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【アナリスト水田雅展の企業レポート】バルクホールディングスは21年3月期1Q赤字縮小、通期黒字予想
- 2020/8/31 08:40
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
バルクホールディングス<2467>(名セ)は、コンサルティング事業およびマーケティング事業を展開し、新規事業としてサイバーセキュリティ分野を強化している。21年3月期第1四半期は赤字がやや縮小した。そして第2四半期以降は米国のサイバーセキュリティ分野で負担していた費用が軽減されるため、通期黒字予想としている。収益改善を期待したい。株価は上値が重く安値圏でモミ合う形だが下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。
■セキュリティ事業とマーケティング事業を展開
セキュリティ事業およびマーケティング事業を展開する持株会社である。新規事業としてサイバーセキュリティトレーニングのサイバーセキュリティ分野を強化している。
セキュリティ事業は、バルクが情報セキュリティ規格コンサルティング(プライバシーマーク認定取得支援、ISO27001(ISMS)認証取得支援、および運用支援)分野、米国SCH社(イスラエルのサイバージム社との共同事業会社)がサイバーセキュリティ分野を展開している。なおバルクは20年4月、テレワーク導入・運用コンサルティングサービスの提供を開始した。
マーケティング事業は、バルクがマーケティングリサーチ(大手メーカーの新製品開発時モニター調査)分野、マーケティング・システム・サービスがセールスプロモーション(スーパーなど食品流通事業者のフリーペーパー、食品・飲料メーカーのSPツール・ノベルティの制作)分野を展開している。またアトラス・コンサルティングを持分法適用関連会社としている。20年2月にはLINEリサーチのオフィシャルパートナーに認定された。
■サイバーセキュリティ分野を強化
サイバーセキュリティ分野は18年1月、イスラエルのサイバージム社と共同で米国SCH社を設立した。日本と米国において、サイバージムが開発した実践型サイバーセキュリティトレーニングアリーナを運営し、電力や金融など重要インフラストラクチャーセクターの民間企業・政府機関等に対して、サイバーセキュリティトレーニング等のサービスやソリューションを提供する。
18年7月には米国ニューヨークにコマーシャルアリーナ(フルパッケージサービスを提供する大型トレーニング施設)のCyberGym NYCを開設、18年8月には日本初となるハイブリッドアリーナ(小型トレーニング施設)のCyberGym Tokyoを開設した。また18年8月にはサイバージム社に出資、18年9月にはサイバーセキュリティコンサルティングのCELを設立した。
20年4月にはサイバージム社がマイクロソフトと連携し、マイクロソフトのAzureを通じたサイバーセキュリティトレーニングのリモート提供を開始した。これに伴ってCyberGym Tokyoもリモート提供を開始した。これまでの専門トレーニングはサイバーアリーナ内において集合・実地型で実施してきたが、今後は勤務先や自宅などの遠隔地において専門トレーニングを受講できるようになる。
20年8月には、米国SCH社とクロスポイントソリューション(CP-SOL)がサイバーセキュリティ教育事業会社を共同設立(20年11月目途)し、共同事業会社が新設ハイブリッドアリーナ(東京都中央区)利用に係る契約を締結した。なお当初の契約主体は米国SCH社およびCP-SOLとなるが、米国SCH社の契約上の地位はサイバージムジャパン(米国SCH社の日本部門を移管するため20年8月設立)に、CP-SOLの契約上の地位は共同事業会社に移転する。
なお米国SCHはサイバージムと共同で19年9月に、米国LAコマーシャルアリーナに係る販売および運用サポート等の債務不履行の契約先(米国企業)を相手方として仲裁手続きを行っているが、20年6月に本件仲裁の被申立人らがそれぞれ米連邦破産法11条(チャプター11)の適用を申請したことが判明した。今後は本件仲裁を本件破産ピロセスに移行させて処理する予定だが、損害賠償金額が未確定で債権回収割合も不明としている。
■21年3月期黒字予想
21年3月期連結業績予想は、売上高が20年3月期比2.3倍の17億06百万円、営業利益が14百万円の黒字(20年3月期は5億67百万円の赤字)、経常利益が6百万円の黒字(同11億35百万円の赤字)、純利益が4百万円の黒字(同13億20百万円の赤字)としている。
第1四半期は、売上高が前年同期比1.4%増の3億16百万円、営業利益が1億13百万円の赤字(前年同期は1億47百万円の赤字)、経常利益が1億18百万円の赤字(同1億40百万円の赤字)、純利益が1億24百万円の赤字(同1億43百万円の赤字)だった。
マーケティングリサーチおよびセキュリティトレーニングが新型コロナウイルスの影響を受けたが、AI脆弱性診断などのサイバーセキュリティ分野やセキュリティ認証コンサルティングが堅調に推移し、全治として赤字がやや縮小した。セキュリティ事業は34.4%増収、マーケティング事業は11.4%減収だった。
通期はサイバーセキュリティ分野の売上拡大・損益改善を目指す。なお米国SCH社が米国に保有するトレーニングアリーナ運営用資産を、20年3月期末時点の簿価でサイバージム社に売却予定である。そして対象資産の売却が完了した時点で、20年4月以降に計上した対象資産の減価償却費と同額の固定資産売却益を計上予定である。また20年7月以降は、米国SCH社の米国部門における減価償却費以外の固定費も大幅減少する見込みとしている。通期ベースで収益改善を期待したい。
■株価は下値固め完了感
株価は上値が重く安値圏でモミ合う形だが下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。8月28日の終値は219円、時価総額は約23億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)