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エイジアは上値試す、21年3月期減益予想だが上振れの可能性
- 2020/8/11 08:14
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
エイジア<2352>(東1)はメール配信システムの大手である。クラウドサービスやM&Aによる新規事業で成長を目指している。21年3月期第1四半期はクラウドサービスが牽引して計画超の大幅増益だった。通期は新型コロナウイルスによる機会ロスなどを考慮して減益予想としているが、影響は限定的であり、通期も上振れの可能性が高いだろう。株価は急伸して年初来高値を更新する場面があった。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■メール配信などe-CRMシステム「WEBCAS」シリーズが主力
自社開発e-CRMシステムのWEBCASシリーズのアプリケーション事業を主力として企業のCRM運用支援を行い、コンサルティング、システム受託開発、EC事業(18年9月譲り受けたベビー服ECサイト運営事業)も展開している。eメールを活用した販売促進ソリューションを強みとしている。
20年3月期のセグメント別売上高構成比はアプリケーション事業77%、コンサルティング事業15%、オーダーメイド開発事業1%、EC事業7%、営業利益構成比(調整前)はアプリケーション事業100%、コンサルティング事業1%、オーダーメイド開発事業1%、EC事業▲2%だった。収益面では下期の構成比が高い特性がある。またクラウドサービスが拡大してストック型構造の特性を強めている。
メール配信システム「WEBCAS e-mail」は、顧客の嗜好、属性、購買履歴などに基づいたOne to Oneメールを、世界トップレベルの最高300万通/時で送信することが可能な超高速性が強みである。20年3月には多言語配信機能を標準搭載した新バージョンを発売した。WEBCASシリーズはメール配信システム「WEBCAS e-mail」を中心とするe-CRMアプリケーションシリーズで、20年6月には導入企業数が累計6000社を突破した。国内メール配信パッケージ市場でシェア1位である。
■クラウドサービスやM&Aによる新規事業で成長目指す
中期経営計画では目標値として、23年3月期売上高26億円、EBITDA8億円(20年3月期実績売上高18億76百万円、EBITDA5億10百万円)を掲げている。
顧客のマーケティング活動に対する横断的なソリューションの提供を目指し、クラウドサービスを中心とする既存事業の飛躍的成長、M&Aによる新規事業での「もう一つの柱」づくり、財務戦略の最適化などを推進する。
19年11月には、インタートレード<3747>の子会社で暗号資産関連事業を展開するデジタルアセットマーケッツに出資した。20年5月には、日本成長投資アライアンス(J―GJA)と業務提携し、J-GIA1号投資事業有限責任組合に対して第7回新株予約権を発行した。
■21年3月期1Qは計画超の大幅増益、通期減益予想だが上振れの可能性
21年3月期連結業績予想は、売上高が20年3月期比1.3%増の19億円、EBITDAが14.1%減の4億35百万円、営業利益が28.7%減の3億30百万円、経常利益が29.8%減の3億30百万円、純利益が29.8%減の2億25百万円としている。配当予想は2円増配の25円(期末一括)である。
第1四半期は、売上高が前年同期比2.0%増の4億50百万円、EBITDAが24.3%増の1億円、営業利益が23.9%増の86百万円、経常利益が23.2%増の88百万円、純利益が29.8%増の63百万円だった。
売上面では主力のアプリケーション事業(e-CRMシステムのWEBCASシリーズ)が6.0%増収と順調だった。ライセンス販売は大型案件が第2四半期に期ズレとなって減収だったが、クラウドサービスが牽引した。なおクラウドサービスは新型コロナウイルスの影響で商談期間が延びたため初期費用売上が減収だったが、前期までの積み上げ効果で月額費用売上が2桁伸長した。子会社が運営するEC事業は巣ごもり需要や新作入荷の再開などで31.0%増収と大幅伸長した。コンサルティング事業は27.9%減収、オーダーメイド開発事業は58.5%減収だった。
利益面では主力のアプリケーション事業の増収効果に加えて、コンサルティング事業における人件費削減なども寄与して計画超の大幅増益だった。
通期予想は据え置いた。新型コロナウイルスによる機会ロスなどを考慮して減益予想としている。ただし影響は限定的であり、通期も上振れの可能性が高いだろう。
■株主優待制度は3月末と9月末の2単元以上保有株主対象
株主優待制度は、毎年3月31日および9月30日時点の2単元(200株)以上保有株主を対象として、保有株式数および保有期間に応じて株主優待ポイントを進呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は上値試す
株価は急伸して年初来高値を更新する場面があった。その後は目先的な利益確定売りで反落の形となったが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。8月7日の終値は1641円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS56円85銭で算出)は約29倍、今期予想配当利回り(会社予想25円で算出)は約1.5%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS389円89銭で算出)は約4.2倍、時価総額は約72億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)