【注目銘柄】都築電気は1Qの連続赤字業績を織り込みバリュー株買いが拡大し続伸

注目銘柄

 都築電気<8157>(東1)は、前日19日に17円高の1644円と続伸して引けた。同社株は、今年7月31日に発表した今2021年3月期第1四半期(2020年4月~6月期、1Q)業績が、連続赤字で着地したことを嫌い約200円の急落となったが、売り上げ、利益が9月と3月に集中的に計上される会計基準特性の影響とのコンセンサスが形成され織り込み済みとして売られ過ぎ修正のバリュー株買いが増勢となった。株式需給的にも、7月17日につけた2159円の年初来高値時に信用取組が拮抗、足元では売り長で逆日歩がついている好需給も売り方の買い戻し思惑につながっている。

■スマホに大規模商談が進み軽量PCにもリモートワーク需要

 同社の今期1Q業績は、売り上げが236億4200万円(前年同期比7.2%増)と増収転換したものの、利益は営業利益が8億6900万円の赤字(前年同期は8億2200万円の赤字)、経常利益が8億4100万円の赤字(同7億7400万円の赤字)、純利益が6億7200万円の赤字(同5億7500万円の赤字)と水面下での推移が続いた。売り上げは、電子デバイス事業では新型コロナウイルス感染症の影響でFA機器や自動車市場の需要が低迷し、生産部材の入手難やサプライチェーンの停滞などで伸び悩んだが、情報ネットソリューションサービス事業では、金融保険業向けの営業職員用のスマートフォンの大規模商談や企業の旺盛なネットワーク構築需要、さらにリモートワークに適した軽量PCの需要拡大などが寄与して増収転換した。なお同社は、「検収基準」で決算を計上し、3月、9月に集中的に売り上げ、利益が計上されることから1Qの利益は前年同期と同様の赤字となった。

 今2021年3月期通期業績は期初予想に変更はなく、売り上げ1120億円(前期比10.7%減)、営業利益27億円(同39.4%減)、経常利益27億5000万円(同39.9%減)、純利益18億円(同43.0%減)と減収減益転換し、配当も年間31円(前期実績55円)へ減配を見込んでいる。新型コロナウイルス感染症の影響で営業活動が制約を受けるとして保守的な予想となっている。ただ前期業績は、今年4月に2回目の上方修正し、配当も増配した実績があり、また今期を初年度に推進している中期経営計画では最終年度の2023年3月期に売り上げ1260億円、営業利益46億円を目標にしているだけに早期のリカバリーも期待される。

■PBRは1倍割れで信用倍率は0.44倍と売り方ピンチ

 株価は、今年1月の前期業績の上方修正で1541円高値をつけ、コロナショック安の波及で年初来安値918円へ急落したが、4月の2回目の上方修正では1460円高値までリバウンド、今期の減収益業績・減配予想では1134円まで再調整した。ただ今年6月24日に東証第2部から第1部に指定替えされることからストップ高を交えて年初来高値2159円へ急騰、1Q悪業績とともに1500円台へ下ぶれた。この間、年初来高値時には信用取組は、売り買いが拮抗して1.05倍となり、その後、買い残が減少する一方、売り方が取り残されて0.44倍の売り長となって逆日歩がつく売り方ピンチの需給状況となっている。PERは15倍台、PBRに至っては0.96倍とバリュー株素地を示唆しており、リバウンドにトライし、年初来高値奪回を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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