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イワキは調整一巡して戻り試す、20年11月期はM&A効果で最高益更新予想
- 2020/8/27 09:00
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
イワキ<8095>(東1)は医薬品・医薬品原料・表面処理薬品を主力とする専門商社である。医薬品を中心としたヘルスケア・ファインケミカル企業集団を目指している。20年11月期はM&A効果で最高益更新予想としている。収益拡大を期待したい。株価は6月の年初来高値から反落してモミ合う形だが、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。
■医薬品・医薬品原料・表面処理薬品を主力とする専門商社
医薬品・医薬品原料・表面処理薬品を主力とする専門商社である。子会社の岩城製薬(医薬品)やメルテックス(表面処理薬品)のメーカー機能を強化し、医薬品を中心としたヘルスケア・ファインケミカル企業集団を目指している。
19年11月期の売上構成比は、医薬・FC(Fine Chemical)事業(医薬品原料の製造販売、医薬品の製造販売、体外診断薬・研究用試薬・医療機器の販売)が40%、HBC(Health & Beauty Care)事業(化粧品原料・機能性食品原料の販売、一般用医薬品・関連商品の卸売、化粧品通信販売)が39%、化学品事業(表面処理薬品・電子工業薬品・化成品の製造販売、表面処理設備の製造販売)が12%、食品事業(食品原料の製造販売)が7%、その他が2%だった。動物用医薬品卸売の連結子会社2社(ホクヤク、エイ・エム・アイ)は19年9月譲渡した。
なお20年11月期からセグメント区分を、ファインケミカル事業(医薬品原料の製造販売)、医薬事業(医薬品の製造販売、医療機器の販売)、HBC・食品事業(化粧品原料の販売、一般用医薬品および関連商品の卸売、化粧品通信販売、機能性食品原料の販売、食品原料の販売)、化学品事業(表面処理薬品の製造販売、プリント配線板等製造プラントの製造販売)とした。
■中長期ビジョンで売上高1000億円以上目指す
中期的な事業基盤強化と収益拡大に向けて、医薬品事業での開発・受託の拡大、自社企画商品の開発強化、医薬品原料事業における市場シェア拡大、海外サプライヤーとの連携強化、岩城製薬の生産能力増強と新製品開発、メルテックスの新製品拡販、海外展開強化などを推進している。
中期経営計画(ローリング方式、20年11月期~22年11月期)では目標数値に、22年11月期売上高750億円、営業利益32億円、ROIC8.5%を掲げている。また創業111周年(25年11月期)に向けた中長期ビジョンでは、目標として連結売上高1000億円以上、NO.1マーケットシェア、ROIC10%以上を掲げている。配当方針は、安定的かつ業績連動性を持たせた「純資産配当率(DOE)下限1.5%で連結配当性向30%目途」としている。
20年1月医療用後発医薬品・一般用医薬品開発の前田薬品工業に出資、20年3月医薬品CMC研究・製造受託のスペラファーマを子会社化、20年6月スペラファーマが創薬ベンチャーのジェイファーマに出資、20年7月岩城製薬が鳥居薬品佐倉工場を継承した新会社の全株式を取得して岩城製薬佐倉工場(株)とした。
この一連のM&Aによって、4つの新しい戦略的ビジネスモデル(調達プラットフォーム事業、インキュベーション事業、注射剤CDMO事業、塗り薬CDM事業)が誕生したとしている。ファインケミカル事業および医薬事業の中心となるビジネスとして育成する。
なお21年6月1日付(予定)を目処に持株会社体制へ移行する準備を開始した。事業会社の体制(予定)は、ファインケミカル事業(スペラファーマ、新設予定のスペラネクサス)、医薬事業(岩城製薬、岩城製薬佐倉工場)、HBC・食品事業(イワキ、アプロス)、化学品事業(メルテックス、東京化工機、海外子会社等)としている。
■20年11月期はM&A効果で最高益更新予想
20年11月期連結業績予想は、売上高が19年11月期比3.8%増の640億円、営業利益が3.7%増の22億円、経常利益が3.5%増の24億円、純利益が10.9%増の17億円としている。配当予想は1円増配の14円(第2四半期末7円、期末7円)である。4期連続増配となる。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比0.7%減の308億32百万円、営業利益が31.3%減の8億78百万円、経常利益が32.8%減の8億95百万円、純利益が33.5%減の5億92百万円だった。
売上面では、スペラファーマの新規連結でファインケミカル事業が増収となり、医薬事業と化学品事業も堅調だったが、HBC・食品事業が新型コロナウイルスによるインバウンド需要減少などで減収となり、動物用医薬品卸売の子会社2社売却も影響して、全体として微減収だった。利益面では、化学品事業が表面処理設備の原価低減効果で収益性改善したが、ファインケミカル事業、医薬事業、HBC・食品事業の収益性が悪化した。
事業別には、ファインケミカル事業が21.9%増収で27.6%減益、医薬事業が7.8%増収で18.8%減益、HBC・食品事業が9.3%減収で赤字化、化学品事業が1.3%増収で10倍増益だった。
第2四半期累計は減益だったが、通期はM&A効果(20年3月スペラファーマ、20年7月岩城製薬佐倉工場)で新型コロナウイルスの影響を吸収して最高益更新予想としている。収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は毎年11月末時点で1年以上保有株主対象
株主優待制度は毎年11月末時点で100株(1単元)以上を継続して1年以上保有する株主を対象として、グループ化粧品詰め合わせセットなどを贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は調整一巡して戻り試す
株価は6月の年初来高値から反落してモミ合う形だが、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。8月26日の終値は476円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS51円95銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の14円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS624円09銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約165億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)