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LibWorkは21年6月期大幅増収増益予想、20年10月1日付で株式2分割
- 2020/8/24 08:42
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
LibWork<1431>(東マ)は熊本県を地盤とする注文住宅メーカーで、Webマーケティングによる独自集客手法を特徴としている。21年6月期(連結決算開始)はM&Aも寄与して大幅増収増益予想である。意欲的な中期経営計画も発表している。収益拡大を期待したい。なお8月21日には株式2分割(効力発生日20年10月1日)を発表している。株価は上場来高値に接近している。株式分割も好感して上値を試す展開を期待したい。
■熊本県を地盤とする注文住宅メーカーでWEBマーケティングが特徴
15年8月福証Q-Boardに新規上場、19年6月東証マザーズに上場(重複上場)した。熊本県を地盤とする注文住宅メーカーで、Webマーケティングによる独自の集客手法を特徴としている。またMUJI HOUSEと契約して、熊本県下における独占営業権を取得した「無印良品の家」も提供している。
第一次取得層を主ターゲットとして、一般的な常設展示場(モデルハウス)への集客ではなく、土地ポータルサイト「e土地net」やWebマーケティングなどネットやSNSを活用して集客することで、大幅なコストダウンを実現している。WEBはエリアに依存しないため全国展開も容易になる。
19年11月にはグリムス<3150>の子会社グリムソーラーと提携、20年3月にはアダストリア<2685>と提携、20年7月には神奈川県を中心に戸建建売販売を展開するタクエーホームを子会社化した。新商品では20年6月、アダストリアの「niko and(ニコアンド)」とコラボレーションした戸建て新商品「ink」の販売を開始、ショッピングモール向け新ブランド「sketch」を立ち上げた。
■23年6月期株式時価総額500億円目指す
WEBマーケティングをコアコンピタンスとする住宅テック企業として、20年1月策定の経営ビジョン「VISION2030」の達成(毎年売上20%成長を基本とした安定的・永続的な成長)を目指している。
20年8月には中期経営計画「NEXT STAGE 2023」を策定し、定量目標値に23年8月期の株式時価総額500億円、売上高150億円(20年6月期比2.5倍)、営業利益12億円(同8倍)、ROE25%(同3.4倍)を掲げている。
基本方針は戸建プラットフォーマーの確立、全国展開加速と急成長・急拡大、住宅版SPAモデル確立、サブスクリプションモデルによる全国の工務店・ビルダー支援事業の収益化としている。
定量目標値以外のKPI(重要業績評価指標)は、戸建の粗利率35%(20年6月期実績28%)、店舗数25店舗(同12店舗)、Web集客数毎年50%増加、YouTubeチャンネル登録数10万人(同500人)、サブスクリプション工務店支援事業(20年6月経済産業省中小企業庁の新連携支援事業に採択)の営業利益1億円としている。
戸建プラットフォーマーの確立では、戸建関連カテゴリーポータルサイト(e土地net、e注文住宅net、e平屋net、e建築士net)の充実・拡大、戸建カテゴリーに特化した集客サイトや他社建売物件仲介サイトなど新規サイトのリリース、20年1月開設したYouTubeチャンネル「LibWork ch」の活用を推進する。
全国展開加速と急成長・急拡大では、エリア・店舗数の拡大(20年6月期の合計12店舗から3年間で25店舗に拡大)による日本全国への出店、ショッピングモール向け新ブランド「sketch」の展開を推進する。
住宅版SPAモデル確立では、主要5工事(給排水設備工事、基礎工事、建て方工事、サイディング工事、地盤改良工事)の内製化によって戸建粗利率を35%まで高めるとともに、自社独自工法の開発を開始する。
サブスクリプションモデルによる全国の工務店・ビルダー支援事業の収益化では、AIを活用した全国の工務店・ビルダー支援システムを21年4月(予定)リリースし、全国の工務店にサービス展開する。
■21年6月期(連結決算開始)大幅増収増益予想
20年6月期非連結業績は、売上高が19年6月期比8.5%減の60億36百万円、営業利益が72.9%減の1億44百万円、経常利益が65.9%減の1億95百万円、純利益が64.9%減の1億37百万円だった。
新型コロナウイルスで事業活動が制限(着工延期、建築承認申請や住宅ローン融資の審査遅れなど)が発生し、引き渡し延期で減収減益だった。ただし不動産市況悪化が想定を下回ったため、販売用不動産の評価損計上額が想定を下回った。また原価低減効果も寄与して、各利益は修正計画値(5月14日に下方修正)を上回った。
なお配当(四半期配当)は第1四半期末と第2四半期末が各9円、20年1月1日付株式2分割後の第3四半期末と第4四半期末が各4円50銭である。株式2分割後換算で19年6月期比5円50銭増配の年間18円となる。
21年6月期連結業績(20年7月タクエーホームを子会社化して連結決算開始)は売上高が95億円、営業利益が3億90百万円、経常利益が4億円、純利益が2億46百万円としている。20年6月期非連結業績との比較で、売上高が57.4%増収、営業利益が2.7倍増益、経常利益が2.1倍増益、純利益が79.6%増益となる。
タクエーホームの連結化、スケールメリットを活かした原価低減などの効果で大幅増収増益予想である。エリア展開ではe土地net神奈川版を立ち上げて、関東圏でのWeb集客を強化する。戸建住宅関連の新サイトも立ち上げ予定である。商品面では「無印良品の家」の3商品(木の家・窓の家・陽の家)全てが見学できる総合展示場を、熊本市に開設(21年1月営業開始予定)する。また住宅版SPAを推進して売上総利益率向上を推進する。なおサブスクリプションモデルの工務店・ビルダー支援事業は21年4月頃の販売開始予定である。収益拡大を期待したい。
なお配当予想について、期初時点(8月11日公表)では20年1月1日付株式2分割換算後で20年6月期(上場記念配当含む)と同額の18円(各四半期4円50銭)としていたが、8月21日に基準日20年9月30日(効力発生日20年10月1日)の株式2分割を発表したため、四半期配当は第1四半期が4円50銭、第2四半期、第3四半期、第4四半期が各2円25銭となる。これによって21年6月期は20年10月1日付株式2分割換算後で年間9円となるが、実質的には8月11日公表数字に変更はない。
■株価は上値試す
株価(20年1月1日付で株式2分割)は、21年6月期大幅増収増益予想を好感して水準を切り上げ、19年12月の高値に接近している。株式分割も好感して上値を試す展開を期待したい。8月21日の終値は2380円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS46円93銭で算出)は約51倍、今期予想配当利回り(会社予想の18円で算出)は約0.8%、前期実績PBR(前期実績の非連結BPS342円45銭で算出)は約6.9倍、時価総額は約129億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)