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インテージホールディングスは21年6月期4Qからの回復見込む
- 2020/8/25 08:08
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インテージホールディングス<4326>(東1)は市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも展開している。21年6月期はオフライン調査などが新型コロナウイルスの影響を受けるが、全体として第4四半期からの回復を見込んでいる。中期的に収益拡大を期待したい。株価は3月の安値圏から着実に水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。
■国内首位の市場調査が主力
子会社インテージのSCI(全国個人消費者パネル調査)やi-SSP(インテージシングルソースパネル)など、国内首位・世界10位(GRBN 2018 Global Top25 Report)の市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも展開している。
セグメント区分は、消費財・サービス分野のマーケティング支援、ヘルスケア分野のマーケティング支援、ITソリューション分野のビジネスインテリジェンスとしている。
消費財・サービス分野のマーケティング支援では、データサービスやカスタムリサーチなどを展開している。独自収集した各種パネル調査やカスタムリサーチから得られたデータを基に、高度なリサーチ技術やデータ解析力を駆使して、消費財メーカーを中心に企業のマーケティング活動をトータルサポートしていることが特徴だ。事業会社はインテージ、インテージリサーチ、アクセス・ジェーピー、および海外子会社である。
ヘルスケア分野のマーケティング支援では、一般用医薬品・医療用医薬品の市場調査、製薬企業からの委託によるデータマネジメント・解析業務、医薬品開発をサポートするCRO業務などを展開している。事業会社は、インテージヘルスケアの直下に医療情報総合研究所、プラメド、Plamed Korea、協和企画の4社を置く体制としている。
ビジネスインテリジェンスでは、ソフトウェア開発やシステム構築・運用などを展開している。事業会社はインテージテクノスフィア、ビルドシステム、エヌ・エス・ケイなどである。
なお20年6月期(決算期変更で15ヶ月決算)のセグメント別売上構成比は消費財・サービス分野のマーケティング支援62%、ヘルスケア分野のマーケティング支援25%、ビジネスインテリジェンス13%、営業利益構成比は消費財・サービス分野のマーケティング支援37%、ヘルスケア分野のマーケティング支援45%、ビジネスインテリジェンス18%だった。
■次世代SRIサービスを21年1月本リリース予定
第13次中期経営計画では目標値に23年6月期売上高625億円、営業利益50億円、営業利益率8.0%を掲げている。目指すべき姿を「データを核として、顧客ビジネス課題解決や意思決定に深く関与・伴走し、ビジネス創造と変革に寄与できる存在」として、次世代成長ドライバー確立などグループ間連携による対応領域の創造と拡張を推進する。またデジタル環境の変化に対応するため、積極的な事業投資やM&Aも継続して実施する方針だ。
消費財・サービス分野のマーケティング支援では、次世代SRI(全国小売店パネル調査)サービスの「SRI+」(ECデータ含む)について、21年1月本リリース(ECデータは20年1月本リリース、21年1月SRI+と統合)の予定としている。現行SRIは21年6月データで更新終了する。今後は「SRI+」を核としてソリューションおよびパートナー連携による総合力向上を図り、収益拡大につなげる方針だ。
20年5月にはインテージヘルスケアがWeblyと業務提携、20年7月にはインテージがTrax Technology(シンガポール)と店頭DXの推進に向けて業務提携、20年8月にはインテージテクノスフィアがグローバルウォーカーズと業務提携、インテージがシルタスと業務提携した。
なおSBIインベストメントと共同設立のINTAGE Open Innovation Fundは、パーソナルAI「al+」開発のオルツ、WEBリサーチのリサーチ・アンド・イノベーション、IoTデータ流通プラットフォームの米EverySense、訪日外国人向けショッピングサポートアプリ「Payke」のPaykeなどに投資している。
■21年6月期は4Qからの回復見込む
20年6月期(決算期変更で19年4月~20年6月の15ヶ月決算)の連結業績は、売上高が668億80百万円、営業利益が37億79百万円、経常利益が37億39百万円、純利益が16億83百万円だった。配当予想は実質増配の30円(期末一括)とした。
第1四半期~第4四半期(19年4月~20年3月)の12ヶ月は過去最高益を達成したが、第5四半期(20年4月~6月)に、マーケティングリサーチの対面・接触型オフライン調査中止や実施延期、MR活動自粛によるCRO売上の減少、新規営業活動の制約など新型コロナウイルスの影響を受けた。特別損失にはビッグデータ高速処理基盤など複数の減損損失を計上した。
21年6月期の連結業績予想は、売上高が560億円、営業利益が26億円、経常利益が29億円、純利益が22億円としている。第3四半期まではオフライン調査など直接の人的接触を伴う業務の縮小、顧客の業績悪化に伴う予算削減など新型コロナウイルスの影響を想定するが、第4四半期には19年4~6月期並みに回復すると見込んでいる。
なお前年同期間(19年7月~20年6月)との比較で見ると、売上高は0.8%増収、営業利益は28.9%減益、経常利益は21.0%減益、純利益は特別損失一巡で33.7%増益予想となる。またセグメント別の営業利益計画は、消費財・サービス分野のマーケティング支援が56.6%減益、ヘルスケア分野のマーケティング支援が4.3%減益、ビジネスインテリジェンスが26.2%減益としている。
消費財・サービス分野のマーケティング支援のオフライン調査、およびビジネスインテリジェンスの旅行業界向けが、特に新型コロナウイルスの影響を受ける形だが、期後半からの回復、そして中期的な収益拡大を期待したい。
■株主優待は毎年12月末の株主対象
決算期変更に伴って株主優待制度の基準日も変更している。従来の毎年9月30日対象から、毎年12月31日現在の1単元(100株)以上保有株主を対象として実施(詳細は会社HP参照)する。21年6月期対象から変更する。
■株価は戻り試す
株価は3月の安値圏から着実に水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。8月24日の終値は909円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS55円09銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の24円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS704円73銭で算出)は約1.3倍、時価総額は約367億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)