【注目銘柄】K&Oエナジーはコロナ関連人気剥落で急反落も決算発表を期待して逆張り素地

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K&Oエナジーグループ<1663>(東1)は、前日5日に朝方は1690円まで上値を伸ばしたが、大引けでは63円安の1560円と急反落した。同社の株価は、8月4日に大阪府の吉村文洋知事が、ヨウ素の抗微生物作用を利用する殺菌効果成分「ポビドンヨード」に新型コロナウイルス感染症の重症化を抑制する効果があると発言したことから、ヨウ素の世界有数のメーカーである同社株に関連の穴株人気が高まり急伸したが、科学的に実証されていないとして議論を呼び人気が剥落し目先の利益を確定する売り物に押された。ただ、同社株は、8月12日には今2020年12月期第2四半期(2020年1月~6月期、2Q)決算の発表を予定しており、足元のエネルギー情勢の変化から今期第1四半期(2020年1月~3月期、1Q)業績と異なり好転期待もあり、先取りして割安修正の逆張り素地もありそうだ。

■ヨウ素の殺菌成分がコロナウイルス感染を抑制するか議論

 同社は、千葉県を地盤に水溶性ガスを生産し、同ガスは自前の国産資源であるほか、このガス生産中の副産物としてヨウ素も製造し経営の第2の柱としている。日本は、ヨウ素製造で世界第2位の資源大国で、このうちK&Oエナジーは国内生産の約15%、世界の約5%を占め、世界各国に輸出している。ヨウ素は、殺菌剤やレントゲン撮影の造影剤、原子力事故の被爆で発生する小児甲状腺がんを予防するヨウ素剤などとして使われるが、今回の吉村大阪府知事の発言通りに、今後の検証で仮にヨウ素の殺菌効果成分が、新型コロナウイルス感染への抑制効果が期待できることになれば、世界的な関連需要の高まりが同社収益を押し上げることになる。同業他社の伊勢化学工業<4107>(東2)が、5日の取引時間中に2日連続のストップ高を演じたこともフォローしそうだ。

 一方、今2020年12月期業績は、売り上げ656億円(前期比0.7%増)、営業利益35億円(同5.1%増)、経常利益39億円(同7.3%増)、純利益26億円(同5.0%減)と見込み、純利益のみが、前期計上の有価証券特別利益が一巡して減益転換する。これに対して今年5月13日に発表した今期1Q業績は、減収減益となり利益は2ケタ減益と低調に推移した。ガス事業が、発電用向けのガス販売量が増加したものの輸入エネルギー価格の影響で販売価格が低下して減収減益となったことが響いた。ヨウ素事業は、好調な市況を背景に販売価格が上昇し販売量の増加したことから前年同期比33.8%増収、42.9%営業増益と対照的な業績推移となった。

 その輸入エネルギー価格のベースとなる原油先物(WTI)価格は、今年4月に一時、史上初のマイナス価格と急落したが、前日5日に一時1バーレル=43.52ドルと今年3月前半以降、5カ月ぶりの高値まで戻した。また、国内のガス需要も、新型コロナウイルス感染症拡大による「巣ごもり消費」で発電用、家庭用とも増加傾向にあり、12日発表の今期2Q累計業績がどのような着地となるか要注目となる。

■PER15倍台、PBR0.5倍のバリュー株買いで年初来高値に挑戦

 株価は、今期業績の続伸予想に自己株式立会外買付(買付価格1701円)が加わって年初来高値1840円をつけ、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)による世界同時株安の波及で同安値1329円まで売られた。同安値からは、売られ過ぎとして1600円台を回復、WTI価格のマイナス価格急落でも1400円台で持ちこたえて25日移動平均線を出没し、今回のコロナ関連人気で1600円台に急伸した。PERは15倍台、PBRに至っては0.56倍と割り負けバリュー株素地を内包しており、立会外買付価格奪回から年初来高値へのキャッチアップを強めよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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