ジェイテックは調整一巡、新型コロナ影響への懸念織り込み済み

 ジェイテック<2479>(JQ)は技術者派遣の「技術商社」を標榜し、技術職知財リース事業を展開している。21年3月期第1四半期は減収・赤字だった。通期予想は未定としている。新型コロナウイルスの影響が避けられないが、派遣契約終了や契約見直しは期初時点の保守的な想定ほど発生しない見込みだ。期後半の緩やかな回復を期待したい。株価は第1四半期業績に対するネガティブ反応が限定的だった。新型コロナウイルス影響への懸念は織り込み済みだろう。戻りを試す展開を期待したい。

■技術者派遣の「技術職知財リース事業」が主力

 製造業の開発・設計部門に技術者を派遣する「技術職知財リース事業」を主力として、子会社のジェイテックアドバンストテクノロジは一般派遣およびエンジニア派遣事業を展開している。

 専門教育による知識を基盤として、新たな付加価値を顧客に提供する社員を「テクノロジスト」と呼称し、一般的なエンジニアと区別している。そして「技術商社」を標榜し、テクノロジストが保有する知恵を提供(リース)することで顧客とともに新たな価値を創造する「技術職知財リース事業」としている。

 機械設計開発、電気・電子設計開発、ソフトウェア開発、建築設計の4分野を柱として、業種別にも幅広く展開していることが特徴だ。20年3月期の業種別売上構成比は、自動車関連が約19%、産業用機器関連が約21%、電子・電気機器関連が約10%、情報処理関連が約14%、建築関連が約20%だった。

 また優良企業との取引が中心で、20年3月期の売上上位顧客企業10社は、LIXIL、本田技術研究所、ヤマハ発動機、デンソーテン、リコージャパン、ヤマハ、三菱電機メカトロニクス、オムロン、アイシン・ソフトウェア、三菱日立パワーシステムズ、SUBARUとなっている。

■21年3月期1Qは新型コロナ影響で減収・赤字、通期予想は未定

 21年3月期連結業績予想は未定(5月28日に従来の赤字予想から未定に修正)としている。配当予想は20年3月期と同額の1円(期末一括)としている。

 第1四半期は売上高が前年同期比8.5%減の6億80百万円、営業利益が21百万円の赤字(前年同期は17百万円の黒字)、経常利益が16百万円の赤字(同17百万円の黒字)、純利益が12百万円の赤字(同10百万円の黒字)だった。

 技術職知財リース事業は5.2%減収だった。テクノロジストの平均単価が上昇したが、新型コロナウイルスの影響で休業要請や残業抑制が発生し、稼働日数・稼働時間が減少した。一般派遣およびエンジニア派遣事業も新型コロナウイルスの影響を受けて67.0%減収だった。コスト面では営業活動制限で旅費交通費などが減少したが、減収による影響をカバーできなかった。

 通期も新型コロナウイルスの影響が避けられないが、派遣契約終了や契約見直しは期初時点の保守的な想定ほど発生しない見込みだ。期後半の緩やかな回復を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は第1四半期業績に対するネガティブ反応が限定的だった。新型コロナウイルス影響への懸念は織り込み済みだろう。戻りを試す展開を期待したい。8月17日の終値は177円、今期予想配当利回り(会社予想の1円で算出)は約0.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS110円50銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約15億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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