トーソーは戻り試す、21年3月期1Q営業黒字化で通期上振れ期待

 トーソー<5956>(東2)はカーテンレールやインテリアブラインドの大手である。21年3月期は減収減益予想としている。当面は新型コロナウイルスの影響が意識されるが、第1四半期は原価低減や販管費抑制で営業損益が大幅改善して黒字化した。期後半の経済活動の緩やかな回復を考慮すれば、通期上振れ期待が高まる。株価は小動きだが徐々に水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。

■カーテンレール・インテリアブラインドの大手

 カーテンレールやインテリアブラインドの大手である。国内市場シェアはカーテンレールが約50%、ブラインドが約15%である。

 室内装飾関連事業(カーテンレール類、ブラインド類、間仕切類)を主力として、介護用品事業(ステッキなど)も展開している。20年3月期のセグメント別売上高構成比は室内装飾関連事業が98%、その他が2%だった。

 生産は国内、インドネシア、中国で行い、国内外からの仕入品とともに、主に住宅市場向けに代理店等を通じて販売している。収益面では、新設住宅着工件数やリニューアルなど住宅関連市場の影響を受け、第4四半期の構成比が高い特性がある。

■カーテンレール・インテリアブラインドの大手

 中期成長戦略では「窓辺の総合インテリアメーカー」として、住宅分野での深耕、高付加価値商品の拡販、インテリアトレンドに合わせた特長ある商品や省エネ・節電対応など新商品開発のスピードアップ、コスト競争力の強化、ホテルや商業施設など非住宅分野における需要の取り込み、大型物件の獲得や新興国の消費需要取り込みによる海外売上高の拡大、新規領域としての介護用品事業の拡大などの施策を強化している。

 2016年度にスタートした10年間の経営ビジョン「Vision2025」では、目標値に売上高270億円、自己資本当期純利益率(ROE)8%以上を掲げている。

■21年3月期減収減益予想だが、1Q営業黒字化で通期上振れ期待

 21年3月期連結業績予想は売上高が20年3月期比3.0%減の220億円、営業利益が22.3%減の7億円、経常利益が19.7%減の7億10百万円、純利益が19.4%減の4億70百万円としている。配当予想は20年3月期と同額の10円(第2四半期末5円、期末5円)である。

 第1四半期は売上高が前年同期比5.2%減の47億80百万円、営業利益が1億55百万円の黒字(前年同期は72百万円の赤字)、経常利益が1億64百万円の黒字(同64百万円の赤字)、純利益が1億01百万円の黒字(同17百万円の赤字)だった。

 室内装飾関連事業は4.6%減収、その他は34.2%減収だった。新型コロナウイルスによる経済収縮の影響で減収だった。ただし資材ロス削減や生産工程見直しなどの原価低減効果、展示会中止や営業活動自粛などによる販管費抑制効果で営業損益が大幅改善して黒字化した。

 通期も厳しい事業環境が続くが、住宅分野での停滞を補うため、さらなる高収益体質への転換に向けた取り組みとあわせて、一層の成長戦略(非住宅分野、海外事業、新規領域)を推進する方針だ。当面は新型コロナウイルスの影響が意識されるが、第4四半期の構成比が高い特性や、期後半の経済活動の緩やかな回復を考慮すれば、通期上振れ期待が高まる。

■株主優待制度は毎年3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年3月末時点の株主を対象として実施している。なお20年3月31日基準から、保有株式数および継続保有期間に応じた優待内容に変更(詳細は会社HP参照)した。

■株価は戻り試す

 株価は小動きだが徐々に水準を切り上げている。月足チャートで見ると抵抗線となっていた24ヶ月移動平均線突破の動きを強めている。低PBRも注目点であり、戻りを試す展開を期待したい。8月18日の終値は490円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS50円38銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想10円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1317円05銭で算出)は約0.4倍、時価総額は約49億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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