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ラクーンホールディングスは収益拡大基調
- 2020/7/31 08:37
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ラクーンホールディングス<3031>(東1)は、企業間ECサイトのスーパーデリバリー運営を主力として、EC事業およびフィナンシャル事業を展開している。21年4月期増収増益予想である。新型コロナウイルスにより、ECの事業環境が良好であり、保証事業も信用不安に備える企業の増加が追い風となる。収益拡大基調だろう。株価は上場時の06年以来の高値圏だ。18年8月発行の新株予約権の行使も順調に進んでいる。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■企業間ECサイト「スーパーデリバリー」運営が主力
アパレル・雑貨分野の企業間(BtoB)電子商取引(EC)スーパーデリバリー運営を主力として、クラウド受発注システムのCOREC(コレック)事業、BtoB掛売り・決済業務代行サービスのPaid(ペイド)事業、売掛債権保証事業など周辺領域へ事業を拡大している。
20年4月期のセグメント別売上高構成比はEC事業(スーパーデリバリーとCOREC)54%、フィナンシャル事業(Paid事業、保証事業)46%、営業利益構成比はEC事業82%、フィナンシャル事業18%だった。
スーパーデリバリーは出展企業と会員小売店の増加に伴って月額課金システム利用料売上が積み上がるストック型収益構造である。また越境ECサービス「SD export」も展開している。20年4月には、アリババグループが運営する中国最大級のBtoC越境ECサイト天猫国際(Tmall Global)に、スーパーデリバリー海外旗艦店をオープンした。
グループ経営戦略として既存事業の成長スピード加速、M&Aの実施、新規事業の創出を推進する。経営目標値としては、早期にEBITDA10億円(18年4月期実績5.2億円)の達成を目指すとしている。なお4月21日には第5回新株予約権の行使が完了したと発表している。
18年12月家賃保証サービスのALEMOを子会社化、19年6月中国向け越境EC強化に向けてアドウェイズ<2489>と包括業務提携、19年12月オフィス内動画広告配信プラットフォーム「e-Pod Digital」運用のTAASに出資して資本業務提携した。20年5月には、子会社ラクーンフィナンシャルの事業用家賃保証事業を子会社ALEMOに承継し、ALEMOの社名をラクーンレントに変更した。
■会員企業数、流通額、取扱高、保証残高は増加基調
20年4月期末スーパーデリバリー会員小売店数は19年4月期末比3万9905店舗増の16万7067店舗、出展企業数は434社増の1853社、商材掲載数は27万2348点増の114万7291点、流通額は13.9%増の128億08百万円(国内が10.4%増、海外が32.2%増)となった。
Paid事業の加盟企業数は約3700社、グループ内含む取扱高は12.9%増の260億16百万円、保証事業の保証残高は20.2の756億44百万円(ラクーンフィナンシャル分267億74百万円、ALEMO分488億69百万円)となった。
■21年4月期大幅増収増益予想
21年4月期連結業績予想は、売上高が20年4月期比12.1%増の39億円、利益はレンジ予想でEBITDAが15.5%増~26.1%増の9億80百万円~10億70百万円、営業利益が14.7%増~27.5%増の8億10百万円~9億円、経常利益が12.9%増~25.6%増の8億円~8億90百万円、そして純利益が8.6%増~21.9%増の4億90百万円~5億50百万円としている。配当予想は未定としている。
発生するデフォルトを悲観的に見積もった場合と、楽観的に見積もった場合の両極を想定して、各利益はレンジ予想としている。新型コロナウイルスのマイナス影響は限定的だ。逆にECの事業環境が良好であり、保証事業も信用不安に備える企業の増加が追い風となる。収益拡大基調だろう。
■株価は上値試す
なお18年8月に発効した第5回・第6回・第7回新株予約権のうち、第5回および第6回は行使完了し、第7回の未行使は7月22日時点で5740個(57.4万株)となった。
株価は上場時の06年以来の高値圏だ。18年8月発行の新株予約権の行使も順調に進んでいる。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。7月30日の終値は1189円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS上限値27円26銭で算出)は約44倍、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS197円68銭で算出)は約6.0倍、時価総額は約242億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)