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エフティグループは自社ストック型サービス拡大、21年3月期微減益予想だが後半回復期待
- 2020/8/25 07:48
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
エフティグループ<2763>(JQ)は、ネットワークインフラ事業や法人ソリューション事業などを展開し、小売電力サービスなどの自社ストック型サービスの拡大戦略を推進している。21年3月期は新型コロナウイルスに伴う不透明感を考慮して微減益予想としている。第1四半期は減収減益だった。当面は経済収縮の影響が意識されるが、期後半の回復を期待したい。株価は3月の安値圏から着実に水準を切り上げている。8月7日発表の自己株式取得と自己株式消却も好感する動きだ。戻りを試す展開を期待したい。
■自社ストック型サービス拡大戦略
ネットワークインフラ事業や法人ソリューション事業などを展開している。12年3月期からはLED照明などの環境省エネルギーサービスが収益拡大を牽引したが、17年3月期からは小売電力サービスなど自社ストック型サービスの拡大戦略を推進している。
20年3月期のセグメント別売上高構成比は法人事業が81%、コンシューマ事業が19%、利益構成比は法人事業が78%、コンシューマ事業が22%だった。
21年3月期からセグメント区分を変更し、ネットワークインフラ事業(小売電力サービス、光回線サービス、節水装置・ウォーターサーバなどストックサービスの企画・開発・販売・運営)、法人ソリューション事業(UTMファイルサーバ、セキュリティ商品、環境関連商品、情報通信機器販売・施工・定額保守など情報通信サービスおよび環境サービス)、その他事業(蓄電池販売、その他)とした。
選択と集中の観点から、19年4月東北地区で展開していたドコモショップ運営から撤退、19年6月タイ・フィリピン・インドネシアの連結子会社4社の株式の80%をレカム<3323>に譲渡、20年5月コンシューマ向け太陽光発電設備等の子会社アローズコーポレーションの株式一部を譲渡して持分法適用会社化、20年7月会社アレクソンの株式をNo.1<3562>に譲渡、20年8月法人ソリューション事業の地域事業会社6社をエフティコミュニケーションズに吸収合併した。
一方ではM&A・アライアンスも積極活用している。19年11月デジタルデータソリューションと共同(業務委託契約)でドローン保険制度を運営するエアロエントリーに対してドローンデータ復旧サービスの提供を開始、19年12月シリコンパワージャパンに対してデータ復旧サービスの提供を開始、20年6月ライトアップと中小企業向け助成金・補助金受給支援で業務提携した。
自社ストック型サービス(OAカウンターサービス、情報通信定額保守サービス、インターネットサービスプロバイダ販売、光コラボレーション、節水装置JET、小売電力サービスなど)を重点分野と位置付けて拡大戦略を推進し、20年3月期のストック売上比率は41.8%となった。21年3月期には46.9%まで上昇する計画としている。
■21年3月期微減益予想だが後半回復期待
21年3月期連結業績(IFRS)予想は、売上収益が20年3月期比6.8%増の490億円、営業利益が4.1%減の60億円、そして親会社所有者帰属当期利益が2.5%減の38億円としている。配当予想は20年3月期と同額の61円(第2四半期末26円、期末35円)としている。
自社ストック型サービス拡大戦略(ストック売上高計画は30.2%増の250億円)を推進して増収だが、新型コロナウイルスに伴う不透明感や前年の特殊要因の反動を考慮して微減益予想としている。
第1四半期は売上収益が前年同期比11.4%減の104億01百万円、営業利益が24.0%減の16億77百万円、親会社所有者帰属四半期利益が44.3%減の7億13百万円だった。
ネットワークインフラは小売電力サービスの大幅伸長で32.7%増収、法人ソリューションは前年のIFRS導入時の売上収益認識変更の反動で22.7%減収、その他は新型コロナウイルス影響による蓄電池販売の減少で39.5%減収だった。利益面では、前年の海外法人譲渡益計上の反動、第2四半期に計上予定のアレクソン譲渡益の税効果計上も影響した。
21年3月期は新型コロナウイルスに伴う不透明感を考慮して微減益予想だが、第2四半期以降は緩やかな回復を想定している。なお子会社アレクソンの株式譲渡に伴う影響については精査中としている。当面は経済収縮の影響が意識されるが、期後半の回復を期待したい。
■株価は戻り試す
なお8月7日に自己株式取得(上限44万株・8億円、取得期間20年8月14日~21年2月28日)と、自己株式消却(124万48株、20年9月1日予定)を発表した。
株価は3月の安値圏から着実に水準を切り上げている。自己株式取得と自己株式消却も好感する動きだ。戻りを試す展開を期待したい。8月24日の終値は1363円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS120円27銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想61円で算出)は約4.5%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS484円22銭で算出)は約2.8倍、時価総額は約453億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)