中本パックスは戻り試す、21年2月期増収増益予想

 中本パックス<7811>(東1)はグラビア印刷を主力に、コーティング加工、ラミネート加工、成形加工も展開し、収益力向上と全天候型の安定経営を目指している。21年2月期増収増益予想としている。当面は新型コロナウイルスの影響が意識されるが、期後半の需要回復を期待したい。株価はモミ合いの形だが、徐々に水準を切り上げて上放れの動きを強めている。調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。

■グラビア印刷が主力

 グラビア印刷を主力に、コーティング加工、ラミネート加工、成型加工も展開している。食品包装分野を主力として、全天候型経営による収益拡大・安定成長を推進している。

 20年2月期用途分類別売上構成比は食品(弁当・惣菜等の容器およびトレー、乳製品・菓子・豆腐・ハム・ソーセージ等の食品包装)67%、IT・工業材(PC、スマホ、自動車内装材)13%、生活資材(布団の圧縮袋等日用品)10%、医療・医薬(医薬品の外装袋・個包装、湿布等のセパレートフィルム)4%、建材(家具、ふすま紙、壁紙)4%、その他2%で、売上総利益構成比は食品49%、IT・工業材20%、生活資材19%、医療・医薬5%、建材4%、その他3%だった。

 高度な技術力をベースとして、グラビア印刷では競合の少ない厚み領域や多用途での展開、コーティング加工では幅広いニーズに迅速かつ柔軟に対応可能な体制構築、ラミネート加工では様々な用途・ニーズへの対応を強化している。また自社開発Nブランド製品の用途拡大・拡販も推進している。なお20年7月には持分法適用関連会社である三国紙工を連結子会社化した。

■中期的に経常利益25億円目指す

 中期経営目標値として売上高500億円、経常利益25億円を掲げている。重点戦略としては、収益力向上と全天候型の安定経営、環境経営の推進とNブランド製品の拡販、エンジニアリング部新設(19年3月)による事業強化とスピードアップ、チャイナプラスワンおよび北米市場での販売強化による海外事業の拡大、M&Aの積極活用、基幹システム刷新(20年9月目標)による省力化・コストダウン・効率化の推進を掲げている。

 環境対応のNブランド品は、竜ケ崎第2工場内の専用工場が20年10月からテスト稼働予定である。

 海外は米国ナッシュビル営業事務所で、自動車内装材、食品包材、機能材分野の新規受注を推進している。また中国の子会社はシート印刷事業を中心に19年9月本格稼働し、20年黒字化を目指している。ベトナムの子会社は新型コロナウイルスの影響でやや遅れたが20年5月設立完了し、21年3月稼働開始予定としている。

■21年2月期増収増益予想

 21年2月期連結業績予想は、売上高が20年2月期比1.2%増の345億円、営業利益が6.2%増の16億29百万円、経常利益が2.6%増の16億50百万円、純利益が5.7%増の11億48百万円としている。配当予想は20年2月期と同額の56円(第2四半期末28円、期末28円)である。

 第1四半期は、売上高が前年同期比2.4%減の84億07百万円で、営業利益が16.2%減の3億62百万円、経常利益が22.9%減の3億62百万円、純利益が28.9%減の2億31百万円だった。

 IT・工業材関連で電子部品製造用フィルム、建材関連で機能性建材が好調だったが、新型コロナウイルスの影響により、主力の食品関連で外食向け業務用包材、行楽・イベント用の比較的高価格帯の容器・トレー向け商材などが減少した。セグメント別の売上総利益は食品関連が14.8%減益、IT・工業材関連が14.9%増益、医療・医薬関連が9.8%増益、建材関連が82.7%増益、生活資材関連が20.8%減益、その他が17.8%減益だった。

 第1四半期の営業利益進捗率は、第2四半期累計予想に対して48.6%、通期予想に対して21.9%と概ね順調だった。通期ベースでは新型コロナウイルスによる経済収縮の影響が20年夏頃まで続くと想定するが、食品分野の一部(惣菜・冷凍食品、ヨーグルト、デザート向け包材、食肉・魚用印刷付きトレーなど)が巣ごもり消費関連で堅調に推移する見込みとしている。当面は新型コロナウイルスの影響が意識されるが、期後半の需要回復を期待したい。

■株価は戻り試す

 株価はモミ合いの形だが、徐々に水準を切り上げて上放れの動きを強めている。調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。8月13日の終値は1593円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS140円47銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の56円で算出)は約3.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1479円33銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約130億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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