【アナリスト水田雅展の銘柄分析】うかいは高値更新の展開、16年3月期は大幅増益予想

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 うかい<7621>(JQS)は高級料理店をチェーン展開している。株価は2300円台での中段保ち合いから上放れて高値更新の展開だ。5月19日発表の16年3月期大幅増益予想も好感した。14年1月高値2580円を目指す展開だろう。9月末に向けて株主優待制度の権利取りの動きも注目点となる。

 飲食事業(高級和食・洋食店)を主力として、文化事業(箱根ガラスの森美術館)も展開している。新たな成長ステージに向けた戦略として、商圏1万キロに向けたブランド構築、新業態の定着と新規出店、サービス向上のための人材育成、製菓工房「アトリエうかい」の本格稼働、和食店のお土産品強化、物販における販路開拓、海外へのブランド発信と海外企業との業務提携などを推進している。

 14年4月には、国内で4年ぶりの新店となる新業態の割烹料理店「銀座kappou ukai(呼称:割烹うかい)」をオープンした。海外は13年5月に、台湾・高雄市FIHリージェントグループホテル内レストランのコンサルティング契約を締結して海外初出店を決定し、16年オープンに向けて準備を進めている。

 5月19日に発表した前期(15年3月期)の非連結業績は売上高が前々期比1.7%増の122億34百万円、営業利益が同33.1%減の2億56百万円、経常利益が同42.8%減の1億87百万円、純利益が同89.2%減の28百万円だった。

 配当予想は前々期(第2四半期末2円、期末13円)と同額だが期末一括で年間15円とした。配当性向は273.7%となる。ROEは同5.4ポイント低下して0.6%、自己資本比率は同0.5ポイント上昇して41.7%となった。

 消費増税によるマインド低下や天候不順の影響で売上高が伸び悩み、人件費の増加、新店「銀座kappou ukai」の開業費、創業50周年記念事業費、株主優待制度の充実に伴う費用の引当などで減益だった。なお11月7日の減額修正値に比べて、売上高は概ね計画水準だったが、消耗品費や修繕費などを効果的に投資した結果、営業利益と経常利益の減益幅が縮小した。純利益は繰延税金資産取崩が増加して修正値をやや下回った。

 四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)30億66百万円、第2四半期(7月~9月)29億30百万円、第3四半期(10月~12月)34億99百万円、第4四半期(1月~3月)27億39百万円、営業利益は第1四半期84百万円、第2四半期1億23百万円の赤字、第3四半期3億80百万円、第4四半期85百万円の赤字だった。

 今期(16年3月期)の非連結業績予想(5月19日公表)は売上高が前期比0.6%増の123億02百万円、営業利益が同41.4%増の3億63百万円、経常利益が同65.2%増の3億09百万円、純利益が同6.0倍の1億68百万円、配当予想が前期と同額の年間15円(期末一括)としている。

 厳しい事業環境を考慮して売上高は前期比ほぼ横ばいだが、コスト面では新店「銀座kappou ukai」開業費や創業50周年記念事業費が一巡して大幅増益見込みだ。消費増税や天候不順の影響が一巡し、株価上昇による高額消費の活発化、企業業績改善や賃金上昇に伴う消費マインドの改善、外国人旅行客のインバウンド消費なども寄与して収益改善基調だろう。

 なお月次売上高(前年比、アトリエうかいの店頭販売含む)を見ると、15年4月は全店98.4%、既存店98.4%だった。

 中長期経営計画では17年3月期売上高127億53百万円、営業利益6億40百万円を目標値として掲げている。ブランド認知度の向上、圏央道相模原愛川IC~高尾山IC間の開通に伴う商圏拡大などに加えて、和食がユネスコの世界無形文化遺産に登録されたことも追い風だ。中期的に収益拡大基調だろう。

 株主優待制度については14年5月に実施時期変更を発表し、毎年3月期末から毎年9月中間期末に変更して14年9月末から実施した。そして14年8月に優待内容変更を発表した。箱根ガラスの森入場招待券1500円×10枚(1万5000円相当)を廃止し、代わりに100株以上所有株主に対して箱根ガラスの森株主限定食事付入場招待券5枚(1万5000円相当)を贈呈する。その他の優待内容に関しては所有株式数に応じた食事優待券または特選うかい牛肉で変更はない。

 株価の動きを見ると、2300円台での中段保ち合いから上放れて高値更新の展開だ。5月20日には16年3月期大幅増益予想も好感して2497円まで上伸した。

 5月20日の終値2470円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS32円79銭で算出)は75倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は0.6%近辺、そして前期実績PBR(前期実績のBPS925円25銭で算出)は2.7倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。16年3月期大幅増益予想を評価して14年1月高値2580円を目指す展開だろう。9月末に向けて株主優待制度の権利取りの動きも注目点となる。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る