DNAチップは年初来安値水準、二番底形成中

株式市場 銘柄

チャート17 DNAチップ研究所<2397>(東2)は年初来高値1000円(3月11日)、同安値760円(1月19日)に対し5月19日は9円高の788円と小高い展開となっている。

 同社は将来の個人化医療や未病社会の実現を見据えた遺伝子発現プロファイル収集・統計受託解析など、DNAチップ(DNAマイクロアレイ)技術の事業化を目指す研究開発企業である。研究受託事業(大学病院・研究機関や製薬・食品メーカー向けDNAチップ関連の受託実験・解析・統計処理サービス、および診断サービスなど)を主力として、商品販売事業も展開している。

 15年3月期の非連結業績は売上高が前々期比2.4%増の3億57百万円、営業利益が99百万円の赤字(前々期は44百万円の赤字)、経常利益が1億19百万円の赤字(同44百万円の赤字)、純利益が1億35百万円の赤字(同45百万円の赤字)だった。

 研究受託事業における受託サービスで大型案件の受注がずれ込んだため、売上高が計画を下回り微増収にとどまった。そして診断サービスの新規メニュー開発に向けた研究開発費の増加、営業外での新株発行費用の発生、および減損損失計上などで各利益の赤字幅が拡大した。事業別売上高は研究受託事業が同1.5%増の3億40百万円、商品販売事業が同23.8%増の17百万円だった。

 ただし営業黒字化に向けた研究受託メニュー強化や診断サービス拡充などの成果が着実に表れているようだ。研究受託の大型案件では創薬系15件、次世代シークエンス受託6件、国家プロジェクト(公募事業)8件、健康支援関連9件、再生医療支援関連33件などを受注した。

 今期(16年3月期)の非連結業績予想(4月23日公表)は売上高が前期比23.1%増の4億40百万円、営業利益が48百万円の赤字、経常利益が48百万円の赤字、純利益が49百万円の赤字としている。

 事業別売上高の計画は、研究受託事業が同18.8%増の4億04百万円、商品販売事業が同2.1倍の36百万円である。提案型研究受託の強化で製薬や食品会社向けビジネスが拡大する。診断サービスでは「リウマチェック(多剤効果判定)」「免疫年齢」「EGFRチェック」を拡販し、診断サービスの海外展開も推進する。増収効果に加えて、採算性の高いメニューの重点拡販や作業効率改善による粗利益率上昇、さらに営業外での一時的費用の一巡、特別損失の一巡で赤字幅が縮小する見込みだ。

 14年11月に第三者割当増資および新株予約権発行で、エンジニアリングプラスチック事業のエンプラス<6961>と資本業務提携した。バイオ事業における業界ネットワークの補完、新製品開発能力の強化、海外インフラの利用などでシナジー効果を目指すとしている。

 15年2月には、末梢血のRNA発現を調べることにより個人の生体年齢を評価する受託サービス「免疫年齢」を開始した。加齢遺伝子(年齢とともに発現量が変化する遺伝子)から選んだ約90種類の遺伝子の発現量をマイクロアレイ法によって測定し、独自開発した回帰式を用いて生体年齢を算出することに成功した。世界初の遺伝子発現による生体年齢の評価方法である。この検査で体調変化の客観的評価ができるようになるため、健康食品、機能性食品、サプリメント、運動などアンチエイジング(抗加齢)や健康への取り組みの評価に利用することを目指す。

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