増の4億44百万円、AgileWorksが5.8%増の7億19百万円)、クラウドサービスが34.5%増の4億58百万円だった。X-pointはクラウドサービスへの移行で伸び鈍化だが、AgileWorksが堅調で、X-point Cloudが大幅伸長している。
20年3月期の導入数は、X-pointとX-point Cloudで200社超、AgileWorksで100社超だった。主な導入事例として、AgileWorksでセブン&アイ・ホールディングスなどがある。
事業戦略の基本は、日本型業務プロセスに適した製品によって他社製品との差別化を図る、導入企業ごとの個別カスタマイズを行わずに開発コストを抑制する、開発に特化して販売パートナー企業(販売代理店)を活用するとしている。販売パートナーは大手SIerなどで構成され、全国に営業網を構築している。
■ワークフローシステム市場は拡大基調
電子文書化を導入せず、依然として紙・手書きベースでの業務・事務処理に依存している企業が多いため、ワークフローシステムの潜在市場は大きい。また在宅勤務やテレワークといった働き方改革の推進、企業不祥事防止のための内部統制強化の流れなども背景として、ワークフローシステム市場は拡大基調が期待される。
さらにRPAとの組み合わせによる業務全般の自動化を目指す動きも活発化している。こうした潜在市場に対応し、中期成長戦略として他社サービスとの連携も強化して、AgileWorksやX-point Cloudの売上拡大を推進する方針だ。
■21年3月期増収増益・連続増配予想で1Q大幅増収増益と順調
21年3月期業績(非連結)予想は、売上高が20年3月期比10.3%増の17億90百万円、営業利益が10.5%増の6億50百万円、経常利益が10.5%増の6億50百万円、純利益が5.7%増の4億36百万円としている。配当予想は4円増配の20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。
X-pointはクラウドサービスへの移行で減収見込みだが、AgileWorksとX-point Cloudの伸長が牽引して増収増益・連続増配予想としている。
第1四半期は、売上高が前年同期比12.2%増の3億98百万円で、営業利益が27.5%増の1億39百万円、経常利益が34.1%増の1億39百万円、純利益が35.9%増の91百万円だった。
パッケージソフトが3.9%増収(X-pointが10.7%減収、AgileWorksが14.6%増収)、クラウドサービス(X-point Cloud)が33.0%増収と好調だった。期初想定どおりにAgileWorksとX-point Cloudの伸長が牽引して大幅増収増益だった。
第1四半期の進捗率は売上高22.2%、営業利益20.5%とやや低水準の形だが、期初時点で下期偏重の計画である。新型コロナウイルスで企業がテレワークを導入する流れもワークフロー市場拡大の追い風となる。導入社数およびクラウド利用数の増加で収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は9月末と3月末の年2回
株主優待制度は年2回、毎年9月末および3月末時点の株主を対象として、保有株式数に応じてオリジナルQuoカードを贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は目先的な売り一巡して上値試す
株価は決算発表直前に高値を更新していたこともあり、好材料出尽くし感や進捗率の低さを嫌気する形で急反落した。決算発表時に見られる短期反応だが、目先的な売り一巡して上値を試す展開を期待したい。7月30日の終値は1828円、今期予想PER(会社予想EPS58円35銭で算出)は約31倍、今期予想配当利回り(会社予想20円で算出)は約1.1%、前期実績PBR(前期実績BPS358円43銭で算出)は約5.1倍、時価総額は約137億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)