ジェイエスエスは底打ち、21年3月期は新型コロナ影響で赤字予想だが中期経営計画で安心感

 ジェイエスエス<6074>(JQ)はスイミングスクールを全国展開し、スイミングスクール特化型企業では首位の施設数を誇っている。21年3月期は新型コロナウイルスの影響で大幅減収・赤字予想としたが、事業の継続性を明確にするため中期経営計画を発表している。中期的に収益拡大を期待したい。株価は3月の安値を割り込む場面があったが、その後は反発して底打ち感を強めている。中期経営計画も安心感につながったようだ。出直りを期待したい。

■スイミングスクール運営首位

 スイミングスクールを直営と受託で全国展開している。20年3月末現在の事業所数は直営63ヶ所、受託21ヶ所、合計84ヶ所(うちコンパクトプール15か所)である。スイミングスクール特化型企業では首位の施設数を誇っている。

 20年3月期末会員数は、子供会員が19年3月期末比1.1%減の8万5876人、大人会員が2.9%減の1万1268人、合計が1.3%減の9万7144人である。なお育成選手の実績として、瀬戸大地選手、渡部香生子選手、荒井祭里選手、玉井陸斗選手など多くの有力選手を輩出している。

 スクール事業の強みには、総合フィットネスクラブとの比較で景気に左右され難いという点がある。入会から四泳法習得まで2~3年の安定した在籍が期待され、ベビーからの入会や選手コースへの進級で長期在籍の可能性も高まる。大人会員は高齢者が中心で、生涯スポーツ化も期待される。

■中期経営計画で23年3月期経常利益5億50百万円目指す

 8月11日に中期経営計画を発表し、目標数値として23年3月期の売上高90億86百万円、経常利益5億50百万円、純利益3億47百万円、EPS89円35銭を掲げた。

 重点施策として、事業戦略では年間2事業所程度の着実な出店、中高年層をターゲットとしたプログラムの開発、水泳指導技術を活かした商品開発の強化、東京オリンピックへ向けての選手強化、業務受託および業務提携など事業パートナーとの連携、人事戦略では教育・研修の充実、評価制度・昇給制度の改革、女性社員の職域拡大と活用の高度化、財務戦略ではコロナ以前の業績回復、東証市場区分見直しへの対応を推進する。

 なお20年3月には、ニチイ学館<9792>との資本業務提携を解消し、日本テレビホールディングス<9404>と業務資本提携している。日本テレビホールディングスのグループ会社でフィットネスジムを展開するディップネス(20年4月1日現在、関東エリアを中心に全国173店舗を展開)と協業してシナジーを創出する。

■21年3月期は新型コロナウイルス影響で大幅減収・赤字

 21年3月期非連結業績予想(期初時点では未定としていたが8月11日に公表)は、売上高が20年3月期比22.1%減の66億05百万円、営業利益が7億85百万円の赤字(20年3月期は3億74百万円の黒字)、経常利益が7億84百万円の赤字(同3億90百万円の黒字)、純利益が5億94百万円の赤字(同1億85百万円の黒字)とした。配当予想は1円25銭増配の15円(第2四半期末7円50銭、期末7円50銭)とした。

 第1四半期は、売上高が前年同期比56.4%減の9億41百万円、営業利益が6億56百万円の赤字(前年同期は60百万円の黒字)、経常利益が6億56百万円の赤字(同60百万円の黒字)、純利益が4億70百万円の赤字(同7百万円の黒字)だった。新型コロナウイルスに伴う臨時休業の影響で大幅減収・赤字となった。会員数は8.9%減の9万354人だった。なお緊急事態宣言解除に伴って、6月には全事業所で営業再開した。

 通期ベースでも新型コロナウイルスの影響で大幅減収・赤字予想とした。ただし事業の継続性を明確にするため中期経営計画を発表している。中期的に収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は3月末と9月末の年2回

 株主優待制度は毎年3月31日および9月30日の年2回、1単元(100株)以上保有株主を対象として実施している。保有株式数に応じて優待券(詳細は会社HP参照)を贈呈する。

■株価は底打ち

 株価は3月の年初来安値を割り込む場面があったが、その後は反発して底打ち感を強めている。中期経営計画発表も安心感につながったようだ。出直りを期待したい。8月24日の終値は409円、今期予想配当利回り(会社予想の15円で算出)は約3.7%、前期実績PBR(前期実績のBPS741円64銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約16億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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